9月も既に終了しようとしていますが、この7月からの「IMM」の投機筋によるドル円売買のポジション推移をみてみますと、米系のファンド勢がドル円相場をどうみていたのかということが改めて認識できてかなり参考になります。
もちろん「IMM」のポジションというのはシカゴ市場の一部の動きに過ぎませんから、慎重なファンドはトラッキングにあわないようにここで取引しないという話も最近よく聴くようにはなっていますが、トータルのボリュームはさておいても、ファンドがその時々でドル円のポジションをどう傾けたきたのかだけは理解することが可能です。今回は改めてこの7月からの動きをおさらいしてみたいと思います。
99.500円を明確に抜けてくると様子が変わる可能性
この夏、参議院選挙の終了あたりから8月のお盆を経て、9月21日の日米中央銀行の政策決定会合までファンド勢がどのようにドル円のポジションをもっていたのかの生データとなるのが下記の数字です。
Data IMM report
これによりますと、夏のお盆の時期にかけて売りと買いトータルでのドル円売買ポジションはまず増加していったことがよくわかります。
選挙後、俄かに「ヘリマネ」期待の話が市場で高まった時期にはやはりファンド勢はドル買い円売りを強める動きにでていたことが確認できますが、円買いのポジションは減っておらず、同じファンドでも円売りで仕掛けたところと円買いを維持していたところに二分された動きがあるのがわかります。
7月21日にはドル円が107.490円まで「オーバーシュート」気味に買いあがりましたが、さすがにこのときには7月初旬から円買いをしていた向きのショートポジションが1万3000枚近く減少する動きとなりましたが、一旦ピークを売ったことで円売りもそこから減少に転じています。
8月に入ってからはドル円は軟調で100円台まで下落してから何度も100円割れを試していますが、8月後半に向けて円買いが増え、円売りは順次その枚数が減って9月に突入してきていることがわかります。
そして9月2日の「雇用統計」を受けてたいしていい数字でもないのにドル円が104円台まで戻したときにはドル円ショートが減少はしていますが、その後21日の「日銀政策決定会合」と「FOMC」に向けてまたショートが改めて蓄積されて21を迎えていることがわかります。
面白いのは20日の建て玉明細をみますとドル円ショートは減っておらず、むしろドル円のロングが減少しており、「日銀の政策決定会合」を巡ってはこれまでのように投機筋が買上げてイベントを待つという動きをまったくしていなかったことがはっきりと認識できます。
実際ドル円は21日に向けて買いあがることはなく、その直前に100円台にまで下落する動きをとっていましたから、少なくともファンド勢は日銀がたいした緩和措置を打ち出してこないと踏んでいたことがよくわかります。
ドル円はまだ下がると見ているファンド勢
21日のイベントを経てのポジションの変化は今週末まで待たなくてはなりませんが、ファンドは依然としてドル円の下落を予想しているようで、いくつかのイベントを経過してもドル円のショートポジションは大きく減少することなく、随時つみあがる方向にある状況です。
11月30日のファンドの解約に向けて10月15日が45日ルールとなりますから、ここからは今年儲かっていないファンドが資金捻出のために一定のポジションを閉じてくることも考えられ、「ショートカバー」がでる可能性も否定はできません。
しかし、100円台から102円あたりをうろついているドル円を多くのファンド勢が売り持ちし続けているというのは、まだ下がると見ているからに他ならず、今年がはじまってからずっと売り越しに転じているファンドのドル円売買は、まだまだ下方向を意識しながら推移することが予想されます。
もちろんファンドも先行きを大きく見誤ることが多いのでこの数字だけみてドル円は下方向と安心するのは短絡的過ぎますが、相場でメシを食っているプロはそう見ているということだけは確認できるというわけです。
(この記事を書いた人:今市太郎)