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ドル円はここへ来て日足に若干の買いトレンドが発生し始めています。6月利上げを市場が大きく織り込み始めていることで米債の金利がじわりと上昇し始めているのがその大きな理由になっていますが、ここから継続して大きな動きになっていくのかどうかが気になるところです。
さしたる材料もないまま113円台を一時的に回復
東京タイムは祝日でたいした動きにはならないと思われましたが、ドル円はショートが積みあがりすぎたことが起因して売れども売れども下がらない状況が続いてしまい、じりじりと値を上げる典型的な「ショートカバー」の相場となりました。
上値がくると必ず逆張りする本邦個人投資家が多いのがドル円の特徴とも言える状況ですが、今回もそれを象徴するような動きがでてロンドンタイム以降2度113円台をつける動きとなりました。
しかしその後NYダウが一時的に大きく下落することとなったのに引きずられて112,300円レベルまで調整する動きとなっています。まあ112円台にとどまっているわけですから大した動きではありませんが、本日の「米国雇用統計」の結果次第では再度上方向に上昇しそうな気配濃厚です。
すでに6月の利上げがかなり織り込まれているだけにこの「雇用統計」の結果がよくても悪くてもドル円は上昇しそうな状況です。
「CME」のFedWatchで見ますと、5月の「FOMC」以降6月の利上げ確率は76.2％とさらに上昇する形になっており、市場のコンセンサスを重視する「イエレン議長」のやり方ではもはや利上げは確定的といっても過言ではない状況です。
米10年債金利は再度上昇を試す動きに
Data Investing .com
米国10年債金利は「FOMC」を通過してまたしても上昇に転じる動きを見せており、既に2.3％台中盤を回復しています。気になるのは債券の売買動向で、今年に入ってから大量に売り持ちをしていた投機筋が4月末までに一気にドテンして買いもちへと転換し、すさまじい債券買いが実現してしまっている点です。
Data CMECME
このデータによりますと先週火曜日までの時点でも投機筋は売りもちをひっくり返し、大幅に買いに転換していることがわかりますが、この先債券価格が下落して金利が上昇する局面ではまたしたも投機筋がこうしたポジションを投げてくる可能性が高いだけに、金利の面からだけ考えますとドル円は当分下がりそうもない材料が揃いつつあります。
米国の株式相場も利上げを織り込み始めた割には下がらない状況であり、6月15日の「FOMC」まではこのまま相場が上昇を継続する可能性もでてきているだけに、ドル円も底堅い動きを継続する可能性がでてきています。
但し、このコラムでも書いていますように「ゼロ金利」と「プラス金利」では市場に与える影響が大きく異なるものとなりますから、利上げの影響は消費市場にも確実にネガティブな影響を与えることになりますし、なにより株式市場が今の相場に耐え切れなくなるのも時間の問題と思われます。
したがって株式相場も為替相場も上昇の先に危険な状況が待ち構えていることは相当注意する必要がありそうです。
既にドル円は113円台に踏み込んでいますから、6月までにどこまで上昇できるかが大きな問題になりそうですが、この調子で上昇しますとまさかの115円台まで回復することも視野に入れておく必要がありそうです。
しかし年末にむけてさらに上昇することを考えるのには無理があり、上昇が止まったところで今度は反転して激しく下落する状況を想定しておく必要がありそうです。
相場の大幅下落タイミングというのは上昇のタイミングを見つけるよりもはるかに難しいものですが、まとまった下落は短時間で莫大な利益を得ることが可能となるだけに、しっかりと相場を見極めてそのタイミングを見つけることが肝心です。
今年このまま何事もなく年末を迎えられるとは到底思えない相場状況になってきています。
（この記事を書いた人：今市太郎）
