FX市場で、最も取引ボリュームが多いのが「ロンドン市場」です。これは、ユーロドルというFX市場最大の取引通貨が、大きく動くためです。
米国の市場規模は確かに大きいのですが、ユーロは欧州圏で28カ国以上が取引する通貨であるだけに、実需ベースで言ってもかなりのボリュームの取引が行われます。故に、名実ともにロンドン市場の時間帯を中心にFX相場は動いている事になります。
国際決済銀行(BIS)が2016年に発表した1日あたりの取引高ランキングが以下になります。
(出典:ウィキペディア 外国為替市場より)
世界シェアの37.1%がロンドン市場による取引になっており、FX市場はイギリスを中心にまわっているいることがわかります。日本の東京市場が世界シェアの第5位で6.1%ですから、比較するとロンドン市場の規模の大きさが際立ちます。
しかし、2016年にイギリスは国民投票でEU離脱を決定しており、ロンドンに位置する金融街「シティ・オブ・ロンドン」から各国の金融会社が撤退を検討しているという報道も出ていることから、規模の縮小が懸念され、今後上記のFX取引高ランキングが変わってくることも考えられます。
ロンドン市場の時間帯と特徴
欧州圏には夏時間と冬時間が存在し、季節によって1時間異なります。通常の夏時間ですと日本時間の16:00には、ロンドン勢が取引をスタートさせることになります。
したがって、この時間帯からは、東京市場の動きとは異なる相場が展開されることになります。
これは、ロンドン市場だけに限りませんが、前の市場の高値や安値においてある、ストップを狙いにいくということは往々にして行われております。
例えば、東京市場でドル円100.00円の高値をつけた。ロンドン市場がオープン後、すぐに100.00円をブレイク。ここで、個人FX投資家が一気に買いに走った行動の「逆」を狙い、ロンドン勢の売り注文。
ブレイク後、買いポジションを持った投資家は、止む無く損切り。その結果、売り注文が殺到して、ロンドン市場では99.50円まで急落した。このような、相場展開というのはよく見られます。
いわゆる「騙し」の値動きが多くなるのが、オープン直前と直後であり、特に世界最大の取引ボリュームを誇る、ロンドン市場の前後は、荒い値動きに警戒して臨む必要があります。
ロンドン勢のオープン後の動きが落ち着くと、FXの取引量は減り、NY市場の参入を待って、取引量が多くなっていくのが特徴となります。
ロンドン市場では各国の要人発言や経済指標に注意
ロンドン市場の特徴として、前日のNY市場の経済指標が蒸し返されて、それが値動きの材料となる事です。これは、特にロンドン市場の前半に多く、こうした動きにも注意を払う必要があります。
また、現状でユーロ圏はディスインフレに悩み、ユーロ安に持っていきたい事情を抱えております。その為、各国の首相や財務大臣など、多くの要人が経済対策や金融対策について様々な発言をします。
これらの発言によって、大きく相場が振れることがあるのです。特に、最近ではフランス、イタリア、スペインなど、これまで指標としては、相場の反応が鈍かった国に関するものまで値動きが出るようになってきました。
日本時間の20:00以降は、米国の指標が中心になりますので、全体として注意しておきたいのは、日本時間の15:00から18:00ぐらいまでです。
要人発言や指標発表による、突発的な値動きに対応するには、契約しているFX業者の指標・要人カレンダーを常にチェックしておくことです。また、重要な指標発表前には、ポジションをクローズしておくなど、対策を取っておくことがリスク管理として重要な方法になります。
ニューヨークが動き出すと流れが変わる
ロンドン市場で難しいのは、東京タイムと違ってニューヨーク勢の稼動時間がオーバーラップすることです。夏時間ですと、日本時間の21:00ぐらいから、ニューヨーク勢が参入してきます。
21:00以降は、ほとんどが米国の指標発表中心になり、NY証券取引所のスタートも絡んで情報の中心はすっかり米国に移行していくことになります。
したがって、相場としてはロンドン時間が継続しますが、ひとときの間はイニシアチブがニューヨーク勢に移行するタイミングとなり、ロンドンフィックスである24:00までの時間は、主役が入れ替わることになります。
ロンドンフィックス(London Fix)とは
ロンドンフィックス(London Fix)とは、日本で言うところの朝9時55分の「仲値決定時間」ということになります。
【仲値決済時間とは】
東京タイムでは「午前9時55分」にメガバンクで「仲値」と呼ばれる銀行での窓口両替の基準レートが毎日発表される。この時間帯は、ドル円を中心にして比較的活発に相場が動くことが多い。
日本の夏時間であれば、24:00がこれにあたり、冬時間の場合は、25:00にずれ込みます。
この時間帯は実需の決済なども持ち込まれ、東京勢の外貨建ての投信の設定もこの時間帯に行われることが頻繁にあります。
また、ロンドンフィックス(London Fix)を狙った売り注文なども増えることから、一時NY勢にイニシアチブを奪われていたロンドン勢も活気付く時間帯となります。
ロンドンフィックスは世界的に見ても、最も扱い額が増える瞬間となるため、ユーロにしてもドルにしても大きく動くことになります。
通常ですと、日本時間の23:30ぐらいから、これまでの相場とは異なる形で相場が動き出し、24:00とその後30分程度を中心に、独特な動きが出る事が多くなります。
ロンドンフィックスの月末や期末のフロー
「ロンドンフィックス」では月末や期末になると、さらに特別な動きがでることがあります。
たとえばユーロで言いますと、ユーロ圏の最大の貿易相手国はイギリスになっていて、あらゆる商品決済が、ポンドという別通貨を利用しているUKとの間で行われることになります。このため、特に、月末にかけては「実需ベース」でユーロポンドが激しく買い上げられる傾向にあるのです。
また、期末になりますと金融機関やファンドなども含めて、リバランスのために自国通貨へのレパトリエーションが行われたりすることもあります。ロシアや中国などの中央銀行のリバランスで、思わぬほどのユーロ買いが起きる事もあるのです。
このような理由があり、「ロンドンフィックス」の時間になりますと、テクニカル的なトレンドを無視した形で、相場が動き始めることになります。
したがって、月末や期末のタイミングには、荒い値動きを事前にある程度想定して、ポジションを保有していくことが重要となります。
ロンドンフィックスを利用したFX手法
最後に、ロンドン市場の最も注目される時間帯である「ロンドンフィックス」の特徴を考えたFX手法を紹介させていただきます。FX手法の詳細はリンク先からご覧ください。
ロンドンフィックスを利用したFX手法です。具体的な方法は、ダブルボトムやダブルトップを確認してからエントリーします。取引チャンスは月5回と少ないですが、非常に信頼度が高いサインです。