117円割れから始まった11日週のドル円は業者にもよりますが、ぎりぎり117円というところで終わり、週明けのオセアニアタイムからさらに場の薄いところを利用して116.07円方向に突っ込む可能性がでてきています。
一旦116円台をつけたことや、この週何回かドル円は下値トライをして117.20円レベルに止められたことから半ば安心して下値で買い下がりをしていたトレーダーも多かったことと思います。
しかし、「WTI」「先物」の「原油価格」が29ドル台である意味安定的に定着したことにより、NYダウはザラ場で1万6000ドルを割込み、既に暴落相場が始まっていることを彷彿とさせるような一週間の動きを示現させることとなりました。
問題はいよいよ週明けからの動きということになりますが、月曜日にはかなりの注意が必要になりそうな状況です。
まずは月曜朝7時の国内業者の強制ロスカットに注意
1月11日も一部同様の動きがあったようですがオセアニアタイムで大きく値を下げてしまいますと、月曜朝のFX業者のスタート時に「窓空け」から始める為、証拠金不足が出ることになるケースが続出します。
また金曜日(東京タイムでは土曜の早朝3時近く)には116.500円近辺まで大きく値を下げていますから、すでに金曜日段階でマージンコールがかかっている口座も多いはずです。
このため、強制ロスカットの履行がまた相場を押し下げるというきわめてよろしくない動きが露見することになりそうです。新年からの立ち上がり2週間で相当なトレーダーが痛んでしまったはずですが、週明けからもそれに追い討ちをかける動きが続きそうです。
市場への影響は漠然たる中国リスクより原油価格のほうが深刻か
中国上海市場の下落の動きは東京市場に大きな影響を与えることとなっており、ほとんど「日経平均」は上海の数字を見ながら推移するという情けない展開が続いた一週間となりました。
オフショアの人民元を売って下がったものを本土のオンサイトの市場で売るというリアルな「アービトラージ」を繰り返す人間の存在に気づいた中国政府はオフショアに介入するようになり、この一物二価という事態はなんとか収拾の見込みがついたようです。
火曜日に発表される中国「GDP」の作られた数字が7%を回復することで、一旦市場が落ち着くこととなるかどうかが注目されるところです。
もともと以前から継続してリスクが続く中国経済ですから個人投資家が気分で売り買いする株価の下落がどれほど実態経済を反映しているのかは甚だ疑問ですし、機械的に算出される人民元基本レートに一喜一憂するのもさすがに飽きた感があります。
「原油価格」のはサウジの強行姿勢でとうとう20ドルが定着しはじめており、同国の大増産姿勢を横目に「投機筋」が売り浴びせをかけるため、半ば需給とは関係なく価格が下落し不安が不安をよぶ流動性パニック相場が連日展開されて収まらないところが気になります。
NYタイムは完全に株価がこの動きに振り回されるため、本来月曜日が祝日の場合にはほとんど午後には動かないはずのNY市場は株も為替も大幅下落で週明けの動きをさらに心配させる形となりました。
「テクニカル」的にはかなりいい線まできているものの、もはやオシレータ系など見ても串刺しになるだけという無力な状況が継続中です。
ドル円は一旦115円台をつければかなりの達成感で戻す可能性も
昨年8月24日に示現した116.07円まではもうほんの目と鼻の先にさしかかっているのが、足ものとのドル円相場です。
既に15日のNYタイムで116.500円近辺まで下押しをしていますので、116.500円のバリアを粉砕するのは時間の問題で、116.071円を抜けた場合その下は2014年10月の「黒田バズーカ2」後に一旦緩んだ115.500円ぐらいしか、これといった下値線はなくこれを抜けると結構下まで落ちる可能性が出てきています。
これまでのコラムでも書きましたが、「ヘッジファンド」勢はドル円の20ヶ月移動平均線が割れるのを常に見ており、今月は月足でこの数字を割れるかどうかを息を呑んで待ちい構えているといわれています。月末から2月頭の売り浴びせも気になるところですが、トレンドは既に展開しており、一時的な下落ではなく長期的な下落が始まっている可能性も出てきています。
115円台をつければ一旦は戻すことになると思われますが、20ヶ月移動平均線が逆にレジスタンスになる可能性大ですので、117円が上値で下げる可能性も視野に入れる必要が出てきています。
くれぐれも底を打ったと勘違いしないようにされることを願うばかりです。まだ1月中盤というのになんとも重苦しい気分の週末となってしまいましたが、とにかく焦らずに淡々と相場に向き合い理路整然とトレードを継続させていきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)