26日のNYタイムは米指標の中で、2015年第4・四半期の国内総生産(GDP)改定値が年率換算で前期比1.0%増と、速報値(0.7%増)から上方修正されたため、序盤から大きくドル円が買われる形となり、114円に迫る勢いとなりました。
市場では0.4%増への下方修正が予想されていただけに、またしても米国の年内利上げ期待が高まった格好となっています。
当面はこうした指標の結果に合わせて利上げ観測が強まったり弱まったりする、一喜一憂の相場展開が続きそうですが、ドル円に関する限り、114円に戻ったからといってこれで大きく流れが変わったことにはなっていない点に十分な注意が必要となっています。
特に現状のチャート状況で底打ちしたと決め込むのはまだまだ、早いといえます。形は基本的に変わっておらず、潮目の変化を確認するためには今しばらくの時間が必要となるようです。
このあたりを読み間違えますと、3月相場では大きな損失を被ることがありますので、細心の注意を払って相場を見守ることが必要です。
ダブルボトムというのにはまだ早い
市場ではドル円が既にダブルボトムを形成したというアナリストもいますが、現状では2月16日につけた「114.869円」を明確に上抜けしないかぎりはダブルボトムとはいえない状況です。
この週末に114円に迫ったことで、かなりそうした可能性も高まりつつあることは確かですが、現状では上値も切り下がり、下値も切り下がっているだけですから、これで上方向に大きく抜けると考えるのはまだ過信といえます。
厳密にいえば1月29日の「日銀マイナス金利」発表時に吹き上がった「121.689円」を抜けない限りは上方向に動くとは言えず、この範囲であればいくらでも戻り売りの可能性があることだけは注意が必要となります。
3月第一週の米経済指標でまた下落も
本来3月は株式相場も年度末で上昇が期待されることから、ドル円もそれについていく相場展開が多いのですが、今年は例年よりも1ヶ月相場の動きが早く、しかも12月からの「ECB」「日銀」の緩和措置を受けてもドル円も上昇しなければユーロドルも下落しないという、「中央銀行」政策無反応相場が継続していることが気になるところです。
米国の上述の「GDP」の改定値は上方修正されていますが、マークイットが24日に発表している米国の非製造業の「PMI」は50を割り込む事態となっており、週明けに発表となる3日の「ISM非製造業景況感指数」の行方と、4日に発表となる2月の「雇用統計」の動きが注目されます。
この2つの指標結果が大幅に悪化するようであれば、米国経済と消費に関する先行き不安が拡大し、ドル円は再び下落する可能性が高まります。
3月はいよいよ中央銀行政策相場の再開
12月に矢継ぎ早に出された「ECB」「FRB,「日銀」の政策決定は奇しくも、3月10日に「ECB」16日に「FOMC」という順番でまたしても次々と発表される決定内容に振らされることになりそうです。
最後に「FRB」の利上げの発表が登場するわけで、利上げ延期となればまたドル円は下落方向に向かうことも十分に考えらます。ただし相場の動きはレベル感だけで売り買いを決めるのではなく、しっかりチャートでエントリーポイントを確認することが必要です。
相場を動かすファクターが特に多くなる時期ですから迂闊なレベル感で売買を繰り返すとかならず大きくやられることになります。特にドル円は3月末上昇だけを期待して安易に底値で買いを入れても上昇しない可能性が高くなっており、注意が必要です。
(この記事を書いた人:今市太郎)