さしたる理由もないままにいきなり週明けの火曜日に大きく値を下げてしまったドル円ですが、ユーロドルの反転と組み合わせても重要なポイントをあっさり下抜けたことから、テクニカル的にはほとんど「トレンド」転換のようにも見え、多くのトレーダーの方がここからどうすればいいのかかなり悩んでいることと思います。
しかし、この状況はどうやらファンドの決算処分売りが大きな原因になっているようで、拙速な判断はまだ早いようです。
最大の原因はファンドの決算処分売り相場
相場というのは為替に限らず動いてしまった結果に対して市場の解説者がその理由を探して当てはめていくために、もっともらしい説明が行われることになりますが。
「原油価格」の下落が今回の相場に影響していることは間違いないものの、どうやら決算に向けて解約の相次ぐファンドが円の反転を仕掛けたようで、集中した円買いが相場の追随効果を生み出して結局122.200円をあっさり下回る結果になったようです。
もちろんこうしたきっかけ作りから相場の流れが急変して大きな「トレンド」になることも考えられますが、翌日以降市場は何度か下押しをしかけていますが、ドル円は121円割れを示現させられることができないまま、週末を迎えようとしています。
豪ドル、ユーロに続く3発目のファンドによる仕掛けか
今年は年末にかけて為替相場では、なかなか説明し辛い不思議な動きがいくつか見られました。
ひとつは豪ドルがいきなり猛烈に反転しはじめたことで、2つ目は皆さんご存知のように12月3日の「ECB理事会」の決定内容を市場が嫌気したと言われるウルトラショートカバーで、今回のドル円が3つめの不可解な動きとなっています。
こうした仕掛け売り、仕掛け買いの特徴は、どれも数百pipsの値がさしたる理由もないままに動くことで、豪ドル円では11月のあたまか12月までで520PIS,豪ドルドルでもざっと400PIPSが抜けています。
ユーロドルでは初動の450PIPSに加え「FOMC」前のさらなる「ポジション」調整と称して1.10300レベルまでプラス50PIPS以上値を上げましたから合計で500PIPSの値動きとなったわけです。
今回直近のドル円の下落は200PIPSですから比較的その値幅は小さいものですが、「日経平均」も12月早々に無理やり先物主導で2万円をつけてから12月10日にはNY市場で1万9000円割れをつけていますから1000円抜けており、これとセットで考えれば円関連でかなりの利益を確保できたことになります。
きっかけはファンドを購入している顧客の解約が大きな理由ですが、単純にその解約に応じるだけではなく、相場でそれ以上の利益を出して撤退する独特の解約相場が展開されていることは間違いないようです。
相対比較で見ますと、ドル円も「日経平均」もこの間の相場の大きな変動の中にあっても比較的安定的に推移し、利益幅が大きく確保されてきただけにその利幅を年末に向けてすべて吐き出すために一気に売ってみたというのが実情なのではないでしょうか?
ドル円はエンベロープ13日移動平均日足のマイナス1%で下落を阻止
ドル円をエンベロープの日足で見ますと、13日移動平均ではぎりぎりマイナス1%上でなんとか止まっています。すでに200日単純移動平均は下抜けてしまいましたが、今回は今のところこれ以上の動きにはなっていない状況です。
さらに下抜ければ120.300円ぐらいまでは覚悟すべきチャートの形状ですが、「FOMC」までには122.200円から122.300円レベル、さらにセンターラインである123円ぐらいまでは戻る可能性も残されているということになります。
多くの市場関係者が、「ECB理事会」でユーロドルが大幅下落し、「雇用統計」でさらにその流れが出来て「FOMC」前にドル円なら124円台に乗せるというシナリオを描いていたはずですが、相場の状況はまったく逆であり、それもきっかけを作り出す動きを仕掛けた人間がいることを示唆しています。
同じファンド勢でも個人の凡人投資家と同じようなシナリオを描いていた「ファンドマネージャー」はすでに市場からの退場やペナルティボックス入りを余儀なくされているようで、反対売買に対するさらなる反対売買がでるほど相場の元気がなくなっているだけに、動きについていく流れが増幅されやすく、今回の年末ぎりぎりのファンドの仕掛けが成功したということになりそうです。
なんとも不可解で不条理な年末相場はまだまだ続きます。
(この記事を書いた人:今市太郎)