この「日銀の政策決定会合」の出口を想定するといつも思い出されるのがイーグルスが1977年に発表した「ホテルカリフォルニア」の歌詞です。
黒田緩和の先行きを暗示するようなホテルカリフォルニアの歌詞
イーグルスの「ホテルカリフォルニア」は一度はお聴きになったことがあると思われる70年代の名曲です。その歌詞はすべて書きませんが、「ようこそホテル・カリフォルニアへ。ここはステキなところお客様もいい人たちばかり。ホテル・カリフォルニアは数多くのお部屋をご用意してあなたのお越しをいつでもお待ちしています。」と続きます。
しかし最後に「落ち着いて自分の運命を受け入れるのです。チェック・アウトは自由ですがここを立ち去ることは永久にできません」と結んでおり、出口がないことを示唆する歌になっているのです。
これは60年代アメリカ社会の反戦、ドラッグ、ヒッピーなどに象徴される若者文化の中心がカリフォルニアにあったものの、70年代に入ってもこの時代の呪縛から逃げられない人々の60年代からの喪失感や無力感を歌ったもの内容だとされています。
こうなりますと、果たして取り残された日銀が今も粛々と続ける「金融緩和」の出口をどのようにして見つけ出すのか?が非常に気になるところです。
正直なところこのイーグルスの歌と同様に入り口はあっても、出口がまったく見つからないのが今の現状で、ひとたび何の準備もなく日銀が国債の買い入れや「ETF」の買い入れを縮小しはじめたりやめたりしはじめると言った途端に、相場は大きな混乱とともに株も債券も売られて大変なことになるのは実施しなくても容易に想定できる状況です。
黒田総裁はやり逃げで任期切れ逃亡か
Photo Bloomberg
未曾有の「量的質的金融緩和」がはじまってからすでに4年の月日が流れ、オリンピックなら次の大会が開催されるほとの時間的経過となったわけですが、名目物価2%の達成すら覚束ない状況で、このための政策としての大義名分を利用して延々と低金利を維持することができて安倍内閣にとってはきわめて好都合な状況は続いています。
300兆円を超える国債の購入をこのままのペースで買い入れを続けると、2018年には20兆円を超える「ETF」購入はどこかで減額や終了をほのめかした途端に、相場がパニックを起こすことは容易に考えられ、世界的に低金利が終焉する段階でどのように出口を考えることになるのか、非常に気になるところにさしかかってきているといえます。
「黒田総裁」自身は18年には任期がきれますから出口を見届けることなくさっさと退場するつもりなのかもしれませんが、この政策を引き継ぐことになる後任の総裁は大変な重荷を背負わされることになりそうで、それも遠い将来ではなくかなり近い将来に考えざるを得なくなってきていることに大きな危機感を覚えます。
デフォルトかハイパーインフレ以外に方法があるのか?
こうした状況ですから「インフレ」で借金を帳消しにしてやろうという「シムズ理論」が注目されるのは当たり前の話しで、「黒田総裁」は現実的ではないとしていますが、いざとなれば「ハイパーインフレ」で乗り切ることを1つの手段としていることだけは間違いなさそうな状況です。
しかしこれで国民が幸せになるかと言われればまったくYESとはいえない状況で、土地の価格1つとってみても80年代後半の熱狂的なバブルで田舎の土地までも高騰した時代が再来するとは思えず、国民だけが大変なツケを代わりに払わされて大変な貧乏国になることだけは容易に想像がつく話となります。
足もとでは「FRB」や「ECB」のアクティビティに目を奪われがちですが、ごく近い将来日銀の対応が大きな問題となることだけは間違いない状況で、個人投資家もかなり覚悟をきめなくてはならない時期が差し迫っているようにみえます。
(この記事を書いた人:今市太郎)