またも月足20ヶ月移動平均を割り込んで終了

ドル円は足もとではなんとか110円を割らずに戻した状態で、ネックラインとなっているこのレベルを切らないかぎりそれほど下押しもなさそうな雰囲気にはなっていますが、残念ながら海外のファンド勢もかなりよく見ていると言われる月足のチャートでは、またしても20ヶ月移動平均を割り込む状況になってきています。

多くのファンド勢はこの20ヶ月移動平均よりドル円の価格が上にある場合には買いで市場に参入してきますが、これを下回ると常に戻り売りでポジションを作るといわれており、4月もドル円は上値の上伸を期待できないところに来ていることがわかります。

月末段階では20ヶ月移動平均線は112.587円のあたりを走っていますから、31日の午前は一瞬これを越えて月末を迎えることも期待されましたが、結局111円台前半で終了していしまったことから明確にこの移動平均線を下回ってしまったのがなんとも気になるところです。

年度初めだからといって相場は大きく変わらなさそうな状況

通常新年度になると本邦勢の「インターバンク」も機関投資家もそれなりに新たな売買行動にでるためセンチメントが大きく変わることが期待されますが、今年に関しては相変わらずトランプ政権の政策の行方に見極めがつかないことから、いきなり新年度だからということで走り出すことはどうやらなさそうな雰囲気となっています。

この「20ヶ月移動平均線」を下回って推移しているからといって、すぐに大幅下落の方向にドル円が向かうとは思えませんが、3月後半に110円割れを試しにいった相場はいまひとつ消化不良気味に終わってしまっていますから、もう一度下値を試すことは十分にありそうな状況となっています。

月初は米中首脳会談に大注目

4月相場の材料はいろいろとありますが、まずは月初に開催される「米中首脳会談」の行方が非常に注目されます。

いきなり双方にとって失礼な会談になるとは思えませんが、中国は貿易問題で一切譲歩しない構えを見せていますから、これまでの表面的友好の雰囲気だけを残した会談とは異なり、双方が不快感をあらわにする可能性もあり、さらに中国がなんらかの対抗措置にでるようなことがあれば、債券市場や為替市場に思わぬ影響が出るリスクがかなり高まることになります。

会談自身は6日、7日に開催されますので、何か問題がでるとすれば7日金曜日のNYタイム以降になる可能性もありますが、この日は米国の「雇用統計」も重なることから、結構クリティカルな日になることは覚悟しておきたいところです。

これまで比較的大人の対応をしてきた中国ですが、トランプ政権には対中戦略でももっとも過激なピーターナヴァロも控えていることから、決して安心できる状況ではなく、ドル円はいきなり大きな下落に見舞われることも視野にいれておくべき状況です。

本来3月末はもう少しドル円も値を戻して終わるものと期待したのですが、実際には年初来最安値から少し戻した程度であり、決して上昇トレンドは再開していません。

できればあまり長くポジションをもたずに短期売買で利益を積み上げ、流れが変わったらすぐにそれに乗れるように準備をしておくことが重要になりそうです。

3月も結果的にはレンジ相場に終始しましたが、実際には結構難しい相場展開であったことは事実で、安易に買いでも売りでもポジションを作ると結構切らされたトレーダーが多かったのではないでしょうか。引き続き4月も相当注意深く売買することが大切になりそうです。

（この記事を書いた人：今市太郎）