22日東京タイムの午後、ブルームバーグの不確実でどこまでが本当か全く判断のつかない観測報道ひとつで大きく買い上げられた株と為替は、週があけてもオセアニアタイムに仕掛けの買いがでたものの、それ以上の材料が何もないことから、結局上値を追うことができず微妙な高止まりを見せています。
日銀の追加緩和観測はとにかく現時点では嘘とも本当とも言えず、これ以上買い上げるわけにもいかないものの、一概に売りに回るわけにもいかないというなかなかセンシティブな状況が28日までずるずる続きそうです。
ドル円は1992年以来のドル円ショートが溜まりに溜まった中で、降って沸いた観測記事だった事から、かなりショートの解消が進んだようで22日の晩、NY市場ではじりじり111円台後半まで一貫して戻った動きとなり多くの「投機筋」が一旦ドル円のショートを外した事が窺い知れる状況となっています。
やはり登場してきたイベントドリブンファンド勢
為替のドル円のほうは妙にショートカバーが進みすぎた感もありますが、日経平均のほうは薄商いに乗じて、またまた「イベントドリブン」ファンドが登場してきているようで、28日の日銀の発表ぎりぎりまで株価を押し上げて直前で売りさばき、逆に上がったところでは倍返しで売り仕掛けてくる可能性が高まりつつあります。
昨年末、中央銀行政策決定会合ではとりをつとめた日銀の発表で補完措置といったわけのわからない内容が飛び出したあと、アルゴリズムの反応で買い上がった相場は、その後一貫して下落を辿り、この下値追いは残念なことながら年末の相場にまで継続してしまったのは記憶に新しいところです。
「イベントドリブン」ファンドは往々にしてこうした仕掛けを行ってくるもので、今回も翌日からゴールデンウイークが始まるという実に売り浴びせには好条件が揃っているといえます。
こうしたファンド勢が今回も暗躍するとなると仮に何らかの緩和措置で一旦ピークまでつけた相場は戻り売りの絶好の標的になりそうな状況で、最初から決め打ちするのは危険すぎますが、プライスアクションをみていると売れるかどうかが判断できる時間が到来しそうな状況となってきています。
日銀の緩和でドル円が大きく押し上がる可能性はかなり低い
もちろん相場のことですから絶対という言葉はありえませんが、これまでの追加緩和のようにどんどんドル円が上値を追い短期間に10円以上、上伸する可能性はほとんどないと思われます。
むしろあるのは材料出つくしと失望売りの可能性で、いきなり下げ始めては仕方ないのでそのまま順張りでついていくしかありませんが、一旦買い上げる場面があれば戻り売りにチャレンジしてみるのもひとつの方法と考えます。
とくに為替は戻り売りのほうが大きな利益をあげられそうですが、今回売り込まれても110円を切れたあたりや109円レベルで止まる可能性も多く、107円方向で更なる下値を探る動きにはならないと思われますので、ある程度利益がでたらしっかり利確しておくことが重要そうです。
ここまで市場が日銀のなんらかの追加緩和を織り込んでしまったわけですから、何もしませんということはないとは思いますが「ETF」の増枠のような話がでても為替の支援にはなりにくく、ブルームバーグで報道された内容が実際に登場してもすでに折込済みであることからそれを超えるものがでないかぎり上方向はかなり可能性が少ないと見ていいのではないでしょうか。
また「ロイター」の報道では性懲りも無く「マイナス金利」の深堀の影響もチェックしているということですから、まさかの「マイナス金利」幅の増大となれば市場がかなり嫌気して金融株が売られまわりまわってドル円が下落というケースも考えられます。
「イベントドリブン」ファンドが果たしてどこまでがんばることになるのか次第の部分もありますが、今回のこのなんとも調子のいい日銀会合前での上げは、大きな落とし穴の前兆に思えて仕方ないところです。
とにかく結果は28日にかなり明確にはっきりすることになると思いますが、前日深夜の「FOMC」を受けてドル円の動きから日銀前の上昇、そしてその後について一定のシュミレーションをしてイメージをもっていると、ゴールデンウイーク前に思わぬ小遣い稼ぎができるかもしれません。
(この記事を書いた人:今市太郎)