FXをやっている人であれば、必ず月曜日の朝に自分が使っているチャートソフトを起動すると思います。そこで、金曜日の終値よりも大きく値が上がったり、下がったりしている現象が定期的に起こります。これが俗に言う「窓開け」という状態です。
毎週、この窓開けが起こるとは限りませんが、様々な要因が絡み合い、時としてとてつもない値動きをすることがあります。仮に、金曜日にポジションをクローズせず、週を持ち越した場合は、損をするか?得をするかは、二分の一の確率です。
しかし、この確率に頼ってしまうのは、「投資」ではなく「ギャンブル」になってしまいます。
窓開けの怖さや危険性というのは、一度体験しないと分かりません。今回の記事では、何故窓開けが起こるかを解説し、最後に窓を使った手法を紹介していきたいと思います。
何故?窓開けが起こるのか?
まず基本的なことですが、東京・ロンドン・NYなど、大きな市場は、土日お休みであるのは間違いありませんが、イスラム圏(中東バーレン市場)では、金曜日が休みになっています。ですから、バーレン市場では、土日に相場が動いているのです。
ここでの値動きが、各FX会社のチャートに反映されないため、月曜日のオセアニア市場でギャップ(窓開け)として現れることがあります。
特に土日に市場を揺るがすようなニュースが出た場合、窓を開ける確率が上がります。
地震や災害などにおける、地政学リスクが原因の時もありますし、特定の国の選挙結果や事件、事故などに起因して相場が乱高下するケースもあります。
例えば、2014年9月8日(月) スコットランド関連のニュースで窓が大きく開けました。私が見ている、以下の「Alpari Japan」のチャートでは、金曜日の終値から170pipsの下落でした。
【9/8朝のニュース】 週末に発表された世論調査で「スコットランド独立賛成派がリードしている」との報道によるポンド円売りが加速している。
FX業者によって月曜日の開始時間に差がある
また、窓開けには他の要因もあります。
それは、契約している「FX業者の取引開始時間」にも深く関係してくるのです。これにより、取引業者の営業時間帯によって、「窓開けが起きるトレーダー」と「窓開けが起きないトレーダー」が存在するケースもあります。
国内の業者で言いますと「サクソバンク証券」は、午前4時から売買ができます。
一方、それ以外の国内業者は、ほとんどが午前6時からのスタートになります。
この2時間の差が「窓開け」の直接的な原因となり得るのです。
例えば、サクソバンク証券を使っている大口トレーダーが、午前4時10分に売りポジションを大量に発注したとします。チャートは、金曜日の終値から当然下落することになります。
やがて、参加者が増えて、売りのポジションを建てるトレーダーが多くなったとしましょう。売りが売りを呼ぶ形で下落が加速します。ほとんどの国内業者が6時にオープンする頃には、金曜日の終値よりも大分下がっている事になっています。
こうなると、金曜日に設定していたストップ注文を巻き込んで、更なる大幅下落を呼び込むことになるのです。
つまり、窓開けのリスクを少なくしたければ、月曜日の取引時間が最も早いFX業者を選択するのも重要な手段です。「週をまたいで迂闊にポジションを保有しないほうが良い」と言われるのはこのような動きを警戒してのことです。
開いた窓は必ず閉まる?
一旦、窓を開けてから金曜日の終値にレートを戻すことを「窓埋め」といいます。相場の世界では空いた窓は閉まりやすいと言われます。
これは、窓開けによって、利益を確保できたトレーダーの心理を考えれば分かりやすいです。
自分のポジションが順行して、金曜日のポジションを「持ちこしただけ」で簡単に利益を得ているわけですから「利益確定をしておきたい」と思うのは普通の考えです。
この利益確定が集まると、自然とチャートの動きは「窓埋め」に向う事になるのです。
但し、その窓が埋まるまでの時間は、違いがあります。1時間経たずに埋めることもありますし、1日かかる時もあります。
もちろん、窓を埋めることなく、一方的な展開になる可能性もあり得ます。
したがって、頭ごなしに「窓は埋まるもの」と期待するのは、非常に危険であり、間違っていた時の行動までしっかりと考えておく必要があります。
ヘッジファンドの仕掛けは、窓が埋まりやすい
月曜日の早朝の窓開けでもっとも多いのが、ヘッジファンドなど投機筋によるオセアニア市場の仕掛け売買です。ウエリントン市場の冬時間(日本における夏の季節)は日本時間で午前4時からオフィシャルに市場がスタートします。
これが彼らの夏時間ですと朝3時からスタートになります。オセアニア市場はオーストラリアを含めて非常に小さなものです。
ですから、もともと流動性が低い中での仕掛けとなりますので、ちょっとした取引量であっても、想像以上に相場が動くこともあります。
例えば、前週に大幅に下落して終わった相場では、週明けの早い時間帯に下げを加速し、多くの投資家が設定しているストップロスをつけにいくといった注文が出やすいです。
ヘッジファンドはストップロスを刈った後には、利益確定を考えますので、こうした仕掛けによる売買でギャップが生じたものは、短時間で窓埋めが起こる可能性が高いです。
ですから、特別なニュースもなく大きな窓開けになった場合は、窓埋めを期待して反対売買でポジションをとって見るというのも一つの方法です。