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北朝鮮のミサイルのことばかりが気にかかる為替市場ですが、テクニカル的に分析してみますと、どうもドル円は下落に向けた大相場がやってきそうな気配濃厚であり、ここから5月の始めぐらいまで相当な下落を見込む必要がありそうです。
投機筋のドル買い円売りポジションは大きく巻きもどされた状況
「CFTC」が14日発表した4月11日時点の建玉報告によると「CME」の通貨先物市場で投機筋のドル円のロングは3万4764枚と前回の4万5800枚から1万1036枚減少しています。
細かく見ますと、「円ロング43,316枚」vs「円ショート78,080枚」ですから、まだショートがかなり残ってはいますが、今週にはさらにショートの巻き戻しが起きる可能性がありそうです。
またユーロドルのショートは1万8956枚と前回の1万1405枚から7551枚増加しており、ドル円、ユーロドルともにドルが大きく売られる展開になっていることがわかります。
一方本邦の個人投資家はまたしてもドル円下落の下値では買いを入れてきているようで完全に逆張りで市場に参入していることがわかります。
また110円割れがないと見込んでそのあたりで買ったポジションについても完全には損切りが行われていないものと思われるため、こうした個人投資家のポジションが下落に拍車をかける可能性もでてきているようです。
105円を下抜けるリスクも上昇中
先週のドル円相場を見ていましても、どうやらトランプ政権決定時の105円前半までは戻しそうないやな動きになっていましたが、週足でみますと垂直に下落する相場が走り始めていることから、昨年11月の一方的な急角度での上昇による相場展開と同様に下落も急激になる可能性がでてきている状況です。
こうなると昨年11月7日の始まり値である103.900円レベルまでの下落も考えておく必要がありそうです。ただ、一旦108円という節目に迫ってきていることから、多少の戻しもありそうですが、戻したら確実に売ることで5月初旬までは相当な利益が確保できるかもしれません。
とくにトランプのドル高けん制発言と北朝鮮のリスクは常に重くのしかかる材料となっていますので、そのどちらかが相場を大きく下落に走らせるリスクが高くなると思われます。「オーバーシュート」気味に下落すれば104円割れまで窓埋めにいく可能性は十分に考えられる状況といえます。
今週はペンス副大統領に加え、強硬派として有名な「ウィルバーロス」商務長官も来日することから、かなり厳しい内容を日本政府がつきつけられるリスクもあり、さらに24日はちょっと話題が薄くなってはいますが、フランスの大統領選挙もいよいよ開催されることになりますから、ドル円は上昇材料がほとんどないのが実情であり、想定を超える下落に見舞われる危険性もありそうです。
トランプ相場でさらなる上昇を3月4月に期待していた向きにとっては、かなり期待と異なる動きになってきてしまっている残念な状況ですが、シーズナルサイクルから考えても4月はドル円が下落しやすい月になっており、反発を狙うのは大きく下落してから後の問題であろうと思われます。
北朝鮮関連では4月25日 北朝鮮・朝鮮人民軍創建85周年、4月30日 米韓合同軍事演習最終日、5月9日 韓国大統領選と暴発のタイミングはまだまだ残されていますので、何か起きれば瞬間的にドル円は円高にシフトするリスクが高く、一時的に相場の戻りからロングをとっているような時間帯でも必ず浅いストップロスをおいておくことがこの5月初旬までは賢明な方法になりそうです。
トランプ大統領はシリア攻撃で大きくその支持率と回復させていますので、北朝鮮に対する攻撃も政治的に利用することが十分に考えられ、北朝鮮からの挑発で一気に攻撃に踏み切る可能性はまだ十分に残されています。こうした動きの巻き込まれないためにも出来るだけドル円はロングをとる時間を少なくする努力も必要です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
