いよいよ膠着状態から一歩踏み出しそうな6月相場が始まることになりますが、それぞれ順次起こる政治的なイベントは結果次第で互いに相反することになる可能性も高く、一方的に上がる、下がるといった方向を断定するのは非常に難しく、なおかつ危険であると考える必要がありそうです。
6月FOMCを軸にして想定される複数シナリオを考えてみる
時系列的には「安倍政権」が消費増税先延ばしを決めて発表するのが、一番早いかと思われましたが、週明けにすんなり発表するかどうかも不明でこのタイミングが「FOMC」の前に来るのか後にくるのかによっても為替相場の動きは変わりそうです。
とりあえず不確定要素なので一旦除外して「FOMC」から考えて見ますと、6月3日の「米国雇用統計」で賃金の上昇がはかられることになれば一層6月利上げに対する期待が高まることになりそうですが、6月が見送りとなった場合には株は上がり、為替は下落となるものの、7月を明確に匂わす声明内容がでれば、そのままドル円は買い進まれる可能性がでてきます。
また、万一6月利上げが断行された場合には株価が下落することになり、ドル円はNYタイムに株に引きずられて下落する可能性が高まることになります。
ただ、米国政府の要請を受けて翌日の日銀の政策決定会合で大幅な追加緩和が飛び出すようなことがあれば国内の株と為替は大きく買われることになり、下落は一瞬ということになってしまいます。
逆に日銀が6月にも緩和を行わなければ、またしても失望売りがでる可能性を考える必要がでてきてしまいます。
この段階で消費税先送りが決まっているかどうかも大きな問題になりますが、先般の「GDP」の結果から言えば大きな財政出動をする必要があるのかどうかという問題もあり、仮に消費増税再延期と財政出動が決まってもその規模がたいしたものでなければ買い上げるのは本邦勢だけで、期待ほど株も為替も上がらない可能性もでてきます。
サミットで今の状況は「リーマンショック並」といったことから非常事態で増税を見送ることが本当にできるのかどうか、なんとも怪しい状況ではありますが、この材料だけでどこまで買いあがるのかが問題になってきそうです。
7月FOMCで利上げならNY株価は大幅下落
そして6月に見送った利上げが7月の「FOMC」で実施となった場合には、やはり株価は大きく下落することが予想されますから、為替はそれに追随する動きになる可能性が高く、参議院選挙対策が国内ですべてで払った中で下落が始まればドル円は大きく下落を加速する可能性が考えられることになります。
材料出つくしの中での下落となれば、このタイミングの利上げがもっとも市場へのインパクトの大きなものになることも想定しておかなくてはなりません。
このように日にちが決定しているイベントの場合には、それぞれの事象ごとに二つの方向性が考えられますが、日程の決まっていないものがその前に来るか後に来るかでシナリオは常に変化することになりますので、実際の動きにあわせて順次シナリオを修正して望むことが必要になりそうです。
また一定のシナリオを作成した場合に、テクニカル的にそれがワークするものなのかどうかを見極めてからポジションをつくる必要がありそうです。
ここではあえて「UK」のEU離脱リスクについては、その可能性が低くなってきていることから外して話をしていますが、まさかのリスクとして残っていることは間違いありません。
一番有効なのは動く前に仕掛けずに、動きがでてからその流れについていくことです。
全体としていえることは、海外投機筋が7月以降日本の株式市場の材料が出尽くしたところで下落するという共通認識を持っていることで、これが正しければそれなりの規模でドル円も下落方向についていくことになりそうだということです。
これもそうした下落が起きるまでにどこまで戻しているかが大きなポイントとなり、早い段階から戻りがなければ下落もたいしたものにはならないことになります。
こうしてシナリオの一部を書き出してみても、かなり煩雑で難しいのが6月相場になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)