CDSはクレジット・デフォルト・スワップと呼ばれるもので、デリバティブの一種ということができます。正確に言えば、国債や社債、貸付債権といった信用リスクに対して、保険の役割を果たすデリバティブ契約というのがわかりやすい説明のしかたとなります。
このCDSは2010年ごろからのギリシャに端を発した欧州危機の際に信用リスクを回避するために売買された欧州各国のCDSが暴騰したことでも話題になっています。
CDSの各国国債に関する保険料率はとりもなおさず国債発行国の引用力を示し、リスクのバロメーターとしても機能することになっているのです。保有債権分のCDSを銀行から購入しておけば、万が一デフォルトということになってもCDSを購入した銀行から保証金を受け取ることができるということになるわけです。
CDSの取引主体は銀行のみならず、証券会社やヘッジファンとなどとなっており、彼らは債務を保証するCDSの売り手になることもありますし、逆に保証してもらうための買い手になることもあるのです。CDSAの対象となるのは特定企業だけではなく、当然国になることもあるという状況です。
CDSは1990年代に登場した比較的新しい商品
このCDSは1990年代から徐々にマーケットに定着し、2007年のサブプライムローンで問題が起きた時期にはかなりの取引残高になった実績があります。
ただ、サブプライムやリーマンのような世界的な危機をそもそも想定して作られていなかったことからあまりにも保証しなくてはならない案件が増加しすぎてしまいCDSの販売会社が経営危機に陥るというようなまさかの事態も引き起こされることとなりました。
リーマンブラザースを対象としたCDSの売り手となっていたAIGはリーマンの破綻で契約どおりCDSの購入相手に保証金を支払うことが迫られてしまい、保証負担の支払い超過で自社が経営危機に陥るという笑うに笑えないような状況に陥っています。
AIGの場合には公的資金が投入され、その後事業を整理するなどしてなんとか生き残ったことから連鎖破綻は免れましたが、CDSの売り手が破綻すると保証金ももらえないということがこのとき始めて顕在化し、買い手を震撼させる結果となったことはいうまでもありません。
当然リーマン後はCDSの売買量は保証するところが激減したことで減少することになったのです。欧州危機におけるCDSの保証金額の上昇はそれ以来のことといえるものでしたが、欧州はギリシャ以外にデフォルトが広がることは何とか回避されたためCDSの支払い関係で問題が起きることは回避されています。
このように結果なにも起こらない場合には、CDSを販売し保証を引き受けた会社には莫大な利益が転がり込むこともあるのです。