通常法定通貨と呼ばれる特定国が発行している通貨には多かれ少なかれ『ファンダメンタルズ」と呼ばれる、その国の経済状態などを示す指標が相場に影響を与えることになります。
株式や債券の領域でも多くの投資家が長期的な資産運用をする場合に、投資対象商品の適正価格を探ろうとし市場価格というのはファンダメンタルズをベースとした適正価格に近づくものであると考えられています。
しかし仮想通貨に関しては、特定国に紐づいているわけではないことからこのファンダメンタルズというものがないことからファンダメンタルズをもとにした適正価格というものを測ることができないのが正直なところです。
また仮想通貨はそれ自体を長期に保有しても価格が上昇しないかぎり利益を生み出す要素が全くないことから、通常の金融商品における配当モデルなどと比較して適正価格を予測することもできないのが実情です。
一つの基準となるマイニングの価格
仮想通貨ではこのファンダメンタルズの問題、また適正価格がいくらなのかということが延々と議論になっていますが、ビットコインなどでは唯一マイニングの価格がビットコインの原価となることからこれよりも最低高くあるべきという話が当初からでている状況にあります。
中国のような場所で比較的電気代も安いところに機器を設置してマイニングを行った場合最低コストは少なくとも日本円で30万円を下らないとされており、それを下回るようではそもそものビットコインとしての価値はなくなることになりかねないわけです。
ここ2年程でみていますと1000ドル程度だったビットコインはあっというまに2万ドルを超えて駆け上り、2018年の年が明ければ1万ドルを下抜け一瞬3000ドルに近いところまで下落し、今また6000ドルの大台に乗せる動きをしています。
もしビットコインにファンダメンタルズがあるとすればこうした状況を投機以外の何をもって説明することになるのでしょうか。やはりここが依然として大きなポイントであることがわかります。
実需が拡大すれば変わってくる
ただいずれにしても実需ではない投機的な需要が相場を支え、しかも思わぬレベルまで上昇することだけは厳然たる事実ですから、これをどう読み解いていくかが仮想通貨の投資では重要になってきているといえます。
いまのところ決済需要はほとんど拡大しない状況ではありますが、既存法定通貨に著しいリスクが発生したときには間違いなく逃げ場として機能する様になってきています。
この動きが将来的にどのような形でさらに拡大するのかにも注目が集まります。