毎回ゴールデンウイークの時期になりますと「円高アノマリー」の話が登場し、過去のデータを検証してみるという話が結構沢山登場することになります。
しかしこの過去データの検証もゴールデンウイークの期間が含まれる週足などで分析してしまいますと、過去10年でも円高6割に円安4割といった数字がでてきてしまい、円高はたいしたトレンドにはなっていないという結論が出てしまいます。
しかし実際にゴールデンウイークで日本がお休みのときにトレードをしますと結構円高に見舞われることが多く、休みに入る日の始まり値と終了日の終値を比較してみてもほとんど意味がないことがわかってきています。
そこで今回は日本だけが休日になる4月29日からこどもの日、もしくはその振り替えとなる6日までの間だけに区切ってドル円相場がどうだったのかをチェックするとともにその間の最安値と最高値がいつ出たのかを再度検証してみました。
上下振幅が大きいのがゴールデンウイーク休みの特徴
昨年もこのコラムではゴールデンウイークの相場の動きが円高なのか円安になるのかを検証しましたが、今年はさらに期間を狭めて日本がお休みのときにドル円がどういった動きをしてきたのかにフォーカスしてみました。
2012年まではご存知のとおりドル円は長く円高方向に動いていたわけですが、2013年からは「アベノミクス」と日銀の「金融緩和」がスタートしたこともあって、ここ4年ぐらいは2012年までの5年間とは多少異なる動きになってきていることがまずわかります。
ここ4年では円高と円安の比率は、休みの初日と最終日とを比較した場合はほとんど同じで特別円高とは言えないことがわかります。
ただしこの期間の値幅は何もない通常の一週間よりもかなり大きくなることが多いようで、最高値と最安値との間には2円以上の振幅がでるというのがかなり顕著になってきています。
たとえば昨年でいいますと連休入りの始まり値と最終日の終値の差は84銭しかなかったことに見えますが、その間にはなんと2.68円もの上値と下値の差がでてきており、本邦勢のいない休みの日に仕掛け的に売られても、最終日までには結構戻っていることがわかります。
こうした動きはここ4年間でかなり顕著で、実はトータルで見て円高か円安かということよりもこうした値幅がどのぐらいでるのかに注目したほうが利益を獲得することにつながることが見えてきます。
やはり全体としては下押しのしかけが出やすいのが特徴
こうしてゴールデンウイークの過去の相場をチェックしてみますと、ドル円が円安になったか円高になったかはあくまで結果であって、その間にはどうも本邦勢がでてこない祝日を狙って相場が下落することが多いことがわかってきます。
特に29日や5月の3日、5日などは下落を仕掛けられる特異日ということのようなので、やはり下落方向に注意すべき時期のようです。
ただ、休みの期間中ずっと下落することは少ないようで本邦勢が戻ってくるまでに相場も戻ることが多いので下落したから売りっぱなしにしているとどこかで急に担ぎ上げられるリスクもありますから、しっかり利確して対応することが重要になりそうです。
またこの時期は米国の「雇用統計」が休みの期間中に発表になることも多く、この結果次第ではそれまで円高に振れていても一気にドル円が上昇してしまい、休みの期間を通してみると大した円高にならなかったということも相場にかなり影響しているようです。
このように細かく見てきますと、単にゴールデンウイークは円高とはいえないようですが、休みの期間中に部分的に円高に振れることが多いという点は注意をしたほうがよさそうです。また下げたところはそれなりに買い場になるということも意識しておきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)