10月17日週のドル円は104円台で何度も上伸試しましたが、大きく買いあがることができず、下落しても103円台前半が底堅いことかラ1円に満たない上下をうろうろする展開が続きました。
一旦上がってきたように見えるドル円も週足で見ますと、26週移動平均線の下で週末NY市場を終えてしまっており、かなり勢いが感じられなくなってきています。
ここのところNY市場ではしっかりとした買いが入るようになってきており、なぜ105円台に抜ける形でもう一歩上昇しないのかいまひとつよくわからない相場になってしまっています。
本来であれば104円台でこの26週移動平均の上で終わってくれると、しっかりとした動きが期待できるのですが、104.100円レベルにあった移動平均線を微妙に下回る形で終わってしまったところが気になるところです。本来であれば再度下値を試してもおかしくない形になってきています。
IMMでは投機筋の円買いポジションがさらに減少
出展 CME
相場の上昇にあわせた通常の「ショートカバー」に過ぎないのか、投機筋による11月末の顧客の解約にあわせた資金捻出なのかは明確ではないものの、大きくドル円のショートは大きく持ち高を減らす形となっています。
ただ、先週は大きな「ショートカバー」は出ておらず、一旦円ロングの解き売りも終了した感があります。差し引きのドル売り円買いポジションは今年7月に「ヘリマネ」期待でドル円が上昇したときのレベルに近いものがあり、一定のドル円ショートはこなしてしまった状況であることがわかります。
また純然たる円売りも4000枚強増えていますが、ショートが減ってロングが増えても103円台で週末終了というのはかなり勢いがなく気になるところです。
日銀政策決定会合までこの調子で狭いレンジ相場も
来週は「FOMC」の「ブラックアウト」前で24日までに米国の各地区連銀総裁の講演が多く設定されていますが、それ以外はこれといった大きなイベントもなく、ドル円はこのまま狭いレンジを保ちながらさらに翌週の11月1日の「日銀政策決定会合」まで動かない可能性も高くなってきています。
ただサポートラインもそれほど強い印象がなく、このままずるずると膠着を続けた場合米国の大統領選前、11月2日(日本時間3日早朝)の「FOMC」で現状維持がでたところでドル円は一旦調整のために下落するリスクもでてきています。
「日銀の政策決定会合」も「FOMC」も市場はまったく期待していない状態のはずですが、ユーロやポンドといったほかの通貨で動きがないかぎりドル円が自律的にここから短期間で大きく買いあがることもほとんど考えられなくなっていることから、またしても調整局面に向かう動きになることにも注意が必要です。
ただ、ここから下げても102円台の中盤まで押せばかなり下落したことになりそうで、下値もそれほど大きなものにはならなさそうです。
トランプ候補が4ポイント差まで迫る勢いという奇妙な報道も
ロイター・イプソスが21日発表した米大統領選に向けた支持率調査によりますと、共和党候補のドナルド・トランプの支持率が上昇し、トランプ氏による女性へのセクハラ疑惑などが取り沙汰されているにも関わらず、民主党候補ヒラリー・クリントン氏との差を4ポイントまで縮める動きになったという驚くべき報道も飛び出しています。
事実上勝負ありの感がかなり強く漂っている金融市場ですが、調査対象による誤差なのか、事実としてあまり差はついていないのか判断に苦しむところです。
正直なところトランプの勝利は株も為替もまったく織り込んでいませんから、万が一という場合は相当な相場の下落を覚悟しておかなくてはならない状況です。
とにかく11月8日前までには一旦ポジションはすべて閉じておきたいところですが、ことここに及んでもトランプ支持が激減しないところはなんとも不気味です。
今のところこうした報道に市場が動揺する動気はまったく見られていませんが、それだけに現実になった場合のインパクトはかなり大きなものになるのは間違いなく、どうポジションを仕込むかはかなりよく考える必要がありそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)