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市場はすっかり日銀の「マイナス金利」に気をとられているようですが、１月28日ブルームバーグがUBSグループの警告として、上海・中国株に強制処分により大量の売りの公算を警告して市場の注目を集めています。
東京タイムはすっかり10時15分、10時半に反応しなくなったが・・
1月25日週の東京タイムは一旦株価が大きく戻したことから10時15分と10時半恒例の「中国人民銀行」の人民元レートや上海市場のプレオープンの株価にほとんど反応しなくなっています。
しかし、上海株式指数は順調に下げを続けており、すでに2600台にも突入するレベルまで下落が進んでいる状況にあります。
大方の中国の個人投資家は2500が底値レベルで春節（2月8日からの旧正月）に突入するものと楽観視しているようですが、UBSグループは今後強制的な売りが大量に出てくる可能性を警告しはじめており、市場の注目を集めているのです。
株式担保の融資の追加担保差し入れが急増中
上海市場は個人投資家がほとんどの市場で相場が大きく下落しても、個人投資家が追証を求められて売りを加速する以外には混乱は起こらないなどいう見方をする市場関係者が多かったわけです。
しかし、実は2015年に中国株式市場の株価が急騰する過程で、多くの中国企業が自社株を担保にして金融機関から融資を受けており、足元での株価急落で追加担保の差し入れを要求されたり、株式の売却を迫られてている企業が多くなっているというのが今回のUBSの指摘の内容です。
この追加担保差し入れや株式売却を迫られている企業数は、融資を受けた企業だけでも数千社に上るため、ほぼ同数の企業が直近でこうしたリスクに直面しており、いわば企業ベースのミンスキーモーメントが、今まさに起きようとしている状況にあるようです。
中国株が下げ続ければ、株式を担保にした取引に絡む売り圧力は大幅に高まる可能性があり、株式市場にさらなる圧力が加わるというのがUBSの警告の内容となっています。
確かにこれはありえない話ではなく、特に一定のラインを切った時に東証などでも証拠金不足から追証を求められて強制決済が出るのと、同じような動きを加速させる可能性がある事を示唆しており注意が必要です。
旧正月前に大きく下げれば暴落は休み明けか？
足元での上海相場の売りは旧正月を前にした換金需要と言われているようですが、昨年末米国のエネルギー系のファンドが破綻した時も解約売りが大量に登場して、換金処分が進んだのは年明けからですから、上海市場の場合も2月後半の旧正月明けに大きな下落の動きを示現させる可能性を考えておく事が重要になりそうです。
「ECB」の追加緩和措置にしても、日銀の「マイナス金利」にしても中国経済の助けになるファクターは全くありませんから、年明けからの危機的な状況は何一つ改善していない事だけはしっかり意識しておくことが重要になりそうです。
中国の相場変動は実際に起こってから大事になるのがほとんど
為替を始めとする相場は面白いものですが、中国のリスクというのはもう1年も2年も前から指摘されていることでしたが、「中国人民銀行」が「人民元の切り下げ」を実際に行うことで大騒ぎになり暴落を引き起こしています。
しかも一旦相場が中国を気にし始めると、10時15分に過敏な相場の動きが展開するようになり、毎日が「雇用統計」の結果待ちのような様相を示すことになりましたが、一旦のど元を過ぎると何事もなかったかのように関心が薄れるという、実に都合のいい動きをしているのが良くも悪くもこの相場の特徴といえます。
したがって、上海市場の下落がどのタイミングで市場のセンチメントを変えることになるかはわかりませんが、これまでにない暴落が出た時にはUBSがここで指摘しているようなリスクが起こりうることを念頭において売買をしておくことがよさそうです。
何もなければ取り越し苦労で済みますが、一旦「リスクオフ」のボタンを押すことになれば、相場は株も為替も大幅な下落に向けて突っ込むことになる危険性があります。
（この記事を書いた人：今市太郎）
