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エンベロープ(envelope)とは、もともとは封筒という意味があり、それから派生した「包絡線」という意味があって数学で用いられるものですが、それを為替チャート分析に取り入れたものです。
エンベロープという指標は為替レートが移動平均線からどの程度離れたのかを見るものであり、移動平均線を上下にずらした曲線を２本引くことで完成します。
この２つの曲線は、売買のポイントと捉えるいわゆる支持線、抵抗線としての位置づけになります。
エンベロープの考え方は、長期的には株価や為替レートは「移動平均線に収束する」という点に着目して作成されるものです。
出典：http://kabu.com/investment/guide/technical/15.html
エンベロープの設定について
移動平均線からの離れ具合（乖離：かいり）の幅をどのように設定するのかは様々であり、特にこれといった定説が存在しません。
一般的には２５日移動平均線を基準にして、上下１～３％乖離したところにエンベロープを設定するということが多いようです。
ただこれはあくまでも目安であって、変動リスクを投資者がどこまで許容できるかという側面や、所有している通貨ペアの過去のトレンドの推移を踏まえたうえで乖離幅を設定するのが望ましいといえます。
出典：https://www.fxtsys.com/tech16.html
エンベロープの売買サインについて
エンベロープの売買サインの考え方は至ってシンプルなもので、移動平均線が「downerライン」を下回ったら売られすぎの状態が生じていると考えられ、上昇への転換点が迫っていると判断します。
これに対して移動平均線が「upperライン」を上回ったら買われ過ぎの状態が生じていると考えられ、下落への転換点が迫っていると判断します。
下記の図では「UPLOWバンド１」と「UPLOWバンド２」の２ペアのエンドロープを設定しています。
UPLOWバンド２の上の曲線にローソク足がもう少しで接しようかという場面がありますが、その後売りに転じていることがわかります。また、下の曲線を超えて取引が行われている場面では、ゆるやかに上昇に転じていることがわかります。
エンベロープを利用する場合の注意点
移動平均線の期間が短い場合や乖離の幅が狭い場合は、レートが頻繁にエンベロープの両端に接近するため、設定の数値や利用上の判断には注意が必要です。
この場合はエンベロープの幅を設定し直すことが良いと思われます。また、長いトレンドの転換時に起きるエンベロープからの逸脱は、上記の一般的な戦略とは反対に、急反発や急反落となることもあるので、十分注意してください。
後に説明します「ボリンジャーバンド」も同じことはいえますが「リーマンショック」や、イギリスのEU離脱決定のような大きなイベントにより急激な為替変動が生じた場合には、このような分析手法がうまく機能しない場合があります。
そもそも「ボリンジャーバンド」もエンベロープと同様に為替チャート分析手法の一種で、統計学の標準偏差と正規分布の考え方に基づいた指標です。
この場合の標準偏差（σ：シグマ）とは、ある期間の価格が期間の平均値からどれくらいばらつきが生じているかというものです。
為替レートのばらつきが正規分布に基づくとすると、レートが平均±１σに収まる確率が約68.2％、平均±２σに収まる確率が約95.4％、平均±３σに収まる確率が約99.7％ということになります。
エンベロープと異なる点は、まず統計的手法を用いているかそうでないか。必ずlowerライン、upperラインが移動平均線と平行になるわけではない点にあります。
ちなみに、売買のシグナルになるのは±２σの線を基準にします。Upperラインを超えて価格が上昇している場合には下落に転じるサインといえます。また、lowerラインを下回って価格が低下した場合には上昇に転じるサインと見極めることができます。
エンベロープを使った手法を紹介！
