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日銀指値オペで上昇したドル円は、気がつけば米国指標悪化で全値戻し以下14日のNYタイム、ドル円はもともと債券金利低下で113円台初頭の動きでしたが、午後9時半に発表になった米国の6月の「消費者物価指数」と小売売上高がともに市場予想よりも弱く、鬼の首をとったように売り込まれ結局サポートラインを見られていた「112.470円」付近まで下抜けて「112.500円」近辺で週の取引を終えました。
指標の悪化で売られることは覚悟していましたが、ここまでサポートラインを切るようは下げを演じることになるとは思いませんでした。下落後は金曜日ということもありほとんど戻りを試すこともなく、とんだ週末相場を垣間見ることになってしまったというわけです。
7月からの上昇をすべて吐き出す形で終了した今週の相場
冒頭のドル円の4時間足を見ていただくとわかりますが、結局7月に入って先進各国の「中央銀行」が米国「FRB」に追随する形で利上げを行うのではないかとの思惑から上昇したドル円相場は、7日に日銀が行った指値オペという名の事実上の介入のような行為以降上昇し「雇用統計」後にむりやり114円台をつけました。
しかし、結局短期投機筋の仕掛け買い以外のなにものもなく、投機筋が利益確定を反対売買をしてみたらあっという間に114円台をキープできなくなり、「イエレン」のモラトリアムが議会証言でさらに下落、最後に登場した経済指標が案の定悪くて112円台初頭にまで巻き戻すという焼け野原相場を演じることになってしまったわけです。
週足で陰線がでることになるとは思いませんでしたが、こういう仕掛け相場ごいうのは手離れよくリカクしていかないと儲からないことを序実に表した動きとなってしまったことだけは間違いありません。
米国債の金利は上がらないのか？
Data YCHART
米国の2年債と10年債の長短スプレッドを見てみますと6月の利上げ直後にはかなり差が縮小しましたが、足元では多少広がりを見せているものの、依然フラット化に近い動きが継続中です。
個人的には7月に入ってからのドル円の上昇でもっと明確に米国の債券金利が上昇し、長短金利のスプレッドもさらになくなって株式市場が音を上げて下落が示現するのがもっとも危ないシナリオかと思いましたが、どうもそういう動きにはなっておらず粛々とNYダウは史上最高値を更新中です。
この流れですと、少なくとも今月一杯ぐらいまでは同じような堅調相場が継続するものと考えられます。
問題はここからどういう形で金利が上昇することになるのかですが、経済指標が出るたびに悪化してぱっとしない動きが続く限りは株式相場にも暴落は訪れるとは思えない状況で、一体何が市場を大きく変化させる起爆剤になるのかが注目されることになりそうです。
実際、間違いなく市場は利上げの影響が出始めていますし、資産の縮小が始まることになればここ数年加速した過剰流動性で行き場を失った資金が怒涛のように米国の株式相場に流れ込んだのにも大きなまき戻しがでる可能性は高くなり、「イエレン議長」が議会証言でしきりと「ゆっくり進めるから安心だ」といった市場をなだめるような発言をしたのもほとんど信用できない状況です。
週明けからはさらに夏休みモードの強い相場状況となることが考えられますが、引き続き米国債券金利の状況に注目しながら、相場展開をじっくり観察することでエントリーポイントを探りたいと思います。
市場では日米金利差からドル円はもっと上昇するといった見方も登場していますが、政治銘柄色の強いドル円は必ずしも金利差だけで動かないことはあらためて認識しておく必要があります。
過去20年間の失われた「デフレ」期間も日本はほとんど「ゼロ金利」でしたが、高金利通貨の豪ドル円との比較でも円高になっていたことをを考えますと、金利差というのは通貨売買を考えるときの基本ではありますが、それですべてが語れるわけでもないことは改めて理解しておくべきでしょう。
（この記事を書いた人：今市太郎）
