10月10日は日米ともにお休みであるため、若干スロースタート気味の週明けになりそうですが、7日の早朝に104.156円まで試したドル円は、その上がり方のスピードが早かった割には「雇用統計」で必要以上に下落した感があり、市場関係者が挙ってドル円の方向が変わったと合唱したほど上には戻さずに週を終える形となってしまいました。
テクニカル的には102.500円レベルを大きく抜けたわけですから、引き続き上値ためしをすることは考えられますが、この上昇も一定の賞味期限があるようで、週明けからの相場は結構慎重な売買が必要になってきそうです。
10月に入ってからのドル円上昇要因は大きくわけて3つ
10月に入ってからあれよあれよという間に上昇してしまったドル円ですが、既に3円30銭近く上昇したことになります。ここまでの材料を再度整理してみますと・・・
1)GPIFなどの準公的機関が円高で投資余力から外債購入のためにドル買い
この「GPIF」のドル円の買いというのは結構10月初動の動きに寄与しており、仲値就業後にかなり無理やり連日買いをいれてきたのが上昇への弾みとなったことは間違いないようです。
ただ、すでに予定量を消化したのか木曜日あたりはまったくそうした動きが見られていませんので、ここから同様の動きが継続するとは考えにくい状況です。
2)米系大手証券の米国債金利上昇予測レポートもドル買いに寄与
ドル円はNYタイムに入ってらもここ数日、かなり果敢に上昇を続けることとなりましたが、これは米国の大手証券が挙って米10年国債が2%を目指すという金利上昇レポートに明らかに市場が反応しているからで、いまのところ1.7%超までは示現していますから、これを頼りにした買いがでるのだとすればまだ当分続く可能性は残されています。
また、チャート的にも一旦今年ずっと上値を抑えられてきた一目の日足雲、75日移動平均などの抵抗線を確実に抜けましたのでファンド勢も買いで参入しやすい状況にあることは確かです。
3)ヘッジファンドの45日ルール
この時期になると毎回登場するのが「ヘッジファンド」の解約に伴う45日ルールの存在ということになりますが、最近では1~12月決算のファンドも増えており、かなりレガシーなところ以外解約で資金がこの時期に動くことはないという話もよく聴きます。
ただひとつだけ間違いがないのは、「ヘッジファンド」が今年もまったく儲かっていないという事実であり、解約にともなう資金需要があるとすれば、円ロングがやたらと積みあがっていて下がりそうもないドル円を処分する可能性が高いというのは事実かも知れません。
ドル円の上昇とともにショートに巻き戻しが結構ではじめているのもまんざら関係ない話ではないとも言えそうです。
ということで米国債の金利は引き続きドル買い要因としてのこりますが、「PKO」軍団のドル買いと「ヘッジファンド」の45日ルールは早晩おしまいになることが予想されますので、ここからドル円がさらに上昇していくかどうかはまだ結構怪しい状況になってきているといえそうです。
上昇しても上げのめどは限られるか
まず週明けの相場の動きとしては9月2日の104.300円レベルを抜けられるかどうかが第一関門となります。また104.600円から106.700円にかけてはかなり厳しい抵抗帯が存在しているようですから、ここのどこかで止められてしまいますと、7月「ヘリマネ」騒動で上昇した107.500円に戻すのもかなり難しくなりそうです。
また、いきなり浮上してきたポンドの下落問題ですが、ポンド円の下落も大きくなってきていることから、ドル円につられて上昇すれば戻り売りの餌食になる可能性があり、6月の「BREXIT」前のときと同じようにポンド円がドル円の上値を抑えるリスクにも気をつける必要がありそうです。
こうして見ますと流れが下向きだけではなくなったことはわかりますが依然として100円~105円のレンジ相場に移行しただけの可能性も残されることになりそうです。
米国大統領選挙は11月まで潜在的リスクとして残りますし、「ドイツ銀行」問題も一息ついた感がありますが、なんら解決のついていることはありませんから下落方向への逆戻りの危険性も常に残されている状態です。
週後半であっさり下落方向へと再転換ということもありえそうですから、方向感を断定することなく、状況に応じて相当注意をしながら売買していくことがお勧めになります。
(この記事を書いた人:今市太郎)