日銀は29日の政策決定会合で国債買い入れ額の増額ではなく、大方の予想外の「マイナス金利」を導入することとなり、この内容が伝わると、日経平均は一時597円高まで急伸したのちメガバンク株などが売られ274円安まで下げるなど荒い値動きとなりました。
一瞬往って来いか・・・と青くなった市場参加者も多かったと思いますが、売り買い一巡後は再び強含み、大引けの日経平均は前日比476.85円高の17518.30円となりました。
東証1部の売買高は41億2505万株、売買代金は4兆4317億円ですから、さすがに大商いということにはなっていますが、市場がどう評価するか迷った時間帯が結構長く続いたのが印象的でした。
一方為替は初動で単純に吹き上がりましたが、200日移動平均がちょうどレジスタンスラインとなり、121.400円レベルまで上昇した後は株価の下落にあわせて119.100円レベルにまで戻すというかなり荒い展開となり、その後120円台後半に戻してロンドン市場に突入しています。
ただ、121円台をどんどん買いあがるといったような単純な動きには至っておらず、なかなかエントリーが難しい動きになってきています。 (執筆:1/29 17:00段階)
※ドル円1分足チャート(発表直後の値動き)
※結局NY市場で高値を更新して、「121.1円」で引けております。
(ドル円15分足チャート 1/30日1日の値動き)
円高は終焉したものの上方向をどんどん狙うかはまだ不明
今回の日銀による「マイナス金利」導入では、12月に調整した「国債」の買い入れ額は投入せず温存した事になり、もう一段の「バズーカ」の手段は参議院選挙に向けて残すこととなりました。
したがって、手立て終了とばかりに海外の投機筋が戻りの売り浴びせをかけてくるというわけにはいかない状況です。
ですから、レンジ相場を想定しつつも、この先再上昇のトレンドがどこかで明確に形成されることになるのかどうかについては今の段階で敬虔に判断するわけにはいかないのが実情となっています。
ロンドン、NYの各市場の評価を一巡させたところで来週以降どのような動きになるのかを見極めないと次の手を打ちにくいというのが正直な印象になってきています。
2014年10月31日の「黒田バズーカ2」では少なくとも大きく逆走するといった局面がないまま2円以上どんどん価格が上昇し、ロンドン市場以降も大きくドル円は上昇することとなりました。
しかし、今回ロンドン市場では一旦120円台の中盤前後で相場がうろうろする状況になっており、この先123円方向までリニアに上昇する相場が形成されるのかどうかについては、まだはっきりと判断できない状況です。
NYタイムの終値がレンジとしても最低限120円で維持されるのかどうかも大きなポイントとなりそうで、これが割れて終了することになると、かなり印象の悪い週末の迎え方になってしまいます。外国人勢が望んでいた割にはたいして上昇しない点も気になるところではあります。
中国市場も原油も日本のマイナス金利では解決しない問題
確かに株も為替も今回の、「日銀マイナス金利」実施で一旦底からは抜け出すことができそうですが、本質的な解決に日銀の政策が寄与しているわけではありませんから、これがどのぐらいの効力を発揮するかが難しい判断を迫られるところになりそうです。
また、「日銀マイナス金利」ということでユーロと同様に円キャリー取引が増えることになれば円買いも一定以上のボリュームがでることになり、一方的にドル高にはならない部分がでてくることになるのも気がかりなポイントとなります。
どうも相場の動きを見ていますと、様子見を決め込んでいるプレーヤーが多い感じで、ポジションを傾けにくい印象が強くなってきています。
とくにこの週末121.60円レベルを超えて終える事ができれば、来週以降も上昇を期待することができそうですが、これ以下ですと結果的に戻り売りに巻き込まれる可能性も視野に入れておいたほうがよさそうな微妙なところに差し掛かっている感じです。
とりあえず週が明けて2月1日以降も今の動きが継続するかどうかをみてから、市場に参入しても遅くないかもしれません。
(この記事を書いた人:今市太郎)