米国独立記念日を迎えた4日、ほとんど為替相場は動かないものと見られていましたが、突然北朝鮮がミサイルを発射し午後3時半から重大な発表をするなどといった報道が出まわったことから、早朝113円台中盤にまで上昇したドル円はずるずると値を下げ一旦112.740円レベルまでドルが売られる典型的なリスク回避の動きを示現させることとなりました。
結局たいした発表内容ではないということで113円台に値を戻すことにはなりましたが、この動きのおかげでロングもショートも残るような相場展開となり、すっかり方向感をなくした状況です。
米国の独立記念日にめがけてICBMを発射するとは、まあよくもやってくれたという印象がありますが、最近言動も政策もすっかり影が薄くなったトランプ大統領が一体これにどのように反応するか次第では為替相場にも相応の影響がでることからここからのアメリカの動きに注目が集まります。
足元のドル円ドル買いは投機筋の仕掛け買いの可能性大
ところでドル円は先週末から日本を除く先進各国の「中央銀行」が利上げに積極的な姿勢を示し始めたことをきっかけにして、債券金利が上昇しはじめたのに連動してとうとう113円台に乗せるところまで上伸しはじめています。
確かに金利に連動した動きといえば話は簡単ですが、どうやら投機筋が短期的な仕掛け売買で相場を持ち上げてはショートの損切りを誘発させている模様で、いまのところそれなりのショートがまだ残っていることから、これがかなり切らされるまではもう少しドル円は「ショートカバー」気味に上昇する可能性がではじめています。
とくに今週末の「雇用統計」までは上昇期待もあることから、まかり間違えば114円台まで戻ることも視野に入れる必要がありそうです。
米株価のほうは徐々におかしな動きに
一方米国の株式市場のほうは独立記念日を前に短縮取り引きとなっていますが、指数的にはNYダウが史上最高値を更新したものの、ハイテク株の売りが再開しており、「NASDAQ」はFANG株を中心に大きく値を下げる動きがまたしてもではじめるという、なかなか微妙な状況にさしかかってきています。
金利が上昇しているからドル円が上がるのは仕方ありませんが、株価の動きを見ていると手放しに買い上げて本当に大丈夫かという印象はぬぐえず、レベル感で売っても仕方ないものの、どうも素直に上昇相場にはついて行かれない気分も高まってきます。
NYダウは金融株などが走り始めており、見方によってはやはり末期の症状にも見えることから短期的にな売買以外はなかなかドル円のロングをもったままにはできない状態が続いています。
結構危ないロングの保有
いまのところトランプ大統領の北朝鮮への発言は出てきていませんが、ここのところロシアゲート疑惑などもあってまったくぱっとしないトランプ政権への支持率をアップさせる意味でも、北朝鮮になんらかの鉄槌をいきなり下す動きに出る可能性がまったくないとはいえないだけに、トランプ大統領の口からそうした内容が飛び出すと、またいきなりドル円は大きく下落するリスクがあることだけは意識しておかなくてはなりません。
本邦の個人投資家を中心としてドル円が高値にさしかかるとどうしても戻り売りをしたくなる層がかなり多く存在するようですが、結局ショートがたまりすぎると全く下落しなくなることから、なんどもこのような「ショートカバー」の動きが連発してとうとう113円台中盤まで来てしまったということなのだろうと思います。
しかし米国の報復といった動きが出ますと、いくらショートがたまっていてもそれを超える形で相場は押し下げられることになりますから、ロングをもっているのも結構危ないことになります。
今週はまず休み明けにトランプ政権がどう北朝鮮に対応するのかを見きわめる必要がありそうです。既にアラスカまで到達するICBM許すまじといった強い発言がでると確実にドル円にも影響が出そうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)