「双子の赤字」とは財政赤字と経常赤字が同時に生じることで、この言葉は1980年代のアメリカのレーガン大統領の時代にTwin Deficitsと言う名称で広まり、日本語では双子の赤字と訳されて定着した言葉となっています。
米国では双子の赤字からプラザ合意にまで発展
1981年に米国大統領に就任したレーガン大統領は、強いアメリカを目指し、大規模な減税を実施する一方で、軍備増強を大きく進めることとなったため、結果的に財政赤字を拡大させることとなります。
もともと70年代からオイルショックを経験したことなどもあってインフレが進んでいたわけですが、この政策のおかげせ需要が刺激されることになりさらにインフレが進行してしまうという結果を招いてしまいます。
当時のFRBは政策金利を今では考えられない20%という高利にまで引き上げを行いますが、米ドルは典型的な高金利通貨となってしまい海外からの資金流入なども加速してドル高が大きく進んでしまうことになりました。
その後自国だけではどうにもならなくなった米国は主要国5カ国を集めてプラザ合意を形成し、世界的なドル安誘導を行うことになります。こうしたことから双子の赤字は経済に大きな影響を与える問題のある状況として広く認識されるようになったのです。
日本でも東日本大震災後双子の赤字を経験
日本でも同様の双子の赤字を経験することになります。それは東日本大震災以降エネルギーの輸入が増え、輸出が減少するなどしたことから貿易収支が年間で13兆円を超えるほどの赤字となったことから、こうした状況に陥りましたが、直近では原油価格が大幅に下落したことなども手伝って貿易赤字が縮減し、双子状態は克服しようとしています。
ただし財政赤字のほうは世界的に見てもかなり深刻で、既に国債の発行額は1100兆円と先進国中もっとも大きなものになっています。
ただし、日本の場合は国債のほとんどが国内だ消化されていることから海外の投機筋から売り浴びせを受けて金利が急騰し価格が暴落するといったことはないのが救いになっています。
また現状では日銀が積極的に国債を買い続けていることからその価格も金利も安定し続けており、他国とはかなり状況が違う状態であるといえます。
ただし、インフレが進むことになりますと金利を上昇させざるを得なくなることから国債は国内の投資家から大きく売られる瞬間がやってくる可能性があり、すべてはインフレがやってこないことだけが助けとなっている状況です。
最近では、こうした双子の赤字という言葉はあまり使わなくなってきていますが、やはり潜在的に大きな問題をかかえている状況であることには間違いありません。