先進国の「中央銀行」政策決定会合の内容発表で、時間を決めないで発表するのは、考えて見ますと日本だけというきわめて特殊な状況が長年展開されています。
しかしその内容発表の時間を調べてみますと、多少は中身があるものかどうなのかが類推できるようで、発表時間から緩和の可能性を想定するというのも必ずしも間違ってはいないことがわかります。
過去二年ほどの発表時間を調べてみた
ここ2年ほどの「日銀政策決定会合」の発表時間を確認してみました。
時間はすべて公表されている時間ということになりますが、よく見てみますと多少はトレンドが感じられる内容となっています。
まず11時台にさっさと内容が発表される場合は、ほとんど100%といっていいほど現状維持になっていることがわかります。
うな重を店屋物でとっているので早く届くと現状維持なら冷めない内に早めに発表するとか、食べ終わってから発表するなどという悪い噂もありますが、まんざら嘘ではない感じもしてくるわけです。
また12時台に入っても比較的早め、だいたい時12時15分ぐらいまでに発表になる場合もほとんど現状維持が多いことがわかります。
しかし追加緩和がなにか発表されるのはこれまでの時間をみると少なくとも12時28分以降であり、この2年間で一番遅かったのは2014年10月31日の「黒田バズーカ2」が決定されたときということになります。
しかし、その前の同年10月7日には何も発表がなかったのにも関わらず、13時54分に現状維持が発表されています。また2015年の4月でも現状維持にも関わらず13時04分発表されたレアケースがあります。
これを「アノマリー」といえるかどうかはよくわかりませんが、一応12時20分を過ぎても発表がない場合にはなにかがでると期待してもかなりその確率が高くなることは間違いはないようです。
ただ、13時を過ぎてからの発表で追加緩和が出たのは3回中1回ですから遅くなれば確実に緩和の発表があると考えるのは焦りすぎかもしれません。
追加緩和があっても11時台にすんなり出せないというのは、きっと何か最後までもめる部分が残されているのかもしれません。
このあたりはまったく公開されていないことから類推以外しようがないものですが、絶対とはいえないものの多少は時間によって期待できる状況が高まることは間違いないようです。
最も焦り狂ったのではないかと思われるのが、たった一言で反転しはじめた相場の動きです。
「黒田総裁」の場合には日本語だけで会見をやっていますから、発言内容が英訳されるまではリアルタイムで相場が落ち込むことはないわけですが、余分なひとことを言っただけで相場のコントロールを失うというのはかなり「中央銀行」総裁にはプレッシャーを与える状況といえそうです。
日銀は12月、1月と2回相場を逆走させている実績があるだけに、今回意表をついて追加緩和に踏み切った場合でも、これで出尽くしとみられれば「ECB」同様売り込まれる危険性はかなり高いといえます。
また迂闊に「マイナス金利」を深堀した場合でも、市場が好反応を見せるかどうかはわからず、かなり迷う瞬間になるのではないでしょうか?
さらに財務省とその尖兵で日銀に送り込まれている「黒田総裁」は消費税がさらに先送りになってはまたしても緩和の先出しになってしまうため、今回はなにか策を発表するとしても相当考え抜くことになるはずで、すぐには発表にならない可能性がありそうです。
逆に現状維持となった場合には、失望売りもあまりでなさそうな気配で、いつもとは異なる相場の動きになることも想定されます。
16日(日本時間17日の午前3時)には「FOMC」も控えていますから、前日にドル円が跳ね上がる施策を打ち出しても翌々日に完全にその結果をスポイルするような動きになることも気になるところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)