ブラックアウトといいますと、英語で思い出すのは停電のことですが、この言葉は報道管制といった意味も持っています。
金融市場では、中央銀行が政策決定会合を行う場合にそのメンバーが会合の前後一定期間においてメディアや講演などで金融政策について語ることを禁じるルールのことをいいます。
この発言禁止期間は各国の中央銀行によって様々に異なる規制が設定されています。
もっとも期間が長いのが米国
ブラックアウト期間の設定がもっとも長いのは米国で、FOMC開催の前の週の火曜日から翌週のFOMC終了まで金賞政策や金融情勢について語ることは固く禁じられています。
これはFOMCメンバーも各地区連銀総裁でFOMCで投票権をもたない人物も同様で、とにかく余分な発言をして市場に必要のない憶測を与えないようにするため厳密に管理されるようになっています。
ただ、逆にその規制対象前には多くの地区連銀総裁が積極的に講演を行い、市場のセンチメントをコントロールするような動きをとることもあり、ただ単に押し黙るだけではない点が日本の日銀などとはかなり異なるコミュニケーションとなります。
FRBの場合には、一定の地区連銀総裁がタカ派なことを口にして市場がどう反応するかを見ているとも言われ、市場との積極対話の手法としてこうした機会を使っている状況にあります。
とくにブラックアウト期間直前に登場する要人発言は市場へのインパクトが大きなものになっています。
日本の日銀にもこうした期間設定が存在
ブラックアウト期間ついては日本の日銀にも設定があり、政策決定会合の2営業日前から会合終了当日の総裁記者会見終了時刻まではその対象となっています。
ただし、日本の場合審議委員が積極的に講演を行ったりすることは限られており、サプライズを演出するために情報が出ないケースも多くなっています。
また、むしろ問題となるのは内閣官房参与など日銀とは直接的に関係のないような人物がメディアに会議直前段階で嘘か本当かわからないような発言をすることのほうが大きな影響を与えることで、とくに為替はニュースのヘッドラインでアルゴリズムが反応することからこうした微妙なポジションの人物の発言が大きく市場に影響を与えるようになっています。
また日銀サイドからの積極リークとしか思えないような詳細内容が、本来ブラックアウト期間と思われるようなタイミングに、特定の経済新聞の記事となったりするのも相場にかなり問題になりつつあります。
米国のFRBに比べますと日銀の場合はこのあたりの管理に厳密感が乏しく、最近では憶測報道が登場することから相場がかく乱されるケースも増えています。
しかもこうしたリークや憶測が飛び交った場合には概して日銀にとってプラスに働かないことが多く、日銀の市場とのコミュニケーションのあり方にはかなり問題が残っているのが現状です。