英国のEU離脱をかけた国民投票は、EU残留派の英議員銃撃などショッキングなニュースが飛び込んできたことから、一時投票日を変更するといった情報も流れましたが、今のところオンスケジュールで投票は行われるようです。
まずは値跳びや相場予想外のショートカバーに注意
金曜日あたりでも感じられたことですが、多くの市場参加者が為替取引を手控え始めているため相場が非常に薄い感じがしはじめています。
これは具体的には相場の値が跳んでしまうといった動きになって現れることになりますが、参加者が少なく流動性も確保されていないため、「
実需」であれ「
投機的」な動きであれ、ひとつふたつの大口の売買が持ち込まれただけで相場が大きく動くことになりますので、非常に注意が必要となります。
また23日前にぎりぎりでポジションを手仕舞う動きがでますと、想像を超えた形でのショートカバーがでてしまい、驚くほど相場が戻るといった動きがでてしまうことについても注意が必要になります。
スプレッドは23日の前からワイドになる可能性も
次に気をつけなくてはならないのが「スプレッド」です。すでにスプレッドについてはこのコラムでも書き出していますが、「インターバンク」の対応次第では23日の前からワイドスプレッドがはじまり、24日の日本時間早朝から昼過ぎまで売買が交錯すると、このタイミングで信じられないほどの「ワイドスプレッド」がでることもありえます。
昔ならば売買が成立しない方が多かったのですが、最近の「
NDD方式」ですとプライスはでるけれどスプレッドが広すぎてまったく儲からない、大きな損をするという時間帯が継続する可能性が高まります。
とくに24日の朝6時というのは、普通にしていてもスプレッドの広い時間帯ですから、世界中のトレーダーが取引をはじめるこの時間帯にエントリーするのは十分な注意が必要です。
海外FX業者ではレバレッジダウンを履行するケースも
国内FX業者はさすがにレバレッジの規制を書けることはないようですが、海外の500倍、888倍といった業者は既にこの週末から一旦レバレッジを下げる動きにでており、過分なポジションを顧客が持たないように規制をかけはじめています。
「
XM」などは一回100倍のレバレッジに落とす動きに出ていますが、来週以降場合によっては50倍以下などに再規制する可能性もでてきています。
24日朝6時に投票終了でやっとメディアの報道が解禁に
英国の場合、日本のテレビ局と同じように投票が終わるといきなり出口調査をもとにして情勢の報道を始めるようになるのかどうかが、正直なところよくわかりませんが、24日の朝6時を過ぎるといきなりヘッドラインに忙しくUK関連情報がでることが予想され、ここからすぐに相場が動き出すことになりそうです。
詳細情報がわからないのに、マーケットの流れについていくのはかなり恐ろしい部分もありますが、ここからの動きについていくことが、もっともリスクの少ない流れになると思われます。
テレビでは「
BBC」や「ブルームバーグ」などは視聴可能となりますから、ネットで見れるものをリアルタイムでチェックするといった努力が必要になりそうです。
いきなり残留決定報道ならポンドとユーロの買い戻し
残留優勢という出口調査がでれば、ポンドとユーロは買い戻しになりますが、スコットランドの住民投票時にはドル円はあまり大きな影響を受けなかった印象がありますので、やはりポンドとユーロが注目となりそうです。
この場合、それほど後には引かないことになりますから上昇したらしっかりと利確して終了という形になります。
離脱優勢報道ならポンド、ユーロは売られ円とスイスフラン買い
逆に離脱優勢となれば、当然ポンドとユーロはひどく売られることになりますが、それと平行して積極的に買われることになるのは日本円とスイスフランとなりますので、クロス円はすべて円高に大きくシフトすることになりそうです。
ドル円もクロス円の影響をかなり受けることになりますので、当然円高方向に動くことが予想されます。
問題は、結果がでて離脱確定まで来たときに事実をみて一定の買戻しが出るのか、そのままの状態が続くのかということになりますが、離脱の場合には単なる選挙とは異なるだけにその後も一定の動きを引きずる可能性は高く、安全を考えるならば利益が出たら利確して、次なるアクションは様子をみておくことが安心といえます。
投票結果が、賛成反対拮抗した場合には、24日の東京タイムでは決着がつかないこともありえますので24日はかなり長い一日になることを覚悟しておかなくてはなりません。
こうした、誰もがあまりしっかりとした経験のない選挙の場合には想定外の相場の動きがでることもありえますので、かなり注意することが必要になりますし、なんだかさっぱりわからないという印象が強くなったら、あえてこのリアルタイムの場には参加しないという方法をとることもありえるのです。あくまで無理をしないことが重要です。
両建てを使って売りも買いも持つく手もあるが成功するかどうかは?
こうしたどちらに行くか、まったくわからない相場の場合には、事前段階から売りも買いもポジションをもつ「両建て」の方法で両方にストップロスを入れて動き出したら、片方は損切りしていくといったやり方をとる方もいらっしゃると思います。
しかし、スプレッドが広がったり、値跳びで約定しなかったときには、大きな損失をかかええることになりますので、どこまでこうしたやり方を実現させるかについては、相当よく考えてから実施することをお勧めします。
「
雇用統計」などの仕掛け売買とはかなり異なる結果が出る可能性もありますので、あまりお勧めできるものとは言えません。
全体としてほとんどの投資家が経験したことのないイベントに接するわけですから、想定外のことが起きる可能性については、最初から覚悟を決めて臨むことが大切になりそうです。
特に他国の選挙の開票ですから、国内と同じと思っているとそれが大きなリスクになることもありそうです。