FX取引は通貨ペアを選択して、価格が上がるか?下がるか?を予想しながら売買します。
つまり「為替差益」を獲得していく投資方法が基本となりますが、それとは別に通貨ペアにおける金利の差からポジションを保有することによって、利益を得るという売買方法も提供されているのです。
これを「スワップトレード」と呼んでいます。売買の方向を決めて、ポジションを一日保有するだけでスワップポイントを獲得することができるため、FX取引のもう一つのトレード方法として確立されています。
特に資源国通貨の利率が上昇し、為替が安定傾向にある時には、再評価される取引方法となります。
スワップトレードの仕組み
各国の通貨にはそれぞれ政策金利が設定されています。
日本のように「0.10%」という極めて低い政策を取っている国もあれば、南アフリカように「5.75%」という高い金利を設定している国もあります。(2014年9月現在)
例えば、高い政策金利の通貨を買った場合、ニューヨーク市場が引けるところまでポジションを維持しているとオーバーナイト、つまり日を越して保有していたと認められ、この金利差分をスワップポイントとして業者から与えられることになります。
つまり、南アフリカランド円を購入した場合、上記の数値を当てはめれば、2国間の金利差「5.65%」が支払われることになるのです。
取引通貨ペアが多い程、選択肢が広がる
スワップトレードで、日本の個人投資家から長く支持されているのは、豪ドル円やNZドル円です。
いわゆる資源国通貨と呼ばれるものですが、比較的経済も安定しているため、新興国通貨ほど通貨リスクがなく、しかもスワップポイントが高いのが魅力となります。
こうした資源国通貨は、日本円との組み合わせだけではなく、ここ最近、金利が非常に低く抑えられているユーロとの組み合わせでも、同様にスワップポイントを確保する事が可能になります。
【参考 2014.9.4 】
ECB(欧州中央銀行)は、政策金利を現行の0.15%から0.05%に引き下げた。
ECB(欧州中央銀行)は、政策金利を現行の0.15%から0.05%に引き下げた。
日本の個人投資家にとっては、外貨同士のスワップトレードはあまり慣れてはいないと思いますが、こうした通貨ペアでの取引も、十分にスワップの恩恵を預かることができるというわけです。
FX業者によって、あらかじめ設定されている通貨ペアというものは異なります。
国内の業者では、一般的には「15種類ほど」の通貨ペアを設定している業者が多くなっていますが、外資系の証券会社はさらに豊富な通貨ペアを設定しております。
国内の業者にはない組み合わせも多く、スワップポイントが高い、魅力のある通貨を見つけることができます。現在国内で営業している外資系業者で、最も通貨ペアの設定が多いのが「サクソバンクFX証券」で、実に「164」ほどの通貨ペアを選択することができるようになっています。
続いて「IG証券は95通貨ペア」「OANDA証券が73通貨ペア」です。
国内勢では「ヒロセ通商が50通貨ペア」という具合で、このぐらい多くの通貨を提供してもらえると、新たなスワップトレードを展開することも出来そうなバリエーションとなります。
スワップは通貨金利差のはずなのに業者によって大きく違う?
スワップポイントは、金利ベースでその価格が決定されます。
本来は売りも買いも同じポイントであるべきですし、そもそも業者によって大きく異なること自体不思議な設定といえるのですが、こうしたスワップポイントにも業者のマージが含まれているのです。
取引所FXなどでは、売りと買いのポイントを同一にして、マージンを外だしにしているところもありますが、殆どの店頭FX業者は、自社のマージンをその中に混ぜています。
そのため、売りと買いのマージンが異なりますし、スワップそのもののマージン設定も大きく異なる状況となっているのです。
例えば、豪ドル円で言いますと、1万通貨を売買した時のスワップポイントは、高い業者なら「85円程度」をつけています。しかし、安い業者ですと、これが「45円程度」になってしまいます。
つまり、業者によっては1日だけでも「40円」という大きな差が出る勘定となるのです。
スワップトレードに資源国通貨復権
南アフリカランドや豪ドルなどの資源国通貨は、中国の経済状況に大きな影響を受け続けてきました。
しかし、ここ来て中国経済の停滞が、一旦一息ついているような経済指標が発表され、以前のような落ち込みから回復している状況にあります。
相変わらず「円」は低金利政策を崩していない事と、アベノミクス相場での円安で、スワップトレーダーには有利な土壌が整っているといえます。リーマンショック後から控えられていた、高金利通貨を対象としたトレード手法が、また脚光を浴びてきているのです。
新興国通貨のリスクも考える
資源国通貨以外にも、大きなスワップポイントを稼げる通貨ペアというのは存在します。
最近の流行としては、トルコリラ/円、ユーロ/トルコリラ、ユーロ/ロシアルーブルなどがあります。
ただし、こうした新興国通貨の場合、きわめて流動性が限られることは念頭において売買をしていく必要があります。またリスクオフになった途端に、新興国通貨の売買が不可能になり、一方的に価格が下落するといった事もあり得ます。
有利なスワップを超えて、含み損を抱える事も想定しておかなくてはなりません。したがって、新興国通貨でスワップトレードをするには、高値圏を絶対に掴まないよう、エントリーのタイミングを、より精査する必要があります。
また、何らかの原因で急激な値動きになった場合、長期狙いのスワップトレードといえど、見切りをつけて損切りをするというのも重要な考え方になります。
含み損をずっと抱えるよりも、一旦損切りをし、相場が落ち着いてから再度ポジションを建てた方が、効率の良いトレードができます。
通貨ペアによっては東京市場で売買できない
新興国通貨は、通貨ペアによっては「限られた時間帯しか取引ができなくなる。」という事も考えおく必要があります。たとえば、ユーロ/トルコリラの場合、基本的にはロンドンタイム以外は、売買ができない状態です。
トルコリラ/円の場合は東京時間中心となりますが、それでも流動性は極めて少ないことになりますので、スプレッドの極端な広がりなどにも注意しながら、慎重に取引をする事になります。
FX取引の特徴である、自由に24時間取引が出来ないのはデメリットであると言えます。この点から、豪ドルやニュージーランドドルに人気が集まるのも、理解できる状況です。
レバレッジを下げることでリスクを調整
スワップトレードはこれまで見てきたように、色々と気を使う部分が多くあります。
「スワップポイントを狙いにいって、損切りをせずに強制ロスカットになってしまう。」といった事例はよく聞きますが、このようなトレードは本末転倒であり、絶対に避けなければいけません。
リスクを最小限にとどめる方法として、最もシンプルなのが「レバレッジを下げて売買する」ことです。たとえば豪ドル円であれば、現在3万9000円ぐらいが1万通貨の証拠金となりますが、1倍のレバレッジで購入すれば、約98万円の証拠金が必要になります。
この1倍のレバレッジで購入すれば、仮に通貨レートが半分になったとしても、強制ロスカットに掛かる事はありません。
レバレッジを高くすれば、少ない証拠金でスワップポイントを獲得していくことができますが、相場の変動により「為替差損」が発生することも想定しなくてはなりません。
過去の高値・安値と現在のレートからレバレッジを決定する
スワップポイントだけを狙うトレードでは、過去のチャートを確認して、史上最安値・史上最高値を頭に入れ、現在レートとの位置関係から、レバレッジを決定する必要があります。
その際には、必ず「史上最高値・最安値はいつかは更新される」という考えのもと、十分に余裕を持った資金管理とポジション建てをすることが重要になります。
過去のチャートを振り返ってみると、強力なトレンドが発生している状況を確認することができます。
2007年11月豪ドル円は107円でした。それが、2008年10月には55円まで下落しています。
※豪ドル円月足チャート
わずか1年後に50円以上売り込まれる展開を誰が想像したでしょうか。相場は何が起こるか分かりません。常に最悪の展開をイメージして、自分の資金は自分で守る必要があります。
仮にレバレッジを下げたとしても、国内の普通預金、または一般的な外貨預金に比べれば、かなり良い利回りを手に入れることが可能になります。
そのような考えの基にポジションを建てる事が、スワップトレードで成功する為の秘訣といえます。
スワップトレード(長期保有)おすすめ手法
FX取引で最も大切なのは、週足のトレンドには絶対に逆らわないこと。取引ルールは、上昇トレンド中であれば、連続の陰線が3本出るまでは静観します。そして、3本以上の陰線を確認後、陽線が出たところでエントリーです。相場は上がるか?下がるか?2通りしかないのだから、「単純」な考え方で良いというこです。
※週足押し目手法
月足を使ったトレードスタイルです。値幅に余裕がありますので、通常スプレッドが広くて手を出せないマイナー通貨でも、取引を行うことができます。エントリーは、ダウ理論の考えを用いて「トレンドの発生」を見極めます。決済は基本的に1ヵ月。長くても2か月間のトレードとなります。
※月足手法
シンプルにとにかく「毎日買う」という取引手法。上手くいけば、スキャルピングやデイトレになりますが、逆行した場合は、スワップトレードになります。つまり、この手法は「塩漬け」です。月足・週足・日足のトレンドに逆らわない事がポイントで、資金管理を間違わなければ利益は残る!という考えのもとに取引を行います。
※塩漬け手法
「強い通貨を買い」「弱い通貨を売る」この考えを基軸とし、両建てを行う手法です。クロス円の7通貨を同時に見ると、日足でトレンドを作っているチャートもあれば、もみ合いになっているチャートもあります。この性質を利用して、「買い」と「売り」を同時に注文します。