ここのところウォーレンバフェットが次々と持ち株を売却し始めていることが市場では大きな話題になりはじめています。
すでに日本円にして14兆円分を現金で保持していたバフェットですが、5月2日にはバークシャーハザウェイの年次株主総会の席上、保有していた航空機株すべてを売却し日本円にして5兆円ほどの損失を被ったことを明らかにしています。
また同氏は2008年のリーマンショック直後にただ同然となったゴールドマンサックスの株を同社の要請により大量に引き受けていますが、バークシャー・ハサウェイは15日、こちらの株式の持ち分を第1四半期に84%減らして192万株としたことを届け出で開示しています。
バークシャーはJPモルガン・チェースの株式保有を3%、アマゾン・ドット・コム株の保有を0.7%それぞれ減らしたほか、トラベラーズとフィリップス66の株式全てを手放しており、現金化を加速していることが鮮明になっています。
航空株は自社株買いがでないことからの投げ売りか
航空株はここから数年は全くいいところがなさそうなのはだれしも予想がつくものですが、バフェットの場合は自社株買いをする会社を好んで銘柄選別しているのがひとつの特徴となっております。
ここから国の支援等がないとやっていかれない航空株については、自社株買いなどの望みは全くないと割り切ってすべて手放したことはどうやら間違いなさそうな状況です。
ゴールドマンサックス株の売却についてはその理由は不明な状況ですが、とにかく一目散に現金化を急いでいることは鮮明です。
大底到来を見抜いている?
バフェットといえばとにかく相場の大暴落があると底値で現金資金を使って悠々と株を買う存在として知られているわけですが、彼が売買のひとつの基準としていると言われる「バフェット指標」は直近でも134.300を指しており、かなり高い状況が続いています。
今後第二四半期に米国のGDPが大きく縮減した場合、株式時価総額を名目GDPで割って100をかけて算出しているバフェット指数はさらに割高を示すことは間違いなさそうです。
ここから50%以上の下げを想定していると言われる、バフェットが持ち株の投げ売りで現金化しようとしているのはこうした背景があるからではないかとも見られている状況です。
株価の暴落タイミングは誰にも判らないのが現実のところですが、コロナ起因の経済のダメージは2008年や2000年の暴落の時とはくらべものになりません。
しかもいきなり失業者が猛烈に示現し、企業が続々と破綻するという1929年からの3年間でも経験したことのない驚くべきスピードで悪化状況が進行しているわけです。
稀代の投資家としては何かを感じ取っている可能性は高そうで、ここからのバフェットの動きと相場自体の推移は非常に気になるところとなってきています。
我々は単純にバフェットの真似をするわけにもいかないのが実情ですが、投資経験が豊富で資金力のある投資家はなぜか足元のFRBによるコロナバブル相場に乗らずに、暴落のほうを待っている人が非常に多い点は注意したいところです。
バブル相場というのは最後の最後ほど走ることになりますが、一定の利益を確保できたらしっかり足抜けすることが重要です。
上昇による利益獲得経験から、また押し目で買い向かったりすると大体相場の暴落に捕まりそれまで折角稼いだ利益を吹っ飛ばして市場から退場を余儀なくされるというのが極めて似通った結末となっています。
為替の場合は株価の動きとはまた異なるところにありますので、なおさら難しいものがありますし、ここからの投資行動は読者の皆様それぞれがお決めになることですが、なにか想定外のことが起きる危険性があるという点だけは常に意識して行動されることが肝要となる時期のようです。