どうも今回の「黒田バズーカ」は過去2回の相場の動きと違うと、このコラムに書いたばかりですが、2日のNY市場は原油安に株安が重なって最初から軟調でドル円は明け方に120円割れとなりました。
すでに日銀会合後につけた121.400円よりも118,500円のほうが近い距離にあり、まさかの全値戻しも夢ではない状況になってきているのが足元の状況です。
発表当初から難解さをひきずっていた今回の緩和措置は、結局のところ規模の拡大によるバズーカが伴わない限り、日銀に「豚積み」されてきた既存の当座預金分には手がつかないことから、たいした効果なしと判断したのが市場の見立てとなってしまったようです。
それにしても3日持たなかったというのはかなりのショックであり、市場ではかなり見立てを謝って串刺しになったトレーダーも多いのではないでしょうか。
債券市場だけが典型的なバブル状況
2日の東京タイムでも株と為替は今一つ盛り上がらない状況で、すでにバズーカ3日目にして効果が切れ掛かった印象を多くの市場参加者に見せつけることとなりましたが、案の定NYタイムでは完全に効果切れを示現することとなってしまったわけです。
しかし「マイナス金利」のお蔭で、半ば壊れた国内の債券市場は少しでも利のある債券を求める金融機関の錯綜で完全な債券バブル相場が展開するようになり、正常な市場の機能が失われることとなってしまっています。
今のところ大きな問題にはなっていませんが、この先こうした市場破壊のツケは必ず回ってくることは間違いなく、「FRB」の出口戦略の苦闘をはるかに超える厳しい状況が近い将来国内の債券市場を覆いつくすことになるのではないでしょうか?
既にこの金融抑圧政策は誰の為に行っているものなのか?という疑問の声も高まりつつあります。
投機筋が今回の中央銀行バブルにのって相場が走らない訳とは
今回「ヘッジファンド」をはじめとする投機筋は黒田マイナス金利バズーカに乗らず、政策発表当初の買戻しによる為替の上昇もその後の買いでの追随がないために3日目にしてドル円はずるずる値を下げる結果となってしまいましたが、投機筋がバブルに走らなかったのには大きな訳があるようです。
それは、日本の緩和措置で「中国人民銀行」がさらに人民元を切下げるのではないかという憶測が高まったからで、円安よりも人民元安を恐れて、株も為替も買いに走らず資金を温存して様子を見ていることが大きな理由となっているようです。
実際円安でもっとも影響を受けるのが人民元ですから、春節にからめて市場が動かない事をいいことにこのタイミングで切り下げがでれば一気に相場は崩れることになりますから、心配の向きもわからないものではない状況といえるのです。
日経平均のフェアバリューも1万7500円程度
為替のみならず、「日経平均株価」も週明けの月曜日こそ大きく上昇したものの、後は完全に息切れ状態に陥っています。
足元の「日経平均株価」の一株利益1171円にPER15倍を掛け合わせて見ると1万7565円がフェアバリューということになり、現状の水準から大きく上がる状況にはそもそもないことがわかります。
金融的措置で株価を底上げしようとしても企業業績がそれについていかない限りは、外人投資家も積極的な買いを入れないのはあたり前で、日銀頼みで相場が大きく上昇するといった過去2回の「金融緩和」のようなやり方がもはや効かない時期にさしかかっていることも強く意識せざるを得ません。
昔から株式相場には節分天井などという言葉がありますが、今年はそういう状況にはならなさそうで、むしろ二番底をさらに試しに行く可能性を疑うべきタイミングになってきています。
当然ドル円もそれについていくことが予想され、どうやらこの「黒田バズーカ3」への適切な対応方法は戻り売りが正解であったようです。
市場は昨年とかなり様子が違うことだけは間違いありませんので、あまり決めうちで方向感を考えるのではなく、日銀「黒田総裁」の口癖のように上下双方向の可能性を考えながら、丁寧に売買していくことが求められそうな2月相場です。
(この記事を書いた人:今市太郎)