新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、各国それぞれにロックダウン等の措置を講じてきました。
しかし、その方法の厳格さや緩さに係わらず、どこの国でも国民を一方的に外出禁止で自宅に籠城することを求めても60日、つまり2か月以上そうした状況を維持することが難しくなっているようで、あらゆる国の政府が部分的に経済再開を認めざるをえない状況に追い込まれているようです。
市民感情が国を問わずもう持たないというのは非常に良く判るわけですが、果たしてこれでウイルス感染は早期に収束させることができるのかという問題がやはり顕在化してきています。
小規模事業者、個人商店等は経済再開しないと食べていかれない
日本も6700万人いる労働人口の中で、既にその67%がサービス業に従事しているということで、いかに個人消費に依存して仕事をしている人が多いのかということを改めて感じさせられます。
世界の主要国も全く同様で、個人からの消費を日銭として稼いでいる人たちが非常に多いことに改めて驚かされます。
こうした事業者はとにかく店を閉店させたままでは、なんら収入が得られないということで家に籠城している精神的なストレスの限界とともに預貯金の取り崩し限界も2か月のロックダウンで顕在化してきているものと思われます。
米国ではロックダウンに対するデモさえ起きているわけですから、感染防止という名目での自宅待機がいかに難しいものであるかがよくわかります。
問題は感染収束との折り合い
誰が考えても判る話ですが、経済的な事情から都市のロックダウンを経済的な事情や市民の不満から緩和していった場合、感染の阻止という部分との両立ができる可能性はほとんど考えらません。
結局多くの市民が抗体を生成し亡くなる人は亡くなるしかないという非常に厳しい状況です。
100年前のスペイン風邪が猛威を振るって「2年たってみたらいつの間にか収束した」という時代の状況を結果的にトレースせざるを得ないのではないかという雰囲気も強まりつつあります。
すでに封鎖解除をした中国でもまた感染が始まっているようですし、封鎖を緩めれば二次感染が拡大する可能性は非常に高まることになるのは素人でも理解できるものがあります。
果たして相場はどうなるのか?
さて、問題は金融市場の方で、こうした状況になった場合、株や為替はどう動くことになるのかが非常に気になるところです。
米株はもはや新型コロナは関係なくFRBが緩和を継続し「ゼロ金利」ないし「マイナス金利」が飛び出せばさらに買い上げる動きを見せることになるのでしょうが、こうした緩和による市場流動性の確保というのもそれほど長く続くとは思えないものがあります。
このコラムでもすでにご紹介しているように1929年と同様の動きをとった場合、どこかでピークがやってきて反転下落するタイミングが訪れるリスクは相当高くなりそうです。
その反転の転換点となるのが二次感染の爆発的拡大である可能性もありそうで、さすがに全く相場が無視することはできない状況です。
また為替に関して言いますと、各国の中央銀行があらんかぎりの緩和策を繰り出し、しかも米国までゼロ金利やマイナス金利を導入しようとしているわけですから、各通貨ごとの差異というものがなくなりつつあり、主力の通貨ペアはどれもほとんど動かなくなりつつあるのが現状です。
特定国で感染が猛烈に拡大した場合は当然その国の通貨が売り込まれることになるのでしょうが、リスクオンリスクオフという観点での相場の動きはそれ程大きなものが期待できなくなっているのもまた事実で結構難しくなっているのが現実です。
株価の暴落が再度発生した場合には、それなりにリスクオフとして為替も動くことが期待されるところですが、二次感染のネタだけでどこまで相場が動くかはますます良く判らなくなってきているのが実情ではないでしょうか。残念ながら為替には厳しい時間帯が続きます。