8月2日、政府の経済対策の発表を待ち構えるように、ドル円も日経平均も大きく売り浴びせが行われ、ドル円は久々に100円台の中盤となる「100.663円」まで下落することとなりました。
「アルゴリズム」も短期の投機筋もまるで内閣の発表を待ち構えたかのように、ロンドンタイムから売り浴びせをはじめ、ほとんど戻りがないままに100円台中盤まで下落するという、いつもの日銀プレーの延長線を眺めることとなってしまいました。
しかし市場参加者は明らかに少ない状況で、短期筋は売ればどこかで買い戻すことになるため相場の動きには迫力がなく「ショートカバー」も必然的に売りに人数が少ないだけに、弱々しくしか戻らないという夏枯れ独特の相場展開となってきています。
この100円66銭レベルというのは参院選以降「ヘリマネ」ネタで大きく戻した水準からちょうど78.6%を超えるレベルまで戻したことになり、現状のネタだけからいいますと、結構いい線まで押したともいえる状況です。
ここから100円を切っていくためには、ほかに材料がないとちょっと難しいところにさしかかっており、週末の米国の「雇用統計」もありますので、なかなか突っ込んで売られにくい状況ともいえます。
ダブルボトム形成かさらに下抜けか?
チャートで見る限りは一旦戻してもよさそうな気配がありますが、材料出つくし感も強く、戻るきっかけがないとまた下落に転じることになりそうです。
すでに105円から上は相当な材料がないと買い戻せないレベルになりつつあり、明らかにレンジは一段下がってしまった感があります。
仮にかなり「雇用統計」の数字がよかったとしても、ここからどんどん上昇する材料には思えず、何がドル円を引き上げてくれるのかが見つからないかぎりは当面「戻り売りに徹する相場」となりそうです。
またしても登場した原油価格の低迷
ここのところすっかり安定して誰も為替相場では気にしなかった原油の先物価格が、いきなり40ドルを割る事態となり為替にも株にもシリアスな影響を与え始めています。
国内では「ヘリマネ」騒動に気をとられて、原油が安いからドル安円高というのもかなり唐突な気がしますが、またこの夏は原油価格を横睨みしながら為替の売買を行わざるをえない状況です。
もともと原油の先物価格は何もなくても夏場は安値をつけやすいのですが、足元では「OPEC」が史上最大の生産量となっていることから、需給のバランスが崩れて在庫が増えるのは当然のことで、生産調整がまったくできていないお粗末な状況が引き続き続いていることがあらためて認識されるところです。
嫌なのは、SWF(ソブリンウエルスファンド)の動きで、またしても資金難に陥ると日本の大型株の追加売却などを再開する可能性が高く、秋口にかけてわけもわからず株価が下落する相場展開に直面するリスクも出始めてきているのです。
ロシアのプーチン大統領は春先メディアのインタビューに答えて、「1バレルが50ドルを簡単に上抜いているほど原油価格は上昇しない」といった発言をしていましたが、意外にもその読みはどうやら正しいようで「シェールガス」などの価格を含めて、この問題でひと波乱起きることも想定しておくべき時期にさしかかってきています。
とくに原油価格の下落は「デフレ」の温床になってきており、米国の利上げタイミングにも大きな影響を与えることは間違いありません。
為替相場は面白いもので、みなが気にしはじめるとその材料が大きな影響市場に与えることになるものですが、またしても「原油相場の時間」がやってきているようです。
ある意味、ダブルボトムを下抜くドル円の動きが出るとすれば、それは原油価格が再び大きく売られるタイミングなのかもしれません。
春先かなりの買いを入れていた「ヘッジファンド」は今大きく原油を売る側に回っており、当分この価格問題は解決がはかられない動きが続きそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)