今回ご紹介するのは、Extreme TMA System(日本語訳: エクストリームTMAシステム)です。トレーダー歴30年の方が投稿された手法です。
作者はスペインのAlorenteさん、このスレッドに最初に投稿されたのは2012年2月です。
「Extreme エクストリーム」とは「極端な」という意味です。また日本語でTMAのことを調べてみると「三角移動平均のこと」という、分かったような分からないような微妙な説明が出てきました。三角移動平均の算出方法などに興味がある方は各自でググってみてください。
スレッドの最初にはAlorenteさんご自身のトレーダーとしての道のりを紹介されています。
そこに並ぶ言葉は、まずは「つらく険しい道のり」です。「たくさんの失敗、絶望と孤独」。
このことはForex FactoryでFX手法を紹介してくれている方々に共通しているように思います。
「絶望のあとは、勝利、興奮。その繰り返しを数えきれないほどしたことで、真の成功には何が必要なのかが見えてきた。」そうです。
日本の勝ち組トレーダーさん達がFXブログに書いていることとは異なりますね。
これも日本人の株式やFX投資に関するイメージや、トレーダー全体のレベルが外国と決定的に異なることと関連しているように思います。Alorenteさんはビジネスでは成功されている方で、会社を経営していらっしゃいます。
そんな方でもFXを初めてから数年間は、どんなに努力して勉強してトレードに取り組んでも成果には全く結びつかなかったそうです。堂々巡りばかりが続き、
「人生の他のことではみんな成功しているのに、どうしてこれだけはうまく行かないのだろうか?」と答えが出ないまま、かなり悩まれたそうです。
何度かあきらめたこともありましたが、「でも、もう一度だけ試してみようか」とトライすることはあり、それが結果としてトレードへの探求心が継続することとなったそうです。
そして「今になって振り返ってみると、これらすべての経験は、自分にとって成功するために必要なことであったと断言できる。」とも書かれています。
「「絶望の谷」を経験したことがないFXトレーダーもいるにはいるが、それはごく少数の稀な例であると言えるだろう。」日本は情報が偏っている国で、こちらの方が多いように錯覚してしまいますが、世界の現実は異なるようです。
「30年経っても、トレードというものは、学ぶことはまだまだたくさんある、終わりのないものであると日々感じている。」言葉に重みがありますね。
現在つらい思いを抱えながら、いつか成功者となることを目標にトレード習得に取り組んでいる読者の方は多いと思いますが、Alorenteさんのお話はたいへん参考になると思います。
手法概要
手法名 | Extreme TMA System | ||
---|---|---|---|
開発者 | Alorente | ||
勝てる? | 勝てる | ||
取引スタイル | スキャルピング、デイトレード、スイングトレード、長期保有 | ||
時間足 | 15分足、1時間足、4時間足 | ||
通貨ペア | 米ドル円、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円、ユーロ米ドル、ポンド米ドル、NZドル円、豪ドル米ドル、NZドル米ドル、ユーロ豪ドル、ユーロポンド | ||
分析手法 | その他 | ||
その他選択項目 | Forex Factory | ||
取引市場 | ポジション保有時間 | ||
FX業者 | 月間取引頻度 | ||
エントリー注文 | 決済注文 | ||
勝率 | % | 損益レシオ | R- |
平均利益 | pips | 平均損失 | pips |
チャート環境
このシステムの特徴となっているのは「TMA」で、「TMA スロープ」ウィンドウにはMTF(マルチタイムフレーム、複数の時間足を同時に見ること)の4時間足、日足、週足の3本のTMAが同時に表示されています。
システムのメインチャートには平均足と、こちらにも「TMAバンド」表示され、エントリーやエグジットの判断に使われています。「Slope Values」ウィンドウには、どの通貨ペアが今ロングに向くか、ショートに向くか、レンジにいるか一目で確認できるようになっています。
通貨ペアは問わないということのようです。またPDFマニュアルには「金属、株式のなどのトレードにも利用できる」と書かれています。主には15分足、1時間足、4時間足のチャートを元にトレードするとよいようです。
なお、たくさんの通貨ペア、たくさんの時間足のデータを読み込んで表示させているシステムのため、動作が若干重いです。
最初にテンプレートを適用させるときや時間足を切り替えると表示に5~8秒ぐらいかかり、フリーズしたようになることもありました(メモリ4GB搭載のWindows7と2GB搭載のWindows10にて)。
なお一度表示させてしまえば、エントリーやエグジットの動作などにも特に影響はありません。
具体的なエントリールール
(下にあるチャートをクリックして開いて、画像を保存すると見やすいかと思います。)
1.「「TMA Slope」の3本のTMAのラインを確認し、どちら向きのトレードを行うか(ロングかショートか)を決めます。」との説明になっていますが、インジケーターを表示させた画面を見てみると、「Slope Values」画面に各通貨ペアが、以下の説明のどの位置にいるか表示されていますので、こちらを見たほうが分かりやすいと思います。
・レンジングTMA(-0.40から0.40の間にいるとき):値動きはどちらに動く可能性もあります。
・ロング限定TMA(0.40よりも上にあるとき):ロングのトレードのみ行います。
・ショート限定TMA(-0.40よりも下にあるとき)ショートのトレードのみ行います。
・スーパーレンジ(以下は、エントリーしてからの話のようです。):
0.80よりも上にあるとき: 0.80以下に下がってくるまでは保有してください。下がってきたらすべてのロングポジションを決済したほうがよいです。
-0.80よりも下にあるとき: -0.80より上に上がってくるまでは保有してください。上がってきたらすべてのショートポジションを決済したほうがよいです。
2.トレードの方向性が決まったら(説明はありませんが多分メインチャート画面の)D1とW1のTMAを確認し、現在価格が外側のバンドに到達するまで充分な値幅があるかどうかを確認します。
例えばショートしようとしているとき、現在の価格からD1のバンドの間に少なくとも150pips、W1のバンドとの間に少なくとも250pipsの空きがあることを確認します。
3.ショートエントリーするときは、(説明はありませんが多分TMA Slope画面の)H4とD1のTMAのバンドが同時に天井まで上がってくるのを待ちます。
ロングエントリーのときは、H4とD1のTMAのバンドが同時に底まで下がってくるのを待ちます。
4.エントリーのタイミングは、上記の3の状態になり、かつ価格が、ショートの場合はアッパーTMAバンド、ロングの場合はロウワーTMAバンドにタッチしたときです。
このときルール1を再び確認して、3つのTMAの方向性がエントリーしようとしている方向性と一致するか確認します。もし異なっていた場合はトレードは見送り、次また条件が揃うまで待ちましょう。
画像はクリックで拡大します▼
エグジットのルール
〇短期トレードの場合:
価格が、反対側のH1のTMAバンドに到達したとき。H1のTMAまで価格が戻ってきたときには、再度エントリーすることもできますが、エントリー前にはすべてのスロープの向きが、エントリーしようとしている方向と一致していることを確認しましょう。強いトレンドが発生しているときには、何度もエントリーすることができます。
〇中期トレードの場合(このシステムを使うにはこれがスタンダード):
価格が、反対側のH4のTMAバンドに到達したとき。H4のTMAまで価格が戻ってきたときには、再度エントリーすることもできます。あとは短期トレードと同様です。
〇上記以上の長期トレード:
価格が、反対側のD1のTMAバンドに到達したとき。D1のTMAまで価格が戻ってきたときには、再度エントリーすることもできます。あとは短期トレードと同様です。
リプライでどのような議論がされているか
初期のリプライには、別の記事でご紹介した手法「Symphonie Trader System」の作者のEvaluatorさんも参加されていました。こうして成功者同士も交流しているのですね!その様子も垣間見られるのは、興味深いことだと思います。
なお、スレッドの初期に投稿されているチャート画面例の構成は、最初の投稿にあるインジケーターセットをダウンロードして適用してみたときの画面と異なりました。
エントリールールの説明に出てくるインジケーターがどれのことなのかも不明瞭なため、これらはリプライの中から足りないインジケーターや説明を探して拾う必要がありました。(先の説明は見つけた内容を反映させています。)
まとめ
Forex Factory特有の略語や英語ネイティブの方が好む略語がほとんど使われていないせいか、Alorenteさんの英語はとても読みやすいと感じました。
Google翻訳を利用してもある程度理解できるレベルに訳されるようですので、英語が苦手な方もぜひ原文を読んでみてください。
この手法の理解がより深まることになると思います。と最初は思ったのですが、実際にインジケーターを表示させて手法を理解しようとしたところ、説明に出てくるインジケーターが揃っていない!やはり個人が無料で公開しているものが完璧でないのは仕方のないことなのでしょう。
この記事で説明した分のインジケーターはなんとか見つけましたが、これ以外にも情報はスレッド内にたくさん隠れていると思います。
この手法で使用するインジケーターやテンプレート
最初の投稿の最後に、インジケーターセットとマニュアルへのリンクが貼られています。
mq4、ex4ファイルはMT4のインストール先フォルダのMQL4 → indicatorsフォルダに保存します。tplファイルは MT4のインストール先フォルダのtemplatesフォルダに保存します。
なお、テンプレートを適用させた直後は、エントリールールの説明にある「TMAのバンド」がメインチャートに表示されません。これは色の設定が「Black」になっているからでした…。
この状態を改善するには、MT4のメニューバー「チャート」→「表示中のインジケーター」から、「ExtremTMA D1 Dist2BandsLarge」と「ExtremTMA W1 Dist2BandsLarge」を編集して、目立つ色に変更するとよいです。
なお変更したあとは、同じくメニューバー「チャート」→「定形チャート」→「定形として保存」で先のテンプレートファイルを上書きしておくとよいですね。
なお、このインジケーターセットに足りないものは、「アッパーとロウワーのTMAバンド」です。
エントリールールの「4」に出てくる重要なものなのですが…。スレッドをかなり読み進めても私のように足りないと困っている人はおらず、しばらく探したところ、そのインジケーターは「FastTMAline」のことで、MT4ビルド600以降正常動作しなくなっているらしいと分かりました。
正常動作する最新版は、「■#Post14,778」に投稿されているこちらのようです。
⇒ https://www.forexfactory.com/attachment.php/1567591?attachmentid=1567591&d=1418047707
MT4インストールフォルダに上書きしてから、テンプレートを読み込み直しすると表示されるようになります。4時間足チャートで確認すると(エントリールールのところでご紹介した画面のように)H4とD1のTMAバンド両方を確認できます。
これも最初の投稿の最後に添付されています。ダウンロードしたファイルを展開すると、「Documents」「Experts」二つのフォルダがあり、「Documents」にPDFのマニュアルが3種類、テキストファイルのマニュアルが2種類、ロットサイズの計算が簡単にできるExcelなども格納されています。
メインのインジケーターに関する説明は「TMA Info Indicator instructions.txt」「ExtremeTMA v17 Manual.pdf」で説明されています。
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