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誰の差し金か知りませんが、「G7」の会議の冒頭に「コモディティ価格」の推移からいきなり、「リーマンショック前に近い」というパラダイムシフト的理論展開を行ったと話題の「安倍首相」ですが、「麻生財務大臣」さえデータを配るのはやめさせろと言ったとか言わないとかいう話が伝わり、結構この内閣も混沌としてきていることが窺い知れる状況になってきました。
深刻なのは世界経済よりも自国起因の中央銀行バブル崩壊
今が「リーマンショック」前なのかどうかといった不毛な議論は差し控えますが、ひとつ確かに危機的な状況といえるのは先進各国が「中央銀行」による「金融緩和」というやめられない覚せい剤のような手法をどんどん強めて、「中央銀行」主体のバブルを作りだしてしまっていることです。
とりわけ日本の日銀はその最たるもので、出口のための引当金を積上げたという報道が出ただけでもこの先本当に出口があるのかどうかが問題になるほど、日銀の政策の今後が大きな不安となってきていることがわかります。
止められない悪いインフレがやってくればこの国はお仕舞い
大幅な財政出動についても、消費増税の延期についても、首相はフリーハンドで政策として投入できるよう錯覚を起こされているようですが、一体こうした政策の財源はどこからでてくるのでしょうか？
早い話がまた「赤字国債」を発行して借金を増やすから実現できることで、格付け会社が日本の格付けをこうした事態を受けて、下げる可能性があるのは、ある意味当たり前と言えます。
この「国債」も過去20年ひたすら「ゼロ金利」に近い低金利を維持してきたことで、ほとんど借金の金利を払わずに負債だけを溜め込んできているので、プラス10兆円の借金になろうが100兆円の借金になろうが、ほとんどお構いなしの状態です。
しかし、今悪い「インフレ」つまり景気は悪化しているのに「インフレ」だけ進行する「スタグフレーション」のような状況がやってくれば、間違いなく日銀は「政策金利」を上げざるを得なくなり、それに伴って国債金利が上昇することは避けられなくなります。
1100兆円の「国債」に対して4%などの金利を支払う羽目になれば、年間だけで44兆円の税負担になり、年間の税収から公務員の給料を支払ったら完全に金利が支払えない状況に陥ることは間違いありません。
「国債」を発行しては日銀が買い込んで金庫にしまっておくという、今のやり方が財政ファイナンスであると揶揄されても殆ど反論できないのが現実であり、しかも出口といっても、この金利上昇は未来永劫に続けざるをえないのが実情で、ほとんど出口戦略などないところにさしかかっている状況です。
金利が上がれば消費税率20%にしても税収は足りない
「国の借金は国民とは関係ない」といった論調をよく見かけますが、実際問題、借金の金利は国民の税金から負担しなくてはなりませんから関係ないわけはありません。
税収のうちのほとんどを利払いに充てることになれば、社会福祉も子ども保育の問題もすべてどこかへ行ってしまうことになります。
いまの国内の平穏な状況は、日銀が作り出した捏造的な低金利社会の維持によってなんとか保たれているに過ぎないことを、為政者はもっと深刻に受け止めるべき時期にさしかかってきています。
国内の政治状況だけみても混沌としてきた相場状況
6月の「日銀政策決定会合」では、米国が利上げをすれば仕方なくまたしても「金融緩和」がとび出すことになるのかもしれませんが、これまでの経緯を見ていますと消費税延期、大幅財政出動にこの緩和措置の追加で本当に、株は上がり円安傾向が示現することになるのかどうかはかなり怪しくなってきています。
一旦上昇した相場は絶好の売り場を「投機筋」に与えるだけになる気がしてなりません。
参議院選挙だけか、衆参ダブル選挙になるのかはよくわかりませんが、この選挙シーズンで材料出つくしになるところが一番の戻り売りになりそうな相場状況で、為替相場もかなり慎重に売買を進めていくことが求められそうです。
(この記事を書いた人：今市太郎）
