3月29日(日本時間30日の深夜1時すぎ)から行われた米国「FRBイエレン議長」の議会講演のおかげで一旦ドル主導で戻りを試すかのように見られた為替相場は対円、対ユーロでドル安が大きく進む状況となっており、しかもかなりの「ボラティリティ」を伴って相場が動き始めています。
この時期機関投資家などはまだ年間のプランを固めていない為、相場には登場してこないことから4月前半は空白の時間帯として投機筋が暴れやすい時間帯に入っていくことになります。
したがって利益がでた場合には確実に利益確定をしていくことがこの時期において最も安心な取引となりそうで、通常にもましてこうした短期の利益確定を意識した取引が重要になると思われます。
好結果の米国雇用統計でも無理やり売られたドル
ここのところ米国の「雇用統計」は良好な数字がでても、必ずしもドルが変われない不可解な動きが多くなっていますが、4月1日の「雇用統計」もまさにそれに近いものがありした。
もともと市場は結果を待たずに大きくユーロが買われる展開となったことになり、案の定結果とは関係なくNYタイム後半、「LONDON FIX」を超えたところからドルは大きく売られることになりました。
失業率は5.0%と、8年ぶりの低水準だった2月の4.9%から悪化していはいますが、ほとんど誤差範囲であり、この中身をもってして大きく売り込まれるようなものではなかったはずです。
市場では4月の利上げ期待が後退した為、ドルは売り込まれたという解説がメディアに出回っていますが、どうもこれは明らかに投機筋が仕組んだ動きのようで、動きはじめた相場に多くの市場参加者がついていく形となったことからユーロドルでもドル円でもドル安が大きく進んでしまったようです。
とくにドル円はこれまで112円がかなり硬いサポートラインとなっていたものの、一気に下抜けることとなってしまいましたので、この投機筋が主体になりやすい空白の数週間でさらに下値を試す可能性もでてきている状況です。
ユーロ中心の相場にはならずドル円、ユーロドルで交互にドル売りか
ここのところ数日はユーロが大きく買われる動きとなっていますので、相場の旬はユーロかとも思われましたが、ドル円もすでに111円台に再突入していることから当面「ドル安」というキーワードでユーロドルが上げたりドル円が下げたりという、かなりせわしい相場展開になることが予想されます。
とくに投機筋のやり方として上下に振りながら下落へ持ち込むといった手法が多く登場することになりますので、一旦トレンドがでたと思っても大きく戻して再下落といったやり方に巻き込まれる可能性が高まりますから、冒頭にも書きましたが、利益がでたポジションは放置せずにしっかり利確しておきませんと、せっかく確保した利益を無駄にしかねなくなります。
投機筋の売買手法は独特で相場が大きく上下に動くことで通常より大きな利益を短期間であげようとしますので、迂闊なレベル感でポジションをもつのではなく、しっかりとチャート上で適切なエントリーポイントを探すことが大切です。
こうした動きが顕在化するのは明らかにロンドンタイムが多くなりますので、東京タイムとは逆の動きが増幅されやすく、NYタイムでさらにひっくり返させるようなこともしばしば起こりますから指値をしてポジションを放置しておくことは危険です。
やはり相場をしっかり見れるときに準張りで動きについていくといったやり方を守ることが損失をかぶらない唯一の方法になりそうです。
月末には「FOMC」が開催されますし、日銀の政策決定にも注目があつまりそうですので、ここ2週間程度の短い動きになる可能性は高いですが、十分に注意して臨みたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)