カタール政府系ファンドグレンコア株とVWで大損失か?
ブルームバーグの報道によりますと、カタール政府系ファンド・カタール投資庁(QIA)はスイスの資源商社グレンコアの株価暴落とフォルクスワーゲン株の下落により、わかっているだけでも5500億円以上の損失を出しています。
グレンコア株はここのところの資源・「
コモディティ価格」の大幅下落の影響をうけて30%近い下落を示現しており、このQIAが筆頭株主となっています。
またフォルクスワーゲンについても3番目の大株主となっており、たまたま偶然が重なったとはいえ、損失を穴埋めするために他の資産売却が加速する可能性が危惧されています。
サウジアラビアは国際株式投資資金を縮小へ
また同じくブルームバーグの報道では、金融サービス市場調査会社インサイト・ディスカバリーの調査によると、サウジアラビアが最大700億ドル(約8兆4100億円)の資金を資産運用会社から既に引き上げたことが判明しています。
石油輸出国機構(OPEC)最大の産油国であるサウジアラビアは、原油安に伴う財政赤字の穴埋めの為に資産換金を早めている状況で、サウジアラビア通貨庁は外貨準備として保有する外国証券を7月に6610億ドル相当と、ピークだった昨年8月の7370億ドルから約10%減らしている事も判明しています。
こうした動きを受け日経平均は、まとまった売りが出るなどの影響がている模様です。
ノルウェーは政策金利引き下げ
ノルウェーは原油輸出をする資源国として有名ですが、9月24日、政策金利を0.25%引き下げ、0.75%とすることを発表しています。
予想外のこの利下げ判断の背景には、原油価格下落と世界経済の減速が、想定以上にノルウェー経済を圧迫していることが鮮明になりつつあります。
中国経済の悪化は、おそらく以前から悪化していたものであり、昨日今日で急激に落ち込んだものではないと思われます。
しかし、事実が外に出始めたことで、脆弱な世界経済の回復がリスクにさらされる事を、より一層危惧する動きが明確になってきており、負のスパイラルが世界の金融市場に広がりつつあることを予感させる事態になってきています。
レパトリやリバランスで為替相場にも影響か
こうした「オイルマネー」や資源国の動きの変化は損失や資金不足を招いている状況を穴埋めするために比較的利益の出ている日本株の売却につながる可能性が高まっており、レパトリエーションや外貨のリバランスは当然のことながら為替相場にも少なからぬ影響を与えることが予想されはじめています。
もちろん損失補てんや投資縮小というのは一定額だけ売り込めばそれ以上は下落することにはなりませんから、ある意味で下値を拾うチャンスになる可能性もあります。
また、9月24日の講演で脱水症状からふたついた「
イエレン議長」が妙に「
タカ派的」発言で12月末利上げの可能性を鼓舞したのとは裏腹に、米国の利上げは今年はおろか来年6月過ぎまでほとんど見通しが立たないのではないかという観測も高まりつつあります。
ゴールドマン・サックスのアナリストにいたっては、米国は来年の夏まで利上げしないとの予測を早々と発表しています。
外国人投機筋はドル円の20ヶ月移動平均線に注目中
海外の投機筋はドル円の「20ヶ月移動平均線」がサポートされるかどうかに注目している状況です。
これは「200日移動平均線」よりも下のラインを走っており、足元では113円30銭程度となっていますが、これを抜けるとさらに大幅下落すると見ている向きが多くなっているようです。
実際昨年10月末の「
黒田バズーカ2」の直前は日経平均も1万6000円を下回り、ドル円は106円程度の動きを見せていましたから、ここからそのあたりまで下落しても大きな驚きではなくなってきています。
問題はいったいどこが底値になるかであり、為替相場に限って言えば「
FRB」の利上げでドルが大幅上昇するという可能性はさらに下がってきているように思われます。
むしろ一回目の利上げが行われたところがピークになる可能性もあり、ドルインデックスの動きにも注目が集まります。