年度末から4月1日にかけて弱含んでしまったドル円とは対照的に、ドル安に対応して大きな動きを表したのがユーロドルとなりました。
1日の「米国雇用統計」の前に1.1450をつけに行く動きを目指したユーロドルは結果発表で一旦弱含んだものの、その後また買い戻されて1.14台に乗せて悠々の週末を迎えることとなりました。
「ファンダメンタルズ」的に見れば決してユーロが素晴らしい状況にあるわけではないのに、またしてもドルに対してユーロが強含む結果となってきており、週明けも同様の動きが継続しそうなそうば状況となってきています。今後のユーロの動きについて考えてみました。
1.12を割らない限り強気の展開
対ドルでなぜここまでユーロが強いかということについては、かなりのアナリストが様々な見解を述べていますが、米国の利上げ時期が二転三転する中にあって、ドルが売られれば「実需」のしっかりしたユーロが買われることだけはどうやら間違いがないようです。
さらにそれに長年にわたるショートの溜まりすぎも、ユーロ上昇の支援材料となっているようです。
また、相場のレベルが高まれば高まるほどコストとの関係からショートを諦める投資家が定常的に登場することも意外な上昇に寄与しています。さらに「ECB理事会」で「ドラギ総裁」が追加緩和出尽くしを示唆したことも大きな支援材料となってきています。
さすがに1日の週は対ドルで1.15を超えることはできませんでしたが、1.12を割らない限りは上方向への動きは確実なものになりそうです。
また1.12を割れば一旦相場はニュートラルへと戻りますが、それでも1.11を明確に割らない限りは下落トレンドになったとはいえない相場状況といえます。
4月初旬に1.15を超えれば8月の1.17を目指す動きに
ユーロドルの場合は決して青天井というわけにはいきませんが、日柄との戦いの中で4月中もしくは5月初旬までにどこまで上昇を実現できるかが大きなポイントとなりそうです。
1.15を明確に抜けた場合昨年8月の1.17レベルが次ぎのターゲットになりますが、このまま1.2まで目指せるかどうかが大きな問題となります。
6月には「UK」のEU離脱のための国民投票が迫っていますので、当然ユーロも影響を受けることになりますし、夏にはまたしても先延ばしにしただけのギリシャの巨額債務問題が浮上することから、ユーロへの支援材料はいきなり途切れることになります。
したがってこうした騒ぎのノイズレベルが高まらないうちに、どこまで上昇させられるか次第の状況になってきているといえます。
番狂わせは米国の利上げタイミング
ユーロがドルに対して上昇している大きな背景は米国の利上げタイミングの後退ですから、4月末に向けてまたしても「FOMC」メンバーから強気発言が登場したり経済指標が利上げを後押しするような内容であると状況は一気に変化することが予想されます。
とくに4月27日(日本時間28日午前3時)の「FOMC」でまさかの利上げとなれば形勢は一気に逆転することとなってしまいます。
したがってこのあたりの前には、一度ポジションを手仕舞うことが大切になりそうです。
全体としては不可解な動きなれど協調的な路線なら継続か
中国上海での「G20」開催時に中国を含めた形でドル安に関するなんらかの比較的ゆるい合意事項があったとすれば、今の動きはかなりわかりやすいものとして理解することができます。
とにかく、こうした合意があったかどうかは一切明らかにされていないことから、いくら類推してみても本当のことは判らないのが実情です。
しかしながらドル安基調が世界的な流れであると仮定してみますと、個別通貨ペアの動きもかなり想定ができるものとなりますので、一度この視点で取引通貨の状況を見直してみるとこれからの動きをある程度つかむことができるようになりそうです。
実際にポジションをとるときには、あくまでもチャート上で整合性が認められるときを重視することも大切です。どんなにトレンドがでていても余分な思い込みは失敗の元となってしまいます。
(この記事を書いた人:今市太郎)