3月19日の「FOMC」直後には米国の今年の利上げは2回止まりだったものが、各地区連銀の総裁による「タカ派」発言で最低2回と見る向きが急激に増えたことで、ドル安は一転して戻す方向となり、年度末のドル円にも微妙な影響を与え始めています。
25日には事実上世界の主要相場で唯一開いていた東京市場において、ドル円は113円を回復する事となり、3月年度末にむけて多少は戻りを試す相場展開が見え始めています。
とはいえ残り4日間で、一体どこまで戻ることができるのかを具体的に予測してみることにします。
まずは113.85円への戻りが最初の関門
25日の東京市場ではドル円に急激な買いが入り、113円台でも昼過ぎまで執拗な買いが113円台を維持させることとなりました。
年度末のなんらかの支払い需要があってのことなのか「PKO」の買いの一貫なのかは不明ですが、「113.32円」レベルまで買いあがったドル円はイースター休暇で薄商いな中でも113円台で週の取引を終えています。
週明け28日またしても本邦勢しかいない相場状況で、さらに上値を試していくことが予想されます。
フィボナッチリトレースメントで見ますと、1月29日の「日銀政策決定会合」後の今年最高値から3月17日の「FOMC」の結果を受けての最安値の0.382%戻しがなかなか超えられなかった「114.872円」レベルということになります。
あと4営業日の中で1円50銭上のラインまで戻りを試すことができるかどうかはかなり微妙ですが、まずは「FOMC」前のレベルである3月15日~16日の113.85円に戻すことができるかどうかが大きな試金石となります。
このレベルはあと70銭ほどで到達可能ですから、週明け早い段階でこの水準を突破できれば、再度週後半に向けて114円台の戻りを試すことが予想されます。
115円台は近くに見えても遠い存在
ドル円は2月11日以降大きく2回下値を試していますが、その後114円後半を抜ける形で戻す展開にはなっておらず厳密にはダブルボトムもトリプルボトムも達成せずに3月末を迎えています。
2月、3月に2度試して抜けることができなかった「114.87円」超のレベルを果たして抜けられるかどうがが大きなポイントとなります。
ただし、115円台には大量の輸出勢の売りが控えており、現状では114円台に乗せたところで売り浴びせが待っている可能性が極めて高く、残り4日で114円台を維持して終了できるかどうかはかなり難しそうな状況です。
110円~115円には引き続き強固なダブルノータッチOPが存在
ここのところ市場で囁かれ続けているのが110円と115円に設定されたダブルノータッチオプションの存在です。
たしかに110円近辺ではここを下抜けないための防戦買いが出ていたようですし、115円は長く「黒田ライン」や「トヨタライン」などを呼ばれてきた水準であるたけに、ここを抜けたところでこうしたオプションがかなり積み上がっていることも事実のようです。
「実需」の売りとともに、115円台を突破するのはかなり難易度が高くなりつつあります。
市場関係者の年度末の株上げ、ドル円上昇期待に程遠い相場状況
金融市場の多くのアナリストからは、参議院選挙を控え、この水準のまま年度末を迎えることは、7月初旬に発表となる「GPIF」の年度末決算の悲惨な数字を選挙直前に国民に開示することとなる為、何としても株と為替の水準を一定レベル以上に引き上げる事が安倍政権の急務という見方がされてきました。
しかし、市場関係者から強く期待されている財政出動や、二度目の消費増税延期は月内に相場上昇の起爆剤として登場する気配が依然として見られないままであり、年度末の相場の上昇に過度な期待をすることは逆にリスクになるという見方もではじめています。
ドル円は明らかに休日明けの22日から下がらなくなっており、少しでも上昇するのなら多くの投資家が買いにまわってみたいと思う相場展開です。
しかし、3月も数日ということですから、最後の4日間で買いについていくか、はたまた上昇したところをめがけて4月上旬に戻り売りで参戦するか、かなり判断の迷うところです。
30日を越えれば実質的な受け渡しが4月になることから、本邦勢の「インターバンク」も登場してくることになりますが、強い勢いが感じられないだけに高値をつかまないようにくれぐれも気をつけながらエントリーしていきたいものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)