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OECD経済開発検討委員会の議長発言に注目

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世界景気の状況については、「ファンダメンタルズ」は悪くないという発言が多くの先進主要国の首脳から聞く機会が増えていますが、「経済指標」などを見ていますとなかなかそれを実感できない局面が増えていることも事実です。
米国を含めて決して景気はよくなっていないのではないか・・という疑問も感じられる状況です。
そんな中にあって先ごろスイスで開催された「ダボス会議」の席上、「OECD」経済開発検討委員会の議長である「ウィリアム・ホワイト氏」が行った発言がメディアでも多く注目されるようになっているのです。 

現在は2007年よりも悪い状況という辛らつな発言に注目が集まる

イギリスのデイリーテレグラフ紙の報道によれば、同氏は、現在の世界金融システムが脆弱化し、世界的な債務不履行と破産の大雪崩に直面しつつあり、社会的・政治的安定を破壊するのではないかと懸念していることが伝えられているのです。

またホワイト氏は現在の状況は2007年のときよりも悪い状態にあると指摘しており、その上これから始まる深刻な不況を防止する手段は残っていないと言い切っているところが非常に注目されています。

欧州の金融機関不良債権危機にも切り込む内容

いま全世界の政府や金融当局にとって次の任務は、借金の帳消しをどのように実行するのかという問題に向き合うことがともホワイト氏は指摘しています。

債券の帳消しをすると、社会的勝者と敗者が再編成され政治的な大嵐が吹き荒れるが、それをどうするのか?ということが最大の問題だと完全に破綻を視野に入れた発言をしていることが注目されているわけです。
こうした危機的な状況に直面すると、欧州の債権者が一番大きな損失を受ける。とも同氏は予想しています。すでに欧州の銀行群は1T$の不良債権を抱え込んでいるからで、それらの不良債権は、新興国市場関連のものであり、ほとんどを「ロールオーバー」して誤魔化しているので、顕在化していないだけだというのがホワイト氏の見方になっています。
実際「ドイツ銀行」のデリバティブポートフォーリオは総額で55兆ユーロに達しているといわれ、これだけでもEUの主要国「GDP」の10倍にあたるわけですから、間違いなく新興国の不良債権を取り込んでいるはずです。
ホワイト氏の発言はなんとも不気味ですが、BIS理事会のメンバーでもあった同氏の話は非常に説得力があり、重く受け止められ始めているのです。

中央銀行はすでに限界とも指摘

ホワイト氏は現状の「中央銀行」の政策が既に限界が来ていることを強く指摘しています。

先進主要国の「中央銀行」が「リーマンショック」後に「量的緩和」と「ゼロ金利」でばら撒いた刺激策のコストゼロのだぶついた資金の多くが、アジアやその他の新興市場に大量に流れてしまい、信用バブルを膨張させてしまったことが大きな原因です。
その結果、主要「中央銀行」はとめどない泥沼にはまり込み、新興国でも公的債務と私的債務の合計は「GDP」の185%、「OECD」加盟国では「GDP」の265%にまで膨れ上がっており、2007年から見て35%も増加したことを懸念しています。
リーマン危機」後、新興国市場は景気回復の牽引役となったが、すでに今ではその新興国経済自体が問題というのはホワイト氏の見方なのです。
特に「中央銀行」の「QE」については、米国やその同盟国による量的緩和マネーの垂れ流し政策に過ぎず、それを異次元緩和などと呼んでいるが、結局は将来から繰り上げたマネーの支払い効果しかなく、やっている内に中毒状態となり最後は牽引力を失うものだとも指摘しています。
年末から1月にかけて「ECB」や「BOJ」が緩和に動いても既に市場をコントロールできない状態はまさにホワイト氏が指摘している牽引力低下を示現しているように見えるわけです。

日本は先進国初の財政破綻国になるとも警告

ウィリアム・ホワイト氏の発言でさらに辛らつなのは日本は先進国初の財政破綻国になるであろうという見通しです。

こちらはさすがに聞き捨てらなない内容ですが、確かに1100兆円に膨れ上がった債務をほぼ「ゼロ金利」で20年以上政府が金利負担しない状況でしのいでいるわけですから、「インフレ」が始まって「国債」を保有することに魅力を感じない国内投資家が「国債」を売り始めれば利率の上昇と暴落は、海外のファンド勢ではなく国内金融機関から始まる可能性もあるわけで、決して侮れない見方といえます。
気になるのはこれが投資ファンドの「CEO」などのポジショントークを含めた発言ならば、さもありなんという感じですが、「OECD」の要人の口からここまで現状を正しく把握した発言がでていることが気になります。やはり相場は上昇よりも大幅下落に常に注意した取引が必要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎
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