年が明けてからまだほんの数日しか経過していないのですが、今年は猛烈な相場展開がいきなりスタートしており、気が休まらない状況が続いています。
特に昨年たった10円強しか動かなかったドル円がいきなり動き始め、あっという間に3円近くまで下落するという激しい値動きが継続しています。
投機筋はドル円の20ヶ月移動平均線に大注目
この激しい変動相場の中にあってドル円で「投機筋」が注目しているのが20ヶ月移動平均線の攻防です。
直近の相場ではこの20ヶ月移動平均線が117円18銭レベルまで上がってきており、7日のロンドン市場でもこラインを割るかどうかのぎりぎりの線にまで下落しています。
まさにドル円8年サイクルの変化を示したチャートになっていますが、1月はこのぎりぎりの攻防が継続することになりそうです。
株式評論家やアナリストが口にする2016年の想定株価もほとんどがデタラメ
個人的には投資助言業資格をもつ株式評論家や、証券会社の「アナリスト」、エコノミストが口にする2016年の想定株価レートについても、よくまあそこまでいい加減なことが言えるものだと感心させられますが、本来「日経平均」の想定は一株利益(EPS)とPERの掛け合わせで決まるものです。
世界的にみてPERが18倍や20倍というのは投資対象としては割高でありえない状況ですから、15倍が最大と見ておくべきですが、現状のEPSが1215円で、PER15倍とすれば18225円程度が既にフェアバリューということになります。
2017年度以降に企業業績が大幅に改善すれば2万円超への戻りも期待できますが、現状では株価が大きく戻すことはありえない状況であり、当然ドル円もそれに応じたレベルでの相場展開を余儀なくされることは間違いないのが実情です。
既に1月4日週の週末の終わり値で119.700円レベルまで戻すことができなければ、当面120円方向を回復することはできませんし、ことあるごとに戻り売りをして下落機会を丁寧に狙うことが必要になってきているといえます。
1月中に116円割れは既に視野に
一部の外資系証券会社ではドル円の売り持ち、116円方向を目指した売買を推奨しはじめていますが、2015年は最大下落幅に近かった116円というレベルが、ほんのすぐ先に迫っていることには改めて驚かされる次第です。
ここから先一気にドル円が下落するかどうかは米国の、利上げタイミングにも影響を受けそうですが、少なくとも月内116円までは覚悟をしておいたほうがよさそうな雰囲気になってきています。
この場合ユーロドルは再度1.1をつけに行くことも考えられますし、クロス円が大幅下落する可能性も想定しておく必要がありそうです。
年明けからここまで下落のスピードが速くなるとはさすがに想定しきれませんでしたが、年初のコラム(2016年相場は年初から流動性パニックに要注意)で指摘した相場の下落リスクがいよいよ複合的な波状攻撃をかけてきていることは間違いなく、相当慎重で丁寧な取り引きが必要な時間帯にさしかかってきていると言えそうです。
とくに適当なレベル感での買い下がりや逆張りだけは、避けるべきなのが今の相場状況です。
トレーダーの方々は少なくとも昨年とは、相場が劇的に変化している事をしっかり認識すべきです。
官製相場で下値では誰かが助けにくる相場はもはや終了しています。お気をつけください。
(この記事を書いた人:今市太郎)