市場は米国の3月利上げはほぼ可能性なしと織り込み直し
毎度おなじみの「CME」の「FedWatch Tool」によりますと、3月「FOMC」での金利は95.9%の確率で現状維持となっており、大幅に利上げ観測が後退しています。
通常このウォッチツールで90%以上の数値を示している場合には、市場のコンセンサスはまったく利上げに傾いていないことからほぼ無風の状態で通過することはどうやら間違いない状況です。
ただ、3月の「
FOMC」までの間に少しでもいい「
経済指標」がでれば、また利上げ可能性を口にする向きが登場することから、指標次第でドル円は上ぶれする可能性が残されています。
ただし、よほど大きな上昇期待でない限り、ドル円の下落トレンドの流れを変えるところまでには至らないのが現状と思われます。
気になるのは日経平均の二番底への下落の動き
現状で気になるのは「日経平均株価」の動きです。
一旦はオプションSQ睨みで1万5000円割れまで下落したものの、どうやら総投げの底値をつけたようで、ここで戻しても1万6000円超えではまた上値で「やれやれ売り」や投機筋の戻り売りが待ち構えていることから2月末の「G20」や3月の「
中央銀行」の政策決定会合までの間時間があることも手伝って再度二番底を試しに行く可能性が強くなっています。
こうなるとドル円も当然ついていくことになりますし、ユーロドルはまたしても1.14方向を試しに行くことが考えられます。したがって15日からの週でドル円がどこまでショートカバーするか次第で2番底への下落レベルも異なるものとなり、なかなかその判断は難しいものとなります。
フィボナッチリトレースメントでは115円、117.58円がポイント
あまりに短時間に下げたドル円ですから、それなりのショートカバーがでてもおかしくはないと考えられますが、まずは黒田ラインとかトヨタラインなどと呼ばれてきた「115円台」の初頭を回復できるかどうかがポイントになりそうです。
このレベルを超えると「117円台中盤」が61.8%戻しとなりますが、現時点ではここまで戻るのはかなり至難の業で「116円台」に乗せられるかどうかあたりが肝になりそうです。
いずれにしても下落トレンドが完全に回復したわけではない中での戻りとなりますから、再下落を意識して戻り売りでトレンドフォローをしていくことが重要です。
200日移動平均線を下回っている以上流れは下向きですから、本来下落トレンドでの逆張りによる買い向かいはリスク満載です。
同じ逆張りなら「戻り売り」の方がはるかに安全な状況が2月後半も続きそうです。
ユーロドルはドル円と逆相関状態
ドル円に注目が集まりがちですが、ユーロドルはドル円の下落とは対象的に値を上げた1週間で、すでに「1.14」超えが視野に入り始めています。
ただ、ユーロ圏もポルトガル国債の金利が大幅に上昇したりギリシャ問題が再燃したりしており、決して喜ばしい状況ではありませんし、「
UK」のユーロ離脱の国民投票が決定するとこちらも影響がでそうですから、今後まったくドル円と逆相関の動きになるかどうかは不明の部分もあります。
一定の下落局面では拾ってみるのがひとつの方法となりますが、状況の変化にだけはくれぐれも気をつけることが必要となります。
クロス円は今一歩様子見
ドル円以上に大きく売り込まれてしまったのがクロス円ですが、「原油価格」の問題はまだ流動的であり、円高が進んでしまった現状ではクロス円はなにかにつけて円高に進みやすい状況が続いています。
現状のパニック相場が十分に落ち着くまでは、レベル感で参入しないようにしておくことが重要になりそうです。
注意が必要なのは26日からのG20サミット
世界的にこれだけ株価が下げていますので次回の「G20」ではなんらかの協調行動が「口先介入」的に出る可能性も否定できませんが、強調介入といったことはなかなかできにくいのが実情です。
ただし、強調行動による「
口先介入」効果が一時的にでも出る可能性には注意が必要となりそうです。
ただ、その一方で中国がこの時期にあわせて「
人民元の切り下げ」を宣言しますと相場はもう一段下落することになりそうで、こちらの動きにも注意が必要です。
年明けからすでに1ヵ月で日本円にして10兆円レベルで資金の流出が進んでいるといわれる中国は、このままでは外貨準備に問題がでることはほぼ間違いない状態で、勢い人民元の「
変動相場制」によりその価格を市場に任せざるをえない状況に陥ることさえ考えられます。
2月の大幅下落は中国とは直接関係ない材料だけでこれだけ落ちているわけですからここに人民元の問題が加われば、これまで以上の下落を覚悟する必要がでてきてしまいます。