EUとは欧州連合のことを示すもので、欧州連合条約、別名マーストリヒト条約が1993年に発効したことにより誕生した地域統合体です。発効時は6カ国の加盟でしたが、現在では28カ国にまで増加する統合体へと成長しています。
この組織は統一通貨のユーロを利用していますが、基本的に参加国家の財政は個別国家に委ねられており、欧州域として統合した経済政策や財政政策を行っていくことがきわめて難しい共同体となっています。
それをまざまざと見せ付けたのが2010年のソブリン危機であり、前年の2009年10月から粉飾決算が露見したギリシャを皮切りにしてスペイン、ポルトガルなど南欧系のユーロ加盟国が次々と深刻な金融危機へと発展しはじめ、欧州不安が広域的に拡大する動きとなりました。
ECBの舵取りに注目が集まる
欧州金融危機では、地域中央銀行であるECBが大きく政策変更を行い、ギリシャ、スペイン、ポルトガル国債の買いきりオペを実施し救済に踏み切ったとともに、EUとしてギリシャに1100億ユーとの支援策を実施し、なんとかデフォルトの危機を乗りきることができて今日に至っています。
一旦金融危機は遠ざかっている状態ですが、今度は広域的なディスインフレからデフレの一歩手前の状態へと経済状況が悪化しております。
すでに打ち出している金融機関へのマイナス金利に加え、米国並みの量的金融緩和が実施されることになるのかどうか注目の集まる状況となってきており、その中心的役割を果たしているのがECBとなってきているのです。