26日のジャクソンホールにおける「イエレン議長」の講演内容は、時期こそ明確にしていませんが、事前の地区連銀総裁や副議長の発言にシンクロする形で利上げを示唆する内容となり、ドル円は101.935円まで跳ね上がる形となりました。
米国の「経済指標」は依然まだら模様が続いていますが、他国の状況に比べればかなり改善されており、なにより株価が史上最高値を更新し続けている中にあっては、ここで利上げができなければこの先も利上げは不可能になります。
なにより前回の利上げから1年近く経過している中で利上げを見送れば来年以降の利上げにも支障がでることは間違いありませんから、明確に利上げの観測気球をあげて、その選択肢を確保したものとみられます。
ここからのドル円の上値はかなり厳しい状況
26日の23時20分ごろに100円近くまで下げたドル円は、その後上昇し101円台中盤まで一気に上りつめ、翌日朝の4時近くに101.935円をつけることになりなりましたが、これだけの買い意欲でも102円台には届かず、ここから上方向は9月を控えて実需の決済のための売りも相当に並ぶことから上昇余地はかなり限られるものとなりそうです。
注目される株価は明確な利上げ時期が開示されなかったことを好感したのか、「イエレン」講演後に意外にも上昇の反応を見せ、ダウ平均は一時123ドル高まで上昇することになりましたが、フィッシャー「FRB」副議長が8月「雇用統計」は「FOMC」の決定に影響すると述べ、「イエレン議長」の発言は9月利上げの可能性と整合すると発言したことが伝わると大きく値を下げ、利上げが具体的に示されれば相場が下落することを強く示唆する動きとなりました。
8月雇用統計が注目イベントに
フィッシャー発言のおかげで9月2日に発表される8月分の「雇用統計」に一旦大きな注目が集まることになりそうです。
毎回ご紹介している「FedWatch」の確率は「イエレン」講演を受けて一気に跳ね上がっており、確率だけから見れば9月利上げをも織り込む形になってきていますから、「雇用統計」の結果を受けてここからどこまで株価が下落するのかが大きなポイントになってきそうです。
ここからの売買シナリオ
利上げが確実になればドル円は確実に上昇しますが、米国の株価は9月という下落のシーズナルサイクルにさしかかることも手伝って利上げを嫌気しながら下降することが予想されます。
米国の株価下落は日本の株価にも少なからず影響することになりますので、株の下落がまずドル円の上値を抑えてくることが容易に想定されます。
また「FRB」はドル安についても大きく舵を切ろうとしていますから、利上げ=ドル高という構図が単純に維持されなくなる可能性もでてきます。
今回のジャクソンホールの会合では日欧の「金融政策」の緩和余地の可否についても検討が行われたようですが、9月21日に日銀がどのような政策を打ち出すかはわからないものの、客観的に見て日銀と「ECB」の緩和にこれ以上期待することは難しいのは間違いなく、「FRB」としてはとにかく早いところ金利を正常化しておきたいと考えているはずですから、9月利上げについてもまだその可能性を想定しておくべきでしょう。
ドル円の場合上昇しても必ずその先に下落が待っていますので、安易にレベル感で売り上がるのは危険ですが、指標発表で示現す最高値では戻り売りで対応しておくことが大きな利益機会に結びつくものと思います。
これまた毎回ご紹介している日足の200日移動平均線と相場の関係ですが、今年1月末に日銀が「マイナス金利」を導入して瞬間的に上昇してから一度たりとも相場の動きがこの200日移動平均線を越えたことはありません。
これは単純移動平均でも平滑移動平均でも同様で、年間のコストともいえるこのラインの上で相場が展開しないかぎりは延々と戻り売りのタイミングが続くことになります。
実際の移動平均は現在の110円の上からこの先どんどん下落してくることになりますが、それでも102円の下から見るとはるか上を走っており、これを上抜けるのは至難の業なのが現実の状況です。
9月相場の商機は戻り売りにありを意識して売買していくべきでしょう。
(この記事を書いた人:今市太郎)