12月17日の未明、大方の予想通り米国「FOMC」にて0.25%の「政策金利」の上昇が決定されました。事前の相場の乱高下に比べると発表後の市場の動きは実に緩慢であり、月次の「雇用統計」にも満たないほどの動きにしかならず、若干拍子抜けという感のある結果となりました。
ドル円は121.300円以下には下落せず、材料出尽し売りを買いが上回ることとなり、こちらも事前予想とは異なる状況となった次第です。ただ買いあがりもたいしたことはなく、翌日のNY市場でさえ123円には届かずに「クリスマス休暇」を目前に控える状況となっています。
株も為替も大きな混乱はなかったが本質的な変化はこれから
今年の4月から「やるやる」といいながら継続してきた利上げ実施時期の話ですから、いまごろ0.25%利上げが実施されても、確かに市場関係者に対するインパクトは限りなく少なく、しかも事前に折込でかなりドル円、ユーロドルが動いたことから、事前に「事実売り」がでたのが今回の利上げ相場の特徴といえそうです。
しかし金利上昇の市場への影響がでるのはこれからで、初動に混乱がなかったのは何よりですが、何の影響もなくこのまますんなり進んでいくかどうかはまだわからないのが実情です。
大手銀行はすでに貸し出し金利上昇で影響は始まっている
利上げの影響は随所に出始めています。大手の市中銀行はすでにプライムローン金利を上げていますし、市場では貸出金利上昇前に駆け込みでの住宅建築が11月に加速しています。
しかし「ゼロ金利」からの利上げ影響がでるのはまだまだこれからで、具体的にはクリスマス明けから動きになりそうです。
今後利上げの影響を受ける動きとして考えられるもの
まず利上げ後に減少するのは、企業の自社株買い、他社へのM&A関連での「レバレジバイアウト」などの件数が考えられます。
今年は70兆円以上の自社株買いがあって今の相場ですが、これがなくなればさらに相場下落が顕著になる可能性がでてきます。また、まともな「国債」に金利がつくことになるため、ジャンク債に対する売りが広がることも予想されます。
すでにエネルギー関連のジャンク債は大幅に値を下げていますが、今後こうした市場からの資金の照ったいいがより鮮明になることも予想される状況です。
新興国からの資金撤退がより明確になる可能性も高まっています。「リーマンショック」以降、新興国のドル依存度が高くなってきていただけに自国通貨にも大きな影響を受ける事態が待ち構えることになりそうです。
中国の人民元切り下げも注意が必要
今回の利上げを受けてもっとも大きな動きとなりそうなのが「中国人民元」の追加切り下げです。
8月に切り下げは行われていますが、依然としてドルに対しては高いのが「人民元」ですから、全体として10%程度の切り下げを行いたいと思っていることはほぼ間違いない状況です。
一回で大きく切り上げる可能性は低いとは考えられますが、3%程度の引き下げであっても8月のような下落を示現することになりますから予断は許されないものといえます。
特に「PBOC」はクリスマスも正月も関係なくいきなり休日でも切り下げを実施する傾向がありますので、この休みの場の薄い状況で何かが起きると大きな下落を引き起こす可能性もありかなり注意が必要となります。
このように米国の利上げに関するネガティブな結果が表に現れるのはまだまだこれからです。
当座の株価や為替の動きだけでは先のことはわからないと考えておくべきではないでしょうか。
特に年初となるこの時期には想定外のことが起こる可能性も覚悟していく必要がありそうです。とにかく気にすべきなのは上方向への上昇よりも大幅な下落が起こることだといえます。
できるだけ週末や休日の日をまたいで「ポジション」を持たないなどの工夫を考えることも重要になりそうです。「窓開け」のタイミングが増えるのもこの時期の特徴だからです。
(この記事を書いた人:今市太郎)