週明けから急激な下落を続けるドル円ですが、とうとう6日の深夜1時過ぎに瞬間的に1ドル109.917円まで下落することとなり110円をあっさり割ることとなりました。(4/7の相場では109.30円まで下落)
ここにはダブルノータッチオプションも設定されていたようですが、相場の動きには勝てず下抜けを許してしまったようです。
しかし1分後には110.412円まで跳ね上がる動きとなっていますから、市場参加者もかなりおっかなびっくりで相場に絡んでいるものと推察されます。
この上昇は当然介入ではなく大量の買いが入ったようですが、アルゴリズムによるいたずらである可能性も高く、大幅下落局面では常に気をつけたいところです。
ここからは金融当局の口先介入との神経戦
「安倍晋三首相」が「独断的な為替介入は控える必要」「競争的な通貨安は避けなければいけない」と述べたとWSJが伝えたことで「為替介入」期待が一気に後退し、そのまま109円台に突っ込む形となったのが今回の110円割れのきっかけになりました。
なんとも皮肉なコメント発表となってしまいましたが、それに先んじて一部通信社が関係者筋の話として「日銀はデフレ圧力の再燃を懸念しており、4月に追加緩和を議論する公算」と報じたことで、アルゴリズムが瞬間的に反応し大きく戻すという動きも出てきており、ニュースのヘッドラインにアルゴリズムが反応するたびに相場が大きく戻る可能性がでてきています。
ただしどこかの官僚が作ったと思われる首相のコメントにもあるように、もはや日本政府は介入を行うことはできず、事実上の手立てを失っているのが現状ですから、投機筋が4月の間隙を縫って下押しを断行すればまだまだ下がる可能性があります。
ただ、このまま政策当局も手をこまねいては見ていられないことから、何かにつけて声明や「金融緩和」を示唆するような発言を出していくることは容易に想像できるものとなります。
そのたびに相場は大きく戻すことになりますので、利益が出たらとにかく欲張らずにスキャルピングの感覚でどんどん利食いをすることが負けない唯一の方法になってきそうです。
目先のサポートラインは109.16円もこれを抜ければ106円台か
5日の段階でほとんど主要なサポートラインを抜けてしまっただけに2014年10月31日の「黒田バズーカ2」直前につけた109円16銭を下抜けると、106円台まで抵抗となるところは殆ど無く105円台まで下落してもおかしくはない状況です。
7日午前3時のFOMC議事録も下落誘発剤の可能性
7日午前3時には3月の「FOMC議事録」が発表となりますが、「イエレン議長」が口頭で記者会見上説明した内容がほとんどの議員の総意である場合には、またドル安が誘発される可能性があり、深夜ですがドル円が大きく動く可能性があります。
米国サイドは明確にドル高が経済的に不利であると公言していますから、今回のドル円の円高に対してサポーティブな発言は一切登場する可能性はなく、ドル円にとっては下落リスクの一因とみるべき状況です。
月末の日銀政策決定会合まではさらなる下落リスクも
政権と日銀から何かでるとしても4月中はほぼ空白状態ですから、5月に決算を迎える「ヘッジファンド」と中東系のCTAが戦略的にドル円売りを仕掛けてくる可能性はきわめて高くなってきています。
下落のスピードは上昇よりもはるかに早いものとなりますので、5円程度の下落にはそれほど時間はかからない状況です。
なにより日銀の「マイナス金利」導入で121円台から10円落ちるところまで10営業日かかってはいませんので、1日1円下落するとすれば今週後半から来週にかけて106円まで到達してしまうことはそれほど難しいことではなくなっています。
政権は世界的な協調を口にしていますが、75円から125円まで無理やり円安に押し上げた過去3年間の経緯から考えれば今110円割れが本当に円高なのかという問題もありますし、国際的な理解が得られる状況にはないことも事実です。
したがって100円を切るまでは具体的に「為替介入」するような方法をとることは、かなり難しい可能性があります。
ウルトラCの方法としては増税の延期を先だししてくることですら、これを持ち出すと日銀が緩和を見送る可能性もでるため、「安倍政権」としてはなかなか難しいコントロールを強いられる4月の相場になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)