国内でも緊急事態宣言の対象エリアが大幅に縮小し、まともに検査していない新型コロナの感染者数が減少したという曖昧な理由だけで、緊急事態宣言はまもなく解除されそうな雰囲気になってきています。
米国でも多くの州が経済再開に向けて動きだしているようですが、日経新聞に掲載されたデータによりますと、共和党の知事の州がやはり積極的経済再開に前のめりである一方で、まだまだ再開など目指せない州も相当残っていることがわかります。
データ 日本経済新聞
米国では積極的に感染者数の調査を行っているようですから、ピークアウトは国内の状況よりもはるかに信ぴょう性が高そうです。
しかし、それでもこれだけのばらつきがあることを見ますとこのパンデミックの収束と収入面で国民を助けるための経済再開との折り合いをつけることが相当難しいことを示唆しているようです。
米国の実態経済は想像以上にボロボロの危機的状況
経済の状況を示す様々なハードデータはどうしても「遅行指標」となりがちなものですが、やはり米国の場合実態経済は相当悪化しているようです。
すでに公表されている「失業率」を見てもいとも簡単にレイオフが進行していることから、貯金をもたない世帯は中間層であっても相当苦しんでいることがわかります。
とくに家賃の支払いができず賃貸物件から追い出されるケースは相当増えているようで、本邦でもなかなか10万円が支給されないのと同じように家賃の減免措置の応募適格者は2割程度とかなり絞られていることから、本当にホームレスに陥る家族が激増しているようです。
とくにこの数年の中央銀行バブルのおかげでニューヨークにしても西海岸にしても賃料はバカ高くなっていますから、給料が止まった途端に支払い不能になる状況は容易に想像できるものがあります。
ミレニアル世代の一部は平時にもらっていた給料より補償の方が多いといったラッキーな状況にある人も多いようですが、逆に一定以上の収入のあった中間層が相当危機的な状況に陥ろうとしているようです。
こうした実態があからさまになるまでにはまだかなり時間がかかりそうですが、商店や料飲店が再開になっても簡単に顧客が戻ってこない、消費が元に戻らないのはこうした深刻な状況があるからで、リアルな経済ではまったくV字回復など見込めない厳しい状況が続いているようです。
他人事ではない国内の経済実態
実はこうした厳しい状況は国内でも同様なようで、シャッターが閉まっているから単純に休業中と思われている物販や飲食の店舗でも相当数が資金の問題から再開不能の状況に陥っているようです。
三蜜の宝庫となる都市部のオフィス賃貸需要もリモートワークの普及とそれなりの成果がでることがいきなり検証されてしまったことから減退気味です。
経済再開となってもさらに落ちこむことが予想されはじめていますし、都内のタワーマンションもその販売に暗雲が立ち込め始めているようです。
国内の株式市場の推移をチャートだけで追っていますと、まるで相場には影響がでなくなっているような錯覚に陥りますが、この実態と相場との乖離が埋め戻しされるタイミングが果たしていつになるのかで相場サイドの厳しい修正が示現することになりそうで、これまで以上に十分な注意が必要になってきているようです。
国内では多くの人たちがステイホームに猛烈なストレスを感じているようですが、その傍らで収入が断たれてしまい次なる仕事を探して猛烈にうごめいている人たちが相当数いることを認識しなくてはならないようです。
恐らく国内でも緊急事態宣言が解除されてはじめてこうした厳しい状況が露わになるのでしょうが、新型コロナ収束で一安心などということには全くならないことを覚悟すべきで、為替にこうした影響がでるのはやはりこれからということになりそうです。