6日の週、前週の「米国雇用統計」の数値悪化に伴ってドル円は何度か下押しを試みることになりました。
特に9日の水曜日にはロンドンタイムで106.500円を下抜けたことからいよいよ105円台に再突入かと多くのトレーダーが売りを仕掛けましたが、NYタイムで突っ込みに行くかと思いきや、106.400円が割れなくなり、翌日の朝には107円台初頭まで典型的なショートカバーが進むこととなりました。
そして金曜日もショートにかなり傾いているので下押しは相当難しいのではないかと思われたものの、ロンドンタイムに入ると簡単に107円台から106円台中盤まで押し戻す形となり、NYタイムの午後には106.600円台を割るところまで下落が進むこととなったのです。
BREXIT報道による相場の下落はショートカバーを凌駕する威力
この週の相場状況を見ていてよくわかったのは、東京タイムなどでドル円の相場がショートに傾きすぎて下がらず、仕方なくショートカバーとなって、さらに切れずに残るショートがあったとしてもBREXIT、つまり英国の離脱関連の世論調査などネガティブな内容が伝わると、ショートカバーを凌駕するほど相場が押し下がるパワーを持っているということです。
しかもこうしたとてつもない動きはロンドンタイムの頭の時間であったり「LONDON FIX」であったりと、かなり頻繁に登場していることがここのところの動きから見えてきます。
ポンドは上昇よりも下落のほうがドル円にはリスクが高い
現状における不意のポンドの下落が始まりますと、ドル円でも簡単に60PIPS程度は短時間に下落することがあり、ロンドンタイムの序盤にそうした動きがでたり、世論調査結果が突然公表されて、そうした動きが現実化しているのが10日までの週の動きになっています。
ポンドの上昇時にはユーロも上昇することから、ドルと円は両方安くなる傾向があることからあまり大きく動かないことが多いようですが、足元のようにユーロ円などが大きく下落をはじめるとドル円はどうしても円高方向に動くようになります。
ここから23日、事実上24日の早朝まで想像はしていましたが、とにかく何の前触れもなく下落が始まるのはかなりつらい状況で、ドル円やユーロドルを単体でいくらチャート上から分析してエントリーをしても、まったく効かないことになりかねない大きなリスクを感じる次第です。
やはり市場全体として離脱を織込めていないことから、下落のほうが大きく増幅される動きになっていることを感じさせられます。
この10日間どうしてもドル円を取引するなら徹底した戻り売りか
まあ本来であれば、やらないで静観するのが一番間違いがないのだと思いますが、それでも取引を続けるのであれば、ドル円に絞って徹底的に戻り売りで対応してみるのがお勧めとなりそうです。
なんらかの原因でショートカバーに巻き込まれても、1円以上巻き上がる状況はほとんど想定されませんが、下落方向は場合によってはもっと大きなものになる可能性は高く、しかもストップロスがうまく機能しないような「値跳び」がボツボツ見え始めているところがとても気になります。
2015年1月15日のスイス中銀ショックのようなことが起きないことを願いたいところですが、23日までに世論調査結果だけでそうしたパニック状態が起きないとは限らなくなってきている状態で、かなり慎重に取引することが求められそうです。
各FX業者もぼつぼつ同様のリスクが伴う状況が訪れようとしていることを告知しはじめていますが、この際レバレッジを10倍以下の落とすといって自己防衛策をとることも必要になってきているように思えます。
10日までの取引でもかなり不思議な感触を受けたわけですから、ここからはもっとリスクが高まることを相当意識していくことが重要になりそうです。
証拠金をしっかり守ることはFXで勝ち残る最大の武器になります。どう動くか判らなくなったときには、無理せずに様子を見るようにして自らをしっかりと守るようにししたいものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)