5月後半から6~7月にかけて為替相場はきわめてイベントが多いことから材料が盛りだくさんに存在するはずなのですが、足もとの為替相場の動きには方向感が全く見られない状況が続いています。
東証の株式相場も同様で、出来高は異常に細っており、市場参加者自体が減少し、様子見状態が継続中で、なかなか取引がしにくい状態がずるずると長引いているところです。
本命材料はFOMC利上げ、英国国民投票と米国大統領選挙か
国内では参議院選挙を睨んだ「安倍政権」の政策対応に注目が集まりつつありますが、影響がでるのはドル円とクロス円の一部だけで、大きな流れとなるのはやはり6月「FOMC」の利上げの可否の問題となります。
今週は米国の地区連銀総裁の講演が目白押しですが、27日には「イエレン議長」がハーバード大学で講演予定であり、市場的には「伊勢志摩サミット」よりはるかにこちがの方が注目を浴びることになりそうです。
多くの地区連銀総裁が6月利上げに前向きな発言をしている中にあって、またしても「イエレン議長」が「ハト派的」な言い方をすれば相場はドル安円高に動く可能性があり、今週はこれがもっとも大きな動きになりそうです。
また、英国のEU離脱の成否をかけた国民投票も本格的にポンドに動きがではじめており、ここから1ヶ月間は世論調査の結果が出るたびに乱高下を繰返す可能性がかなり高くなってきています。
ユーロ圏ではいまやこの問題が最大の課題になりつつあることから、ポンドだけではなくユーロも巻き込んでの乱高下がはじまりそうで、当然のことながらドル円にも影響を与えることになります。
足もとでの世論調査結果が残留多数となっているから安心とは決していえない状況で、ポンドが買われたときにはドル円はほとんど影響がないと思われますが、大きく売られるときには円高が続くことに警戒しておく必要がではじめています。
19日から開始とされていたテレビ討論会は26日現地時間の夜8時、日本時間では27日の早朝4時から始まりますので、こちらも世論調査に大きな影響を与えることになりそうで、これまた伊勢志摩サミットどころではない状態です。
さらにこの投票が終わると、いよいよ米国の大統領選挙の問題がクローズアップされることから7月になるとドル安が一段と加速する可能性がでてきています。
ドル売りは米国内よりも海外からの圧力が高くなることが考えられ、「トランプ候補」が正式に共和党の代表になったときに、やはりそれなりの反応が為替相場にでてくることになりそうです。
イベントをこなすごとに発想をリセットして考える必要あり
今回の大きなイベントは、少しずつタイミングが異なっているのが不幸中の幸いと言えますが、全体的に見て、米国の利上げ以外はドル円は円高に進むリスクのほうが大きくなっていることがわかりますので、ドル円は高値をつけたらしっかり戻り売りをして様子を見ていくことが必要になりそうです。
英国のEU離脱が過半数となった場合、これまでの想像を超えるほどポンドが売られると見る向きが増えていますので、当然ドル円もクロス円もかなりの円高を覚悟しておく必要がありそうです。
しかも開票結果に影響を受けますから、短時間に大幅下落となることは想定しておかなくてはなりません。米国大統領選挙は11月までの長丁場ですからまだまだこれからの動きとなりますが、「トランプ氏」の正式代表決定時に一旦市場はざわめくことが考えられます。
もちろん、これ以外にも6月3日には「米国雇用統計」もありますし、6月の「FOMC」直後には「日銀の政策決定会合」もセットされていますので、その都度ポジションは利益確定してリセットしながら次のイベントへと進んでいく必要があります。
直近の状況としてはまったく相場に方向感がなく、動きも鈍っていますが、嵐の前の静けさであることは間違いありませんので、しっかりと動きを見極めて順張りでついていくのか、上値で逆張りするのかを決めながら売買することが重要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)