今回は、Forex Factoryに2007年に投稿された「Spuds Stochastic Thread Theory」を意訳して紹介いたします。
手法概要
手法名 | Spuds Stochastic Thread Theory | ||
---|---|---|---|
開発者 | Spudfyre | ||
勝てる? | 勝てる | ||
取引スタイル | デイトレード、スイングトレード | ||
時間足 | 1時間足、4時間足 | ||
通貨ペア | 米ドル円、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円、ユーロ米ドル、ポンド米ドル、NZドル円、豪ドル米ドル、その他 | ||
分析手法 | ストキャスティクス | ||
その他選択項目 | 逆張り、Forex Factory | ||
取引市場 | オセアニア市場、東京市場、欧州市場、NY市場 | ポジション保有時間 | |
FX業者 | 月間取引頻度 | ||
エントリー注文 | 成行 | 決済注文 | 成行 |
勝率 | % | 損益レシオ | R- |
平均利益 | pips | 平均損失 | pips |
はじめに
この手法は細部にまで気を使って、考えなければならないシステムであることをあらかじめ注意しておきたいと思います。トレードするためには、何よりまず一通りのパターンを覚えてしまわなければなりません。
パターンの形とそれが意味するもの、また実際に現れた時に確実にそのパターンであるという確証がもてるようにならなければならないのです。わたしは70%の確率でそれができているからこそトレード理論として紹介しています。
それでも残り30%は逆に行く動きになる場合もあります。その時でも大きな損失にはなりませんが、トレードの最中により多くの作業を強いられることになります。
幸運なことにパターンの中には、はっきりとわかりやすいパターンがあります。それらは(あくまで例え話ですが)あなたが酒を飲みながらトレードしても見つけることができます。
しかしわかりやすいパターンは、そんなに多く現れるものではないので、まずいろいろなパターンを覚えてエントリーやイグジットを成功させる機会を増やしたほうがいいです。
もちろんわかりやすいパターンが出てきたときはエントリーするというのが基本です。これから説明するパターンを自分の力でみつけられるようにすることが重要となります。
今回の手法「Stochastic Thread Theory」を考え出した最初のきっかけは、時間周期が違う4つのストキャスティクスを一緒に使う代わりに、18種類のストキャスティクスを同時に表示させればどうなるかと思いついたことでした。
この発想を用いることにより、たった一つのチャートを元にトレードすることが可能になりました。
チャート環境
チャートは1時間足か4時間足を使うことをお勧めします。トレードをするには大きな動きがあったほうが有利だからです。私の気性には1時間足の方が合っていますが、最初はより大きな時間軸で見れる「4時間足」を使うことをおすすめします。
実際にトレードするのに、30分足やもっと短い周期のものだと判断する時間が短すぎて大変だからです。
さて、実際にこのシステムを設定するには1時間足のストキャスティクスを使い、%Kを「6から24まででセット」します。そうすると6から24までのチャートが全てひとつの画面の中に出揃います。
「%K」「%D」「%SD」はそれぞれ、6.3.3 7.3.3 8 .3.3・・・・・ 24.3.3
6から13を薄い青色で表すようにします。これはストキャスティクスのより下位の時間軸の指標で、LTFS(ロウアータイムフレーム・ストキャスティクス)と名付けます。
「%K」=14が一番重要な役割を担っていますので、濃い赤色で表示します。
ストキャスティクスの表示を14、3、3から赤い色にする理由はやがてわかっていただけるかと思います。これが、基本になるストキャスティクスで「BSライン」と名付けます。
たとえば「BSラインの動きのせいでトレードを台無しにされてしまった」などというケースもでてくるかもしれません。
15から24の薄い赤色はより上位の時間軸の指標でHTFS(ハイアータイムフレーム・ストキャスティクス)と名付けます。
誤解しないようにして欲しいのは、これは別の値段を組み合わせたチャートではなく、異なるストキャスティクスの周期を使ったひとつのチャートだということです。
下の図のような鮮やかな虹色を自分のストキャスティクスのチャートを使って出せるようになってください。
(※MT4のテンプレートは「post5」にありますので、簡単にダウンロードできます。)
あなたはこれがきっと「MAレインボウ」に似ていると思われるかもしれません。
だがここでは色の付いた虹模様ではなく、「糸」と「ロープ」について考えるので、その連想はひとまずどけておいて欲しいと思います。
糸とロープについて
「ロープ」は細いロープが束になったもので、それはさらに細い「紐」からできています。それはさらに細い「糸」が寄り集まったものです。実際に、細い「糸」が集まって「紐」になり、それがロープになっていきます。
「ロープ」と「糸」のことを考える時はその他のことに気を奪われることなく集中するようにして欲しいと思います。
わたしがこれほど「糸」と「ロープ」について話しているわけは、中心的なトレードはロープの形が崩れて糸になったり、糸が寄り集まってロープになる部分で行われるからです。
興味深いことに、ロープの形がほどけたり糸がたるんだりするのは、やがてほどけてしまって、すっかりこんがらかる前兆です。
もし逆に糸の形がきちんと整えばトレードするのに適した外観を与えてくれます。
下記のチャートを見ると、価格が上昇している最中で糸の状態がいいのに、ロープがほぐれてきているのがわかります。糸は整然と別れた状態になっており「くしですいた」形が出現しています。
エントリーと決済ルール
一番わかりやすいパターンといえるのがこの「ロープの出現」です。ラインが重なってすべてのストキャスティクスがひとつになるのでごく簡単に見つけられるでしょう。
「peaks=頂点」
1.すべてのストキャスティクスが一緒になっている「ロープの状態でトレードする」
2.基本のエントリーは、peaks出現のあと
3.peaksは通常一回、売られ過ぎ買われ過ぎのゾーンで出現します。
4.ロープの状態がほどけてくるまでポジションを持続する
これが、一番わかりやすく確率の高い基本のエントリーパターンです。
「くし」と「漁網」について
「ロープ」がほどけ始めても、「糸」の形がまだ整っていて「くし」ですいたような感じならば、まさに「くし」の効果で再び元のロープの形を取り戻すことができます。
このようにしてロープ本体の形は崩れないでそのままの状態が続いていきます。
しかし、ロープがほどけただけでなく糸までもつれ始めたならば、糸が「漁網」の形になり、こうなると「くし」の効果では元には戻せなくなり最後はロープが切れてしまう状況に陥ります。
つまり「くしの効果」が続いている場面ではそのままトレードを続けることができますが、「漁網」の形が現れればポジションを手じまわなければなりません。
機敏なトレーダーならば下記のチャートのように最初の「頂点(peaks)」が現れたらすぐにエントリーします。二度目が来るのをわざわざ待つ必要はありません。
1.「peaks=頂点」がふたつ。
2.そのあとにロープ(rope)が現れる。
3.糸が広がっても慌ててはいけません。「くし」の効果で整然としたストキャスティクス。
4.「漁網」の形はチャートが崩れるサインであり、漁網が現れたらこの時点で手仕舞う(イグジット)。
「くしですいた糸」の形が新しい「ロープ」の形に変化をはじめると相場に何かが起こります。多くは価格の逆転です。
だから新しい「ロープ」が現れたら「頂点」が出現するのを待つのではなく、すべての「糸」が集まった時点ですぐにトレード(エントリー)すべきなのです。これが理想的なトレードです。
下記のチャートに見るように価格の転換はなんの前触れもなく起きたりもします。しかし「漁網」の形が出るまではトレードを続けるというルールに従っている限り大きな損失は出ないでしょう。
糸の形は奥が深くていろんな考察ができますが、今は各自でその意味について考えを巡らせておいてください。
・「ロープ」の形が出現したので「頂点」に来る前にエントリーする。
・全ての糸が集まったらトレンドに何かが生じるサイン。(価格の転換など)
・全く予測のつかない(前兆のない)価格の転換もあります。
糸のパターンを紹介
以下に述べるのはあらゆる「糸」のパターンです。順番に紹介していきます。
1.このケースは頂点に来た後で、全てのストキャスティクスが集まりひとつの「ロープ」になって転換するパターンで、「貝殻」の形と名づけています。この現象が現れる前にはストキャスティクスが集まって、まずロープの形ができます。
2.「ロープ」が再び現れ、糸もくしですいたように整っています。大きな問題はロープが出来た直後に実際の価格が逆行して跳ね上がっていることです。しかし、このケースでもそのまま損切りせずにトレードを続けて問題ありません。トレードを続けている間は今までのルールに従ってください。
3.ここにはもっとはっきりした「貝殻」の形が現れています。ストキャスティクスが上下入れ替わる様子をしっかり確かめて下さい。
4.ここも理論にはない反転をしていますが、トレードを続けて差し支えありません。終局のパターンが出るか損益分岐点を割り込むまではポジションを持っていても構わないのです。
5.ついにトレードを終える場面に来ました。「漁網」の形が出たのでここでイグジットを考えないといけません。もし1~4の間でエントリーしたならここでトレード終了(イグジット)です。
6.「漁網」のパターンの終了です。青い方のストキャスティクスが集まって色が見えなくなるというのはとてもいいサインです。かなり早く次のエントリー機会が来る可能性が高いでしょう。
7.一番手堅いアプローチは「ロープ」の形でトレードすることです。ここにはエントリーすべき典型的な形が現れています。注意しなければいけないのは、ストキャスティク本来の80%―20%の買われすぎ・売られ過ぎのルールは特にロープのトレ-ドでは守ったほうがいいということです。
8.逆に80%、20%になれば完全なロープの形や「貝殻」の形が出なくてもある程度まとまった形になればエントリーすべきです。
さて、冒頭に「14.3.3のストキャスティクスが一番重要だ」といったことを思い出してもらいたいと思います。実は数学的な裏付けはなく経験的にそう言えるわけですが、わたしはこれを分析の中心に位置づけています。
6から24までの全てのストキャスティクスがきれいに分かれて現れていることに注目してください。
このパターンでは必ずある程度の値段の変化がストキャティクスの変化の直後に起きます。実はこの「ある程度」というのが曲者で、1pipから20pip以上までのいろんな値幅で起こりえるのです。
14.3.3ストキャスティクスの重要性
下のチャートを見ていかに「壁」が「14.3.3」のチャートで築かれるかを確かめて欲しいと思います。これは決して偶然ではなくわざわざ当てはまるような形を探してきたわけでもありません。その典型的なパターンをここで説明します。
図では14.3.3のストキャスティクスが「壁」になり「ロープ」の形が出来た時に為替が反転しています。
あらゆる「壁」がこれほどはっきりと現れるわけではありませんが、大体このような形をとることが多いのです。それには明確な理由があるわけではありません。
問題はどこから正確に「壁」の形ができたのかを判断することと、「漁網」の形がまだ現れていないかを確認することです。
その判定には微妙なところもあるので、一番分かりやすい考え方は、ストキャティクスが集まれば「ロープ」の形になるので、重要なのはとにかく「はっきりとロープの形が出ている時にトレードする」ということです。
※重要ポイント
1.最低でも全てのLTFSの青いラインが集まっていること。
2.次に14.3.3のストキャスティクスに何が起きるかを観察する。
もしうまくいけばやがて全てのストキャスティクスが集まって来てトレードが成功します。しかし、そうでない時には例えば三つのLTFSだけが集まって反転するのを見届けることになります。
いずれにせよ「壁」の形は永遠に長持ちするわけではないので、何かの要因で壁が崩れてきたらイグジットすることになります。
たとえひとつのラインでもこの壁をすり抜けるようなことが起きたらその時点で速やかにトレードを終えイグジットします。
LTFSがどのように反転するかを説明すると、最初はそれで「壁」が作られて、次に左側で壁の中にとどまり赤い壁と一緒にくっつくという流れになります。
青色のストキャスは左から6、7、8、9ですが、これが壁の中にとどまっている限り値段は上昇していきます。
買われ過ぎのゾーンで青いラインが再び赤い壁とクロスしてどのように値段のピークなるかを説明すると、6、7、8、9のストキャスティクスが壁を通り抜けて、値段が下がるということになりますが、ここでは「どれくらい値段が下がるのか」が問題となります。
この壁のパターンを使って私は120pip稼げる自信がありますが、本当にいくら稼げるかは、どの地点でエントリーするかということにかかっています。
赤いロープの形に乗るのにトレーダーは大胆でなければならないのです。しかし同時に本当に値段を動かしているのはLTFS(青いストキャスティクスのライン)であるということを忘れてはいけません。
鉄板のルール
ここで必ず心に刻まねばならない鉄板のルールがあるのでここに明記しておきます。
【LTFSが壁の内側にある時の法則】
もし上昇する赤い壁(赤いHTFS)と(青いLTFSが赤い壁の内側=左側)にあれば、この状態が続く限り値段は上昇していきます。
逆に下降する赤い壁(HTFS)と(青いLTFSが赤い壁の内側=左側)にあれば、この状態が続く限り値段は下落していきます。
・青いストキャスティクスのラインがひとつでも赤い壁の外側に出たらイグジット
・青いストキャスティクスが集まるかそれ自身が新しい「壁」を作り始めたらイグジット
・小さなストキャスティクスが赤い壁の内側(左側)を上昇している場合は常に価格の上昇を伴う。
・逆に同じパターンで下降している場合は価格は下落する。
・上昇・下降の両方とも青いラインの集まりが赤い壁の左側=(内側)にあることに注意。
最終的に青いストキャスティクスのラインが集まり始めるか、それ自身で新たな壁を作った時点でイグジット。
このFX手法で使用するインジケーターやテンプレート
今回の18本のストキャスティクスを表示するインジケーターのテンプレートが「post5」にありますので、こちらからダウンロードしてMT4の「templates」フォルダーに保存してください。
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( ◠‿◠ )すごく参考になりました
いつも手法とコラム拝見させていただいてます。
今回の手法はなかり勉強になりました。なにか、重要なヒントをもらったと思います!!