昨年の米国大統領選でトランプの大統領当選を当てた唯一の存在ともいうべき「ダブルラインキャピタル」の「ジェフリー・ガンドラック」は、最近の相場についてなかなか面白いコメントを出しています。
これはコミーの公聴会の映像が全米で中継されたときにあわせて出されたコメントのようですが、まずワシントンの既存の政治勢力がトランプ大統領の弱体化に動いているというコメントを出しています。
「ジェフリー・ガンドラック」は13日のウェブ放送で、「彼らはただただトランプの退場を待ち、政策課題を最大限妨害しようとしている。彼らが期待しているのは、小さな変化だ」と語っています。
トランプのロシアゲート問題は仕掛ける人間がいるのも確かですが、もともと自ら種をまいているだけにどこまで事実が外側に出てくるかでここからの状況はかなり大きく変化するものと思われますが、市場の動向についてのコメントはなかなか見逃せないものがあります。
金利の上昇と株の下落を予想
「ガンドラック」は次のような予想を立てているようです。リセッション入りの確率は低いが、市場で低いボラティリティーが続く時期は恐らく終わりが近いとの見方を示し、夏には債券利回りが上昇し、株価は下げるというのが彼の見方になります。
まあ人一倍「ポジショントーク」が多く、言っている内容もころころ変わるのが「ガンドラック」ですからどこまで信用するかの問題はありますが、新債券の帝王は現在2.2%前後の水準にある米国の10年国債利回りは、年末段階でおおむね2.7-2.8%のレンジになる可能性が高いとの見方を示しています。
足元の米国の債券相場はまだほとんど金利が上昇していないことから、買いも多く入っている状況にありますが、これが「ガンドラック」の指摘のような方向に動くとなるとかなり大きな変化が起きることになり見逃すことができなくなります。
大口投機筋の債券買いが反転すれば一気に相場下落も
Data CFTC
「FOMC」を受けて少しずつながら上昇した米10年債利回りですが、最新の「CFTC」の建玉明細によりますと投機筋の大口の米債券債買いはさらに進んでいるようで、金利の思わぬ上昇でこれがまた投げさせられる状況になりますと相場は下落方向に大きく荒れる展開も予想されます。
おそらく投機筋の一部は株価のの下落がそう遠くないと見ていることから債券に資金をシフトしているのかも知れませんが、「FOMC」で資産売却も明確になったこともあり、ここからの債券市場はなかなか微妙なものになりそうです。
ドル円が金利についていくとなれば一旦上昇か
「ガンドラック」の見立てが正しいということになりますと、ドル円が金利にあわせて動く限り上昇する可能性が高くなりますが、債券金利上昇をきっかけにして株式相場が大きく下押しすることになれば、ドル円も相場の下落についていくことが予想され、上げて下げるという動きのタイミングをどこで見極めるかが難しくなりそうです。
債券金利については多少の変化があってもたいした事はないと思う個人投資家が実に多いようですが、その市場規模は非常に大きく、ちょっとした利回り変化や価格変化が相場に及ぼす影響は甚大です。
とくに投機筋はこの領域で損失を出すとほかの相場で取り替えそうとしたり損失を補填しようと動くため株や為替に影響がでることは必至で、なんでそんなに債券のことを気にするのか不思議に思われる方も多いと思いますが、実はこの世界の動向が為替の動きを非常によく示唆しているともいえるのです。
もちろん為替はそれだけで動いているわけではありませんが、金融市場の商品相互の相関がすっかり崩れている中にあっては、唯一の為替市場の先行きを占うインジケーターの役割を果たしていることは確かな状況で、つまらないチャートを見るよりもよほど先のことがわかる存在でもあるのです。
(この記事を書いた人:今市太郎)