「FOMC議事録」が公表されて、ますます12月利上げが確実の情勢になってきていますが、今年欧米系ファンド勢の中では唯一といってもいいほど一人勝ちしている相場予想の当り屋、ダブルラインキャピタルの「ジェフリー・ガンドラック」がパリ同時多発テロを受けてコメントを出しています。
単なるポジショントーク?新興国への影響を指摘
「ジェフリー・ガンドラック」は、パリの同時多発テロが少なからず経済・金融市場への影響は無視できないと忠告をしています。
こうした国々の信用収縮が進むことにより「FRB」の利上げは先進国市場より新興国市場の下げを加速することになると予想しているのです。
この人物は毎回ころころ話を変えることでも有名で、年初には利上げを予想し「ファンダメンタルズ」とは無関係であると豪語していた時期もあります。
「ガンドラック」自身が新興国に投資しているので、単なる「ポジショントーク」にすぎないのではないかという指摘もありますが、それにしても今年もっとも、市場を言い当ててきた人物の発言だけに注目が高まっているのもまた事実です。
エクスキューズできる理由が明確に浮上すれば利上げ延期というまさかの事態も
既に市場は向こう3回分の利上げまで折込始めているといいます。
12月第一週に発表となる米国の「雇用統計」がよほど酷い数字にならないかぎりはもはや利上げは止まらないというのが大方の見方で、これで利上げが延期になることのほうが市場ではネガティブサプライズになることは間違いなさそうです。
「CME」のFedウォッチもとうとう70%を超えてきており、「ローレンス・サマーズ」元米国財務長官が利上げにはこの数字が70%以上になる必要があるという指摘ラインを既に超えてきており、市場は完全に「12月利上げ」を既成事実化しようとしています。
ただし、サンクスギビング以降に米国内で大規模なテロなど不測の事態が起きた場合、利上げ延期という可能性もまだ残されていることは事実です。
しかし、ありえないことが起きることを想定した場合、とにかく週末超えをするポジションについてだけはしっかりストップロスを入れておくことをお勧めします。
もうひとつの番狂わせ要因はECBまさかの利下げ延期
こちらにはまさかの事態はないという読みが強くなっていますが、口先介入だけですでにユーロドルは簡単に300ポイント近く下落していますから、実施してもせいぜい1ヶ月~3ヶ月程度の賞味期限しかない追加「QE」のカードを本当に今ここで切ってくるかどうかにも注目が集まります。
Bank of America Merrill Lynchグローバルリサーチのデータによりますと、年末にむけて「ヘッジファンド」もリアルマネーもおよそ博打打ちのようにユーロドルを売っているようで、なにかの拍子でショートカバーがでれば簡単に1.08500を超える水準を突破し、そこからはストップロスのつけ具合で最大1.1程度までは何もなくても戻るという指摘もでてきはじめています。
FOMC前にユーロドルがショートカバーするとドル円は年末125円に届かない
「ECB」が利下げをせずにユーロドルにショートカバーが起きるかもしれないという話は、たらればもいいところです。
しかし、大きなショートカバーがなかったとしてもかなり織り込んでいる利下げが現実になって本当にパリティまで突っ込むかというとこれもまた怪しい話になりつつあります。
春先の1.0446レベルに肩を並べる程度で年末のユーロ需要から買い戻しが起きた場合、12月16日の「FOMC」前にユーロは上昇してしまう可能性も残されています。
こうなるとドル円は相対的な関係から「FOMC」に向けて上昇しても125円まで届かずに16日を迎えてしまう可能性もでてきています。
19日未明の「FOMC議事録」発表後材料出尽くしからドル円がずるずる値を下げて結局123円台を維持できずに下落したのはまだ実に記憶に新しいところですが、「FOMC」の利上げが発表されてもこの噂で買って事実で売るという動きがより明確に市場に現れる可能性があり、ドル円は125円に届かないことも想定しておくべきです。
ハロウィン以降は大方の市場の動きについていくことで、確実に実現益を増やすことができている状況ですが、プライスアクションを見ていておかしいと感じたときには躊躇なく実現益を確保するほうに動いて、利益を欲張らないことをお勧めしたい状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)